劇場公開日 2023年12月8日

「ラブストーリーを主軸に、特攻隊員達の心情に迫る群像劇」あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ラブストーリーを主軸に、特攻隊員達の心情に迫る群像劇

2023年12月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

怖い

本作の公開日12月8日は何の日かと問われて即答できる人は少ないだろう。太平洋戦争開戦日。日本の真珠湾攻撃が行われた日である。あの日から82年後に本作が公開されるのは単なる偶然ではなく作り手の強い意図を感じたので心して鑑賞した。

本作は、特攻隊員と現代からタイムスリップした女子高生のラブストーリーが主軸であるが、特攻隊員達の群像劇でもあり彼らの心情に真摯に迫る感涙作である。

本作の主人公・高校生の加納百合(福原遥)は卒業後の進路のことで母親と喧嘩し、近くの元防空壕で一夜を明かすが、目覚めた時、そこは1945年6月の太平洋戦争末期の日本だった。呆然自失の百合に青年・佐久間彰(水上恒司)が声を掛け、軍指定食堂に連れていく。そこで、百合は、女将のツル(松坂慶子)、勤労学生の千代(出口夏希)、彰と同じ隊の石丸(伊藤健太郎)、板倉(嶋崎斗亜)、寺岡(上川周作)、加藤(小野塚勇人)と知り合う。百合は次第に彰に惹かれていくが、彰は特攻隊員であり出撃が迫っていた・・・。

彰は、彰が好きな百合の花で覆い尽くされた丘に百合を連れていく。二人を優しく包み込む百合の丘の美しさが、二人の愛を翻弄する戦争の不条理を際出たせている。切な過ぎる。

ツルの店での特攻隊員達の会話は、当初、大義に殉じることで統一されていた。しかし、生きることを大切にする百合の考え方に触れ、家族を残して死ねないという想いと大義に殉じるという想いが激しく交錯する。彼らの苦悩が浮き彫りになる。従来の作品では、苦悩の末に大義に殉じて出撃するのだが、本作では、そうでないケースも赤裸々に生々しく描く。彼らの苦悩の深さが得心できる。

百合は懸命に彰を説得するが、大義に殉じるという彰の気持ちは揺るがない。二人の愛は彰の出撃で、戦争の不条理で終わる。

太平洋戦争から78年が経過した。今後も日本が平和を堅持するには、本作のような作品を観続け戦争を忘れないことが大切である。太平洋戦争を忘れないことが戦争抑止の最善手である。

みかずき
琥珀糖さんのコメント
2024年5月4日

おはようございます。
共感・コメントありがとうございます。

公開日が開戦日と意図して重ねられていたのですか?
そうですか?
戦争を知らない若い人に戦争をそして特攻を教える・・・
それが初めからの意図だったのですね。

琥珀糖
りかさんのコメント
2024年2月23日

出撃=死、だからですね。
百合への手紙は、佐久間が自分を愛するか故に出撃したとわかると辛いですよね。
鶴さん、心を砕いてられたのですね。

りか
りかさんのコメント
2024年2月23日

こんばんは♪ご丁寧にコメントを
ありがとうございました😊
せっかくコメントしていただいたのに、多分、消去されていたのかもしれません。もちろんみかずきさんではなく、本サイトに。
私時々あります。みかずきさんのコメントが消される、なんてありえないとは思いますが、削除基準がわかりませんので。何回もお手数おかけしましてすみませんですし、ありがとうございます😊

りか
りかさんのコメント
2024年2月17日

すみません、
質問ですが、なぜ鶴さんは、
預かった手紙を出さずに持っていたと
お考えになられますか?

りか
りかさんのコメント
2024年2月17日

おはようございます😃
共感していただきましてありがとうございました😊
大義と言いつつ、言わねばならないので、本心は、ゆりや両親を想ってでしょうね。🦁

りか
光陽さんのコメント
2023年12月31日

太平洋戦争の惨劇を風化させないためにも、意義のある作品でしたね。

光陽
ぱおうさんのコメント
2023年12月22日

私の方にもコメントありがとうございました。最近は、少し劇場鑑賞が増えてきています。好みの作品が多いのかもしれません。
本作を観て、現代の戦争を考える時、ウクライナの悲しい現状が思い浮かびました。理不尽ですが、軍事大国が攻めて来たら、戦力差を覆すのは困難ですね。
ここ数千年、変わらない歴史の姿に、絶望に近い気持ちになります。
せめて、身近な家族や、親しい方々とは、日々理解し合って、平和に過ごしたいものです。
本作から、そんなことを感じました。

ぱおう
seiyoさんのコメント
2023年12月17日

こんにちは~。
開戦日なんですね…

日常生活をおくれることに
感謝ですね。

seiyo
もーさんさんのコメント
2023年12月16日

みかずきさん、はじめまして。コメント有難うございます。返信が遅くなって申し訳ないです。
仰る通りこの映画を沢山の若い人が観て、これから日本が世界が戦争を抑止するにはどうしたら良いか、考えるきっかけになれば良いですね。
私の独断かもしれませんが、日本人は「戦争は絶対駄目」「戦争反対」とは言いますが、どうも観念的な面が強く感じられて、実際戦争が身近にある他国の方が戦争については実感を持って捉えている様に思います。
だから私は最近は大平洋戦争は勿論ですが、戦前の日本人がどうしてああも易々と(後世から見るからそう思うのかも知れませんが)戦争に突き進んで行ったのかに関心・興味があります(戦前の日本人だって戦争はしたくなかった筈だし)。
それを知ることも戦争抑止を考える一助になると思うので。
この映画で「戦争は絶対に起こさしてはならない」と思った若者達にもどうしたら戦争という紛争解決法の最終最悪な手段を取らないですむか、考えるよすがになれば、と思います。
長々と書いてすみません。
ただ、昔この国には戦争があったこと、その戦争ではどんな愚かしいことをしていたか(特攻や人間魚雷なんて日本人が思い付いたことからして日本人にはそういうDNAがあるのかも)を知って貰うのに、一人でも多くの日本の若者達にこの映画を観て貰いたいということには大賛成です。

もーさん
活動写真愛好家さんのコメント
2023年12月16日

共感ありがとうございます😊

活動写真愛好家
印刷局員さんのコメント
2023年12月14日

コメント、ありがとうございます。うろ覚えだったので、合っていて良かったです。

印刷局員
くりさんのコメント
2023年12月12日

そうですね。
忘れないことが大切ですね。

くり
NOBUさんのコメント
2023年12月11日

今晩は
 コメント有難うございます。
 私も、今作は中高校生の若い方に観て貰いたいな、と思いました。
 私は地方都市在住なので、お客さんの入りは3割程度でしたが、劇場のあちこちから、後半涕泣の音が響いて来ました。
 ”戦争は絶対に駄目!”という想いは若い人は強く思っていると私は思っていますが、(この意識は、50代以上の右翼的思想を持った人よりも若い人の方があると私の部下を観ていても思います。)今作を観てその念を強く持って貰いたいと思っています。これからの日本を支えるのは、中高生だと私は思っていますので。では。

NOBU