「今からでも遅くない。レアな超絶ショットが連続する必見ドキュメント」憧れを超えた侍たち 世界一への記録 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
今からでも遅くない。レアな超絶ショットが連続する必見ドキュメント
今更、ではなく、今でも、過ぎ去った春の興奮が蘇ってきて、不覚にも、涙する場面が何度かあった。去る3月、日本中をヒートアップさせた2023 WORLD BASEBALL CLASSICSの全試合とリアルな舞台裏に密着したドキュメンタリー映画を配信サービスで観た率直な感想だ。
あまりにベタ過ぎてスポーツドラマにすらならない、とまで揶揄された侍ジャパンの完璧な戦いっぷりに関しては今更言うまでもないだろう。そこで、これまでも2度WBCのドキュメンタリー映画を手がけている三木慎太郎監督(撮影も兼任)は、選手選考会議や宮崎合宿など、本番前のプロローグになる部分にも時間を割いて、怒涛のクライマックスをもう一度体感したい観客の気持ちを上手に引っ張っていく。栗山監督以下、スタッフや選手たちとカメラの距離感が絶妙で、ニュースショーではなかなか観られなかったレアがショットが連続するのも有難い。
それは、試合が始まってからも同じで、詳細は避けるが、「ベンチ裏で意外な素顔を見せる大谷」や「意外な日本語を知っていたヌートバー」や「人知れず感情を露わにする佐々木朗希投手」など、超絶ショットが各所に挿入されている。
話題のドキュメンタリー映画を総括すると、知っていたことと知らなかったことがいい塩梅に配置された、今からでも充分間に合う必見作。ドラマを超えたドラマのパワーは当分落ちそうにない。
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