「「もっと締めて!」」エリザベート 1878 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
「もっと締めて!」
奇しくも、直近で観賞した作品での印象的な使われ方をされた"ハンガリー舞曲№5"からの繋がりである、ハンガリーとの二重帝国関係先のオーストリアが舞台(ロケーションは色々な国に行くが)の王女の1年間の物語である
一風変わっていたのか、それとも其処まで追込ませていたのか、女王の心の解放を赤裸々に描いたストーリーテリングに仕上がっている
事実とフィクションのバランス感も奇を衒っていて興味深く、ラストのオチは賛否両論あるようだが、落とし前の付け方としては定石だったのではないだろうか? 改変することで、この歴史とは違う一つの"マルチバース"の世界観を構築した点は映画の可能性を拡げた意欲作である
所謂、『ジェンダー問題』としてのプロットは、表層的な部分かなとは感じる 今の時代に即しての対比は、根本を探るという点に於いては有効だが、あの時代、しかもその時代でさえ前時代的生活様式を尊ぶ閉ざされた世界を今更否定しても詮無き事 そしてあの時代でさえ世情がそれを許さない雰囲気をゆっくりと包み込み、まさに"黄昏"を匂わせているのは古今東西同じであろう
今作を鑑賞して誰でも起想する騒ぎがこの国にもあり、それは現在でも続いている
逃れられない呪縛は正に"コルセット" 強く絞めることを願うのは、本人の意志?それとも家族?はたまた勝手に夢を願い奉り立てる市囲? 様々なメタファーとしての
シークエンスを差し挟む事で、作品中の王女の心のヒダを丁寧に易しく表現しているカインドネスを評価したい
一つ、今作にて自分なりの心が惹き込まれた点は、世間と王宮との生活対比を幻想的に構築した場面転換ではないだろうか? 中世ヨーロッパの世界観からの、汽車や大型船の登場、時期は改変されているが映写カメラの登場などは、馬車や乗馬、そして肖像画といったものとの隔世の感を見事に表現していて、困惑を観客に抱かせる印象付けとして見事である その流れで、ハープで奏でる"As Tears Go By"は、ローリングストーンズの曲があの時代にもう生まれていたのかも知れないという錯覚も受け入れてしまう魔術もしっかり忍ばされていて、なかなか抜け目のない油断ならない強かさも印象付けられる ヘロイン中毒や刺青も、現在と照らし合わせると眉潜める行動も、本来ならば自由闊達さが性格の王女を蝕んだ結果という、ステレオタイプかも知れないが解りやすい作りではないだろうか
明治時代の日本では、天皇中心とした社会構築に勤しむ間、このようにヨーロッパでは一歩先の時代の中心で産声を揚げ始める自由主義 同じ時間を共有していても進歩に差を感じる事の興味深さをふりかえる上で大変面白い内容であった
返信お気遣いありがとうございます😊またまたご謙遜を。
ストーンズはバラード少ないので異色ですね。でも名曲ですね。洋画だからこそですね❗️ありがとうございました♪。