「魂の所在からその先へ」哀れなるものたち カメさんの映画レビュー(感想・評価)
魂の所在からその先へ
個人評価:4.0
原作、脚本がヨルゴス・ランティモスではないので、どこまでが監督独自のテーマか分からないが、自身が脚本も手掛けた「ロブスター」などの過去作同様に、一貫して通づるテーマがあり、サディスティックな演出など、ヨルゴス節満載の作品であった。
過去作では肉体は魂の入れ物にすぎない事を描き、本作では、さらにその先の魂の在り方を語っていると感じる。
魂の上昇には学びが最も重要だと。
無垢なエマストーンの闊歩の様が、冒険によって得られた教養で、歩き方・口調まで上昇している対比は、見る側にそれを物語っていると感じる。
この世は醜く悲惨な世界。生を受けた者は皆哀れである。そこから身を護るのは学ぶ事だけ。
フランケンシュタインのお話を骨組みに使い、生の在り方と、自分という人格の所在は、肉体や脳に宿るものではなく、後天的に得られた知と経験によって確立する事を実証したかの様な映画だ。
まさに寓話的で、見る側に色んな解釈と教訓を教えてくれる。
それにしても全カットがまるで絵画の一枚絵の様に美しく、リッチな作品を観た充実感があった。
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