劇場公開日 2023年7月21日

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「進化を続けるイスラム圏の女性映画」裸足になって 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0進化を続けるイスラム圏の女性映画

2023年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

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2019年製作の「パピチャ 未来へのランウェイ」で長編映画デビューを果たしたアルジェリア人の女性監督ムニア・メドゥールが、同作で主演したリナ・クードリと再びタッグを組みオリジナル脚本で完成させた新作。約3年前の前作よりもストーリー運びと編集テンポが格段によくなり、洗練された印象を受ける。イスラム圏のアルジェリアで抑圧された暮らしを強いられながらも自分らしい生き方を模索する女性像は共通するが、ダンスと手話という2つの身体表現を組み合わせたパフォーマンスのおかげもあり、視覚に訴えるより魅力的で力強い映像作品になった。

トルコの「裸足の季節」(2015)、「モロッコ、彼女たちの朝」(2019)、イランの「白い牛のバラッド」(2020)と「聖地には蜘蛛が巣を張る」(2022)など、ジャンルはさまざまだがイスラム社会での女性の生き方を題材にしている点で共通する良作や力作が少しずつ増えてきている。女性の地位向上と多様性の尊重という時流があり日本公開される映画が増えている面もあるだろうが、そうしたテーマを扱う作り手たちが互いに影響し合い、女性映画の進化と洗練につながっているようだ。

高森 郁哉