劇場公開日 2023年12月8日

「純愛映画の皮を被った戦争映画、その意義と映画の多様性の必要性」あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 romiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0純愛映画の皮を被った戦争映画、その意義と映画の多様性の必要性

2023年12月12日
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鑑賞方法:映画館

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知的

昨今話題の戦争を扱った年末映画4連発。太平洋戦争開戦前夜〜戦中を描いたアニメ映画『窓ぎわのトットちゃん』、戦中末期を描いた実写映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』、戦後を描いた実写映画『ゴジラ-1.0』とアニメ映画『鬼太郎誕生ゲゲゲの謎』。すべてを観た上での感想。
たしかに本作は、他の3作に比べるとかなりライトで、戦争映画をたくさん観てきた層にとっては、浅い薄いという印象も当然だろうと思う。ただし、じゃあこの作品の存在意義はないのかと問われたら、むしろ日本の世界の未来にとって非常に大きな意義のある作品だと答える。
私が観た劇場では、トットちゃんは50代60代、ゴジラ鬼太郎は40代以上の観客ばかりだった。がっつり昭和の作品がルーツなのだから当然だろう。これらを自ら観ようと思う10代はかなり少数派のはずだ。そんな世代が、あの花には足を運び、SNSで感想を投稿し、それを見た若者が映画館へやってくる。そんな流れができているなんて奇跡的じゃないか。あと印象的だったのは、女子ターゲットだと思われるが男子学生も多かったこと。私の近くにやんちゃそうな男の子の集団がいて、最初はにやけたりしていたものの、中盤からは鼻をすすりはじめ、終盤では嗚咽をもらし、泣き声をこらえるためかうめき声を上げている子もいた。
本気の戦争映画には見向きもしないであろう層が、純愛映画を観るために押し寄せてきて、ほんの一部とはいえ戦時中の生活や空襲や特攻隊のことを知る。これは非常に大きな意義があると思う。どんなテーマでもガチのものからライトなものまで作られるべきという映画の多様性の必然性も感じた。

romi
琥珀糖さんのコメント
2024年5月14日

はじめまして

とても論理的なレビューで、自分の意見を真っ直ぐ伝える姿勢に
共感致します。
私もよく似た感想を持ちました。
平易であること、高感度の高い主演の男女の魅力、
戦争を易しく伝える意義は果たしましたね。
「男たちの大和」なんかも、入門には
若い人には観やすいと思います。

琥珀糖
りかさんのコメント
2024年2月29日

こんばんは♪初めまして😊
共感していただきましてありがとうございました😊
大変共感いたします。
何だったか、最近もTVで有名な
そして古い戦争にまつわる作品を放送していましたが、
観ようとは思えませんでした。
一つには身構えてしまうのもあるからです。色々ツッコミどころたくさんですが、良かったです🦁

りか
大吉さんのコメント
2023年12月23日

今は配信で過去の作品も容易に観ることができるので、この映画を観た若い人たちがいろいろと感じて過去の名作を観るきっかけになればいいと思います。映画の多様性、大きな意義があるとあらためてこの作品を観に来ている若い人たちを見て感じました。

大吉