劇場公開日 2023年12月8日

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「8月だから戦争映画を!って、あれ?違いますか。」あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)

1.58月だから戦争映画を!って、あれ?違いますか。

2024年8月31日
PCから投稿

去年2023年「ゴジラ-1.0」、「ゲゲゲの謎」と同じような戦後期の映画がほぼ同時期に公開され、話題。テーマ、ターゲットも全く被らないわけではないので、偶然、ということになるんだろうが、ゴジラはさておき、「ゲゲゲ」も本作も予想外のヒットということとなった。

特に本作は興行収入45億円とのことで、すごいヒット。本作のプロデューサーはSNSで人気の原作の映画化を企画し、映画もSNSでバズって、ここまでのヒットになったのだろう。

まずは、ヒットさせることの企画とその成果に対して、素晴らしいと思う。

だが、メンドクサイおっさんが、目くじらを立てて、ああだこうだ言う映画ではない前提を重々承知したうえで言うが、これを「戦争映画」のジャンル分けや本作の原作含め、製作の思いを、「若い人に戦争の虚しさを伝えたい」というにはちょっと辛いものがあるのも事実。

「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」




とりあえず、繰り返しにはなるが、いい企画ではある。

「異世界転生」、「タイムスリップ」、「女子高校生」、「ちょっと重い舞台」、「わかりやすい登場人物」、「主人公の成長」。途中に盛り上がりをちょいと入れれば完成ではある。企画上、主人公はどこまでも、キレイでないといけないし、どうであろうと、ラストは成長して終わり。いいと思う。

だから、おっさんはハナから「戦争映画」として見ることを放棄。

でもね、タイムスリップを描くのであれば、もうちょい見る者を驚かせる、までは言わないけれど、そこをある程度納得させるものとして描いてほしかったなあ、と。

主人公を終戦手前の時代にタイムスリップさせたのが、「何らかの力」であるならば、帰すのも「何らかの力」が何らかの事情、作用、結果が働くことに映画的興奮がある。

「行く」のは、自己を犠牲に、他人の子供を救って死んだ父親を否定している主人公への戒め、とするならば、あの場所である理由も必要性もなく、「帰って」くるのもあそこで消える、というのも、そもそもみんなの目の前で消えちゃイカンでしょ。

所詮、映画なんで、タイムパラドックスとかなんとか言っても仕方がないことなんだけど、資料館で彰の手紙がおかれていると同時に、其処にいた女の子がいきなり消えたとかという記録が在って、ラスト「ニヤっ」てなエピソードがあったら、おっさんはとても嬉しくなったんですけど、そうはならない。

つまり、本作の最も重要視される「ラブストーリー」には「タイムスリップ」におけるスリル、ドラマ、伏線回収は全く必要ないという、潔い製作者側の意志が見える。

と良いように解釈すれば、なんだけど、いくつもの戦争映画を見てきたメンドクサイおっさんにとっては、本作鑑賞中の一番の楽しみは、「どうやって帰るか」になってしまったから、こればっかりはオレが悪い。

追記

主人公のお顔が立派すぎて、どうしてもお化粧しているようにしか見えず、作り手の意図したものなんだろうから、若い子らを呼ぶ「ラブストーリー」として、徹底している。

追記2

彰の最後まで自己犠牲を美談としない、感情的にならないところはよかったね。

と締めたかったのだけれど、本作の原作はこの続きがあって、彰の生まれ変わり、らしい。ありゃ、オレがいいなと思ったのはどうも見当違いだったらしい。読むつもりは全くないですけど、「タイムスリップ」の伏線回収があればいいね。

そういうことなんで、やっぱりおっさんが見る映画じゃなかったということで。

しんざん