「異訳:フランケンシュタインの娘の成長物語。」哀れなるものたち おひさまマジックさんの映画レビュー(感想・評価)
異訳:フランケンシュタインの娘の成長物語。
本年の劇場鑑賞1本目は、コメディ部門でゴールデングローブ賞を獲得した本作。
すわ、アカデミー賞受賞も見据えられており、期待を込めて見てみよう、と。
ヒトの理性の外側の、好奇心。物体や事象への興味。
それらを「欲」というのであれば、この作品は、幼く、しかし幼さと矛盾したオカルトチックで純粋な「欲」にまみれた物語でした。
ああしかし。こんなものを140分も、いったい何を見せられているんだという感じは否めない。ずっとエロいし、グロいし。笑うといってもシニカルなそれ。日本人がうまく笑えない質のもの。スウィーニートッド見たときの感覚をちょっと思い出した。
要するに主人公ベラの行きて帰りし物語であり、充分に成長しきったヒトである私からすると、ベラが進歩したと言っても正直、見るべき学ぶべきものは無い。赤子が大人のカラダを借りて急成長しただけの話で。ここで、見る人により、この作品への評価は分かれそうな気がします。
こんなくだらない映画が映画賞を受賞するようでは、世も末とも思う自分がいる。もし主役を演じたのがエマ・ストーンでなかったとしたら、同じように評価できるのだろうかと。同じ作品を邦画でリメイクしたら大問題作と評価されそうだよな。
ただしかし、不思議と鑑賞後感は悪くないように思えてくる。ちょっとパリの時間が長すぎて、全体2時間くらいに収めてもよかったような気もするが(まああの娼館がベラの急成長の起点だから仕方ない?)、その割にはテンポは良く、話の面白さはあった。
また、身にまとう衣装や、SF×中世のような舞台の世界観、色彩、デザインはどれも素晴らしい。これは後々に残っていく高いレベルとおもう。きっと絵コンテも素晴らしいものに違いない。
うーん、なんなんだこの作品は。
要約してみると、、
ベラは、スラムに住む子どもたちを哀れと思う。性欲にまみれる男たちにも哀れみを感じる。自らを生物実験台とした悪魔のような生みの親を赦す。自らを思い慕う愛を受け入れる。そしてラストでは母の復讐を自らの業に沿った形で成し遂げる。さらに、医師を目指していくベラはきっと人助けのための医学者になるのであろう。主人公の筋道だけを抜き出してみると、まるでどうだ、こんなにも美しい物語ではないか!
エログロSFヘンテコ作品と切って捨てることの出来ない、この感覚がこの映画の不思議な魅力なのだろうか。
いやはや、今年は1作目から悩ましい作品に出会ってしまったものだ。出会ったことの後悔は、一切ない。
共感+コメントありがとうございます!お褒めいただきm(_ _)m嬉しい限りです。。
私もアヒル犬やらが出てきたあたりから「…おやおや?」でした。生命への冒涜かいなと。
この作品の原作が小説で、ハヤカワ文庫から出ているんですよね。ハヤカワ文庫と言えばSF小説。マッドドクターのSF映画と知ってから観る方が気持ちがスムーズだったかも、と思いました。