「不倫の方が燃え上がる」ほつれる tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
不倫の方が燃え上がる
テーマは「不倫」。
題名の意味するところは、二組の夫婦の妻と夫の関係性だろうか?
田村健太郎が、一見、誠実そうだが、理屈っぽさが鼻について、生理的な嫌悪感を抱いてしまいそうな夫を好演している。
翻って、門脇麦演じる妻の方は、一体何を考え、何をしたいのかがよく分からなかった。
基本的に長回しの会話劇が続くのだが、特に不倫がバレた後の「妻と不倫相手の妻」の会話と、「妻と夫」の会話には、見ているこちらが息苦しくなるような緊張感が漂っていて、スタンダードサイズの画面の閉塞感も効果を上げている。
その一方で、そうした演劇的な見応えはあるものの、映画的な面白さがあまり感じられないのは、物足りないとしか言いようがない。
ラストは、「最初からそうしておけば良かったのに」と思えるような、あまりにも当たり前のところに落ち着いて、延々と何を見せられてきたんだろうという気分になる。
ただ、「不倫関係だった頃の方が、お互いに優しくて、うまくいっていた」といった台詞には、妙に生々しい説得力を感じてしまった。
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