「不埒」ほつれる ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
不埒
門脇麦さんのファンというのみで鑑賞。あらすじで不倫の話なのかなーくらいで鑑賞しました。
正直、映画としてはパンチが足りず、登場人物のほとんどの性格が小根から腐っているので、そこに不倫という要素が重なったせいか、個人的には全然ハマらずじまいでした。83分という尺でもかなり長く感じてしまいました。
不倫をベースにしているだけあって物語はかなり重めですが、基本的には自分中心の考えの人間たちの責め合い映画だったので、上司やそれに近い関係の人に詰め寄られた経験のある人にはあまり良い気分になれる映画ではありませんでした。それ以前に不倫を扱うには全体的に薄く、取って付けたようなシーンばかりで安っぽく思えてしまいました。
綿子は不倫のことをやましいと思いつつも、何度も何度もやっており、その関係性を楽しんでいるように見えましたし、文則との舌戦になった際もダンマリや逆ギレを繰り返していたり、誤魔化そうとしたりしていたので、配偶者のいる女性としてアウトだなと思いました。木村が交通事故に遭ったシーンでも自分の保身を優先して通報を躊躇いましたし、告別式にも出ないなど、自覚が無いという言い訳を元にしているだけのようで気持ち悪かったです。
文則も詰め方が中々高圧的でしたし、なんなら元妻と不倫をしている事実が明かされますし、そこを言われると逆ギレしちゃったりで、夫婦共々終わってんなーっていう視線で見てしまいました。
木村の奥さんも顔は見えず後ろ姿とセリフのみでしたが、不倫のきっかけを問い詰めるだけのシーンなので良い印象は残りませんでした。
木村父はずっとはっきり喋れや!(胡散臭さ全開なのは良かったです)と思ってしまい、行動もテキパキしなさいよ!と思っていたら、不倫の事実を木村の奥さんにサラッとバラしてしまうなど、正しい行動っちゃ正しいんですが、あんだけモヤモヤしてたのにそこの行動に移すのは早いのかと呆れてしまいました。
延々と車道を走って新天地へと向かう様子も、長ったらしく感じてしまい、はよエンドロールへ突入してくれと思ってしまいました。余韻を楽しめない人間なのは重々承知なのですが、それでもこの長さはいただけなかったです。
役者陣の演技は本当素晴らしいです。特に田村健太郎さんのいや〜な詰め寄り方や、見せかけの優しさだったり、何かが切れたかのように投げやりにキレまくるシーンだったり、とにかく不快でしたがそれと同じくらい凄いなと思わされたのでここはとても良かったです。
門脇麦さんの無気力からの逆ギレに転じたりの切り替え方はもう流石としか。
映画の中でも数少ない良いシーンとして、不倫が性行為だけでは無いということが表現されていたからです。キスしようとするくらいで、木村との不倫は空港やグランピングと遊びに行く感覚というもので、同世代の異性と遊びに行く事だけでも、配偶者がいれば不倫になってしまうというもどかしさが上手に描かれていました。まぁ不倫はよろしくないと思っているので、冷静に考えてやっぱダメだよなという結論には至ってしまいました。
映画というよりかは文章でじっくり読む方が向く作品なのかなと思いました。不倫というテーマをコメディとしてしか楽しめない自分にはそもそも向いていなかったのかなとぼんやり考えてしまいました。うーん残念。
鑑賞日 9/12
鑑賞時間 20:55〜22:25
座席 F-7