「原作より構成がよく出来てる。」あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 りんさんの映画レビュー(感想・評価)
原作より構成がよく出来てる。
私は映画を観た後に原作を読みました。
映画から原作の順に見た意見を書かせて頂きます。
原作の百合は14歳と幼くただの中学生の反抗期。彰もロリコンに見えてかなり不愉快で周りが言ってるほど原作は感動もできないし、とてもイライラしました。
でも映画は百合を高校生で設定していて、彰とも年が近く描かれてるので恋愛としても不快感なく見ることができました。
高校生の設定にしたことで反抗期に加えて進路という部分が付け加えられ、それが伏線になっているのもよかったです。
そして映画の板倉と百合は同い年で描かれていて『自分と同じ年の子がお国のためと命を捨てようとしている』という、戦争についても感情移入しやすく設定してあった印象です。
戦争孤児の男の子も少し怖いシーンではありましたが、原作より映画の方が戦争の恐ろしさをより引き立たせていたなと思います。
何より嫌だったので原作では彰が転生したと受け取れる描写があったことです。
戦争について描いた作品で、転生してまた出会うというのはあまりにも綺麗事すぎて私は嫌いです。
だからこそ、そういうシーンを描かなかったこの映画は本当に良かったと思います。
2時間という限られた上映時間でここまで綺麗に設定をまとめ、百合と彰の恋愛、彰の特攻隊の仲間達それぞれの思いの描写、戦争の怖さや悲しさを描ききったのは、俳優さんや女優さんの演技も相まって流石だなと感じました。
戦争の話を題材にした話はたくさん見てきましたが、1番この映画が何度でも観たくなるくらい好きです。
正直原作を読まずに映画を観た人達で原作を読もうと考えている人はあまり期待しないほうがいいと思います。
でも映画では彰の細かな心情や、特攻したときの描写が描かれてないので、彰について知りたい人は読んでみてもいいかもしれません。