劇場公開日 2024年1月26日

「純粋培養された知性、狂気、エロスが織りなす傑作!」哀れなるものたち やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0純粋培養された知性、狂気、エロスが織りなす傑作!

2024年1月28日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

原作は存じ上げないですが、4:3の映像アスペクト比も含めてレトロな美術設定、殊更蒸気機関がフィーチャーされてるあたり、スチームパンクの異世界物といっても過言はないと思います。

公式の事前情報からしてネタバレ全開で、彼女(ベラ)が自ら命を断ち、妊婦であった頃の自らの胎児の脳をある天才外科医により生体移植されて蘇生した・・・という端からぶっ飛んだ設定です。

マッドサイエンティストの外科医は、研究室兼自宅の豪邸に彼女を閉じ込め、外界の刺激から隔離しその精神的成長や成人済みの肉体とアダプトしていく様を科学者の視点で経過観察します。

しかし、精神と肉体の過度なアンバランス、そして彼女自体の知的好奇心や行動力、学習能力の優秀さからそれはほどなくして親代わりである外科医の制御出来る範囲を超えます。で、いろいろあって悪い女たらしの法律家の手引きもあって彼との冒険の旅に出るという物語。

まず、画面に釘付けになったのはベラの精神と肉体のアンバランスさの上に奇跡的に成立してしまった強烈なエロティシズムです。いや、これは見方によっては変態的であるが致し方ない(笑)。

彼女の快楽嗜好が幼児特有の根源的な食欲、睡眠欲から→性的快楽の追求に短期間に急峻な移行をします。しかし説得力のある背景、設定からかそこまで奇異な印象は受けませんでした。

何よりベラ演じるエマ・ストーンさんの女優生命を投げ捨てているんじゃないかというくらい出し惜しみしない(?)熱演、まさしく怪演がフィクション世界におけるベラの実在を不動のものとしていましたね。

冒険の旅においてベラの留まることを知らない知的好奇心は、性的倫理観、そして一般常識やそれに基づく共感性が欠如した奇行となって現れます。

その一連の彼女の行動は詳細を語れないくらいインパクト十分(笑)ですが、そんな中にあって流されることなく欺瞞にも染まらず、常に世界の観察を怠らず正しい科学者の視点、好奇心でやるべきことを実行する様は大変、愉快爽快でした。

18禁ですし、エログロ狂気満載で倫理的にはボーダー振り切れてます。が、映像は本当に雰囲気でていて美麗、かつ物語は破綻なくすすみ結末も納得??なので、ぜひ試しにご鑑賞ください。

傑作です。

やまちょう
NOBUさんのコメント
2024年1月28日

今晩は。
 あのラストシーンがあってこそ、この作品が発するメッセージが炸裂しますよね。
 私も、愚かしき男ではありますが、女性(当然含む妻。)に対し非道な言動をしていないか、礼節を失した行動をしていないかをラストシーンでガツン!とヤラレタ映画でしたね。
 もし、やまちょうさんがヨルゴス・ランティモス監督の初期作品「籠の中の乙女」を未観賞でしたら、機会があれば・・。(私は、映画は観る人が映画の選択権を取るという当たり前の事を優先しますが、今作は余りに「籠の中の乙女」の連動性があるので。けれど、キツイ映画ですので、事前に調べて下さいね。)では。

NOBU
2024年1月28日

やまちょうさん、ありがとう!

talisman
2024年1月28日

やまちょうさん、コメントありがとうございます。映画を見てどう思うかはそれぞれで、一方で自分も思ったことがなかなか表現できなくて残念で仕方ありません。もっともっと言いたいことがあっても、レビューやコメントという形では難しいなあ、と今回特に思いました。本当にもっともっと言いたい!やまちょうさんのレビューとコメントで力もらいました!

talisman
NOBUさんのコメント
2024年1月28日

あ、返信は不要ですよ。

NOBU
2024年1月28日

レビューに同感です!

talisman
NOBUさんのコメント
2024年1月28日

こんにちは✨😃❗️
共感有難うございます。
ヨルゴス・ランティモス監督は今作品の原作を読んで直ぐに映画化の交渉に行ったそうなので、余程思い入れがあったのかな?と思いました。
彼の監督作品はどれも強烈ですが、今作品もナカナカでしたね。では。

NOBU