「奇妙で悪趣味(誉め言葉)なコメディ」哀れなるものたち nakadakanさんの映画レビュー(感想・評価)
奇妙で悪趣味(誉め言葉)なコメディ
奇妙なグロテスクさもあり滑稽さもあり、女性の主体性を考えさせられる真摯さもあり、とても面白かったです。
ベラの衣装もどこか奇妙でポップで、絵画のような風景もどこか奇妙で美しくビジュアルも楽しめましたし、シンプルな響きながら不穏さや奇妙さを絶妙に掻き立てる音楽も印象的でした。
ゴッドのビジュアルもインパクトがあり、悲惨すぎる過去のエピソードを淡々と話す空気感は笑ってしまいましたが、笑っていいのかなんなのか。
現実的には、性的な部分は病気や妊娠の心配もしてしまいましたが。
とは言え、固定観念に縛られず、性的好奇心も知的好奇心もフラットに理性的に捉え、主体性を持って冒険する様子はやはり好感が持てますし、クズ男の落ちっぷりも笑えます。
女を所有物と考える男の抑圧から逃れ、女性の主体性を尊重する物語という側面も良かったです。
クズ夫の末路も笑いました。
しんみりとしつつ朗らかな雰囲気で終わるかと思いきや、最後にこれかと。
ひどい、悪趣味(誉め言葉)、やはりこのオチを見るとコメディだなと。
しかし、ベラは人間を改造したことに否定的な態度もとっていたのに、こうするのか?とも。
他人を人間扱いせずある意味改造するような危害を加えようとしていたクズ夫なので、因果応報いい気味だと笑えましたが、クズとは言え脳を改造して黙らせるのも倫理的にどうかとも思ってしまい、やはり笑っていいのかなんなのか。
赤ん坊にされたかと思っていましたが、そっちだったかと。
しんみりとし過ぎずに、こういうどこか狂ったブラックユーモアでの終わり方というのも良かったです。
ついでに、関西ローカルの朝の情報番組でおススメ映画として紹介されていましたが、朝ののほほんとした番組で軽い感じで紹介していいのか?と、何だか笑ってしまいました。
面白いし良い作品なので多くの人が観ればよいとは思いますが、クセがあるとも思いますので。
ある程度性的な描写があるだろうとは思っていましたが、思った以上に直接的で多かったですし。