湖の女たちのレビュー・感想・評価
全113件中、1~20件目を表示
日本の黒歴史を俯瞰して記憶にとどめるきっかけに
本作については当サイトの新作映画評論の枠に寄稿したので、ここでは補足的な事柄をいくつか書き残しておきたい。
まず、評では原作と映画で直接または間接的に言及した史実や事件を時代順に5つ挙げた。そのうち731部隊とミドリ十字などによる薬害エイズ事件は、人体実験に軍医として関与した内藤良一がのちに日本ブラッドバンク(ミドリ十字の前身)を創業したという点でもともとつながりがあった。だがそれ以外の3つの出来事にも事件が起きた背景などに共通する傾向を見出し、小説のストーリーに組み込んだのはやはり吉田修一の作家としての構想力の賜物であり、読み進むほどに圧倒される思いがした。
原作を未読で映画を鑑賞した場合、圭介(福士蒼汰)や佳代(松本まりか)の内面が小説ほどには描き出されていないことも相まって、情報が整理されずすっきりしない印象を受けるかもしれない。とはいえ、映画で気になったり引っかかったりした部分を確認するために小説を読んでみるのももちろんありだし、興味を持った事件があればネットで検索して解説記事やWikipediaなどで情報を補うこともできる。小説であれ映画であれ、「湖の女たち」をきっかけに歴史を俯瞰して日本人の国民性を見つめ直す契機になれば、それはきっと意義のあることだと思う。
ちなみに、実際の滋賀の人工呼吸器事件では、冤罪被害にあった看護助手の女性が取り調べを行った刑事に対し「特別な感情を持った」ことも、解説記事や書籍(「私は殺ろしていません 無実の訴え12年 滋賀・呼吸器事件」中日新聞編集局)などに記録されている。吉田修一は彼女に起きた2つの出来事を、佳代と松本郁子(財前直見)という2人のキャラクターに振り分けてフィクション化した。取り調べ対象の女性が男性刑事に特別な感情を抱くというのは、犯罪被害者が犯人に心理的なつながりを築く「ストックホルム症候群」や、患者が医者や看護師に恋愛感情を抱く「転移性恋愛」に似た状況なのかとも思う。そのあたりの論考を進めても面白くなりそうだが、評では字数の制約もあり触れられなかった。
評論で割愛した要素をもう一つ書き残しておきたい。小説と映画の舞台として、琵琶湖近くの「西湖地区」「西湖署」などの架空の固有名詞が登場する。調べてみると、呼吸器事件が起きた湖東記念病院の近くに琵琶湖の内湖の一つ「西の湖」がある。第一にはこれを元に「西湖(さいこ)」という架空の地名を当てたのだろう(なお、滋賀県ではないが山梨県の富士五湖の一つとして「西湖」は実在する)。ただし映画にも造詣が深い吉田修一だから、サスペンス映画の古典的名作であるヒッチコックの「サイコ」も念頭にあったのではないか。「サイコ」と「湖の女たち」の物語上の共通点として、沼/湖に沈める・引き揚げる行為が重要な意味を持つこと、鳥を愛好するキーパーソンがいることが挙げられる。こじつけかもしれないが、そんな見方もまあ面白いのではないかと。
いやこれは…
有名な社会的事件を短絡的につなぎ合わせてでっち上げただけの無内容な映画
吉田修一の原作映画は何本か見ているのだが、おおまかな特徴としては大きなエピックとなった社会的事件を題材とする、いわゆる社会派の作家らしい。ただ、それらエピックが短絡的に結び付けられるだけで、ストーリーとして煮詰められていない気がする。気がする、というのは彼の小説を読んでおらず、確かなことが言えないからだ。何故、読まないかと言えば、単純にアホらしくて読む気にならないからであるw
今回の作品はその特徴が顕著で、ざっと数えただけでも、①旧日本軍731部隊の人体実験、②薬害エイズ事件、③湖東記念病院人工呼吸器事件、④障害者施設やまゆり園大量虐殺事件、⑤LGBTの社会的受容の可否問題、⑥自白偏重で出鱈目な刑事司法、⑦重大事件に対する政治家の圧力による捜査妨害、⑧メディア弾圧――が題材に使われている。
それに加え何故か、刑事と容疑者の濃厚なSM的関係がたっぷりと描かれていて、はっきり言って何が何だかわからない、というのが正直なことこだ。
一応、ストーリーらしきものはあるが、何しろ無関係な話題と話題を短絡的に、必然性もないまま繋げただけなので、それを追っても無意味である。
また、こうしたトンデモ話を担うキャラクターも、やはりトンデモとしか言いようがない。
福士演ずる刑事は妊娠した妻がいるのに、こともあろうに殺人事件の容疑者である女性介護士とSM的なドロドロの恋愛関係にのめり込み、何と取調室で濡れ場まで演じてしまう。こういう映画は初めて見たw
浅野演ずる先輩刑事は、ろくに捜査もしないで福士のケツを叩きながら容疑者に自白させることばかり考えている。
週刊誌記者らしい福地は、終始モゴモゴした話しぶりで、主張も何もなく、記者らしさゼロで、ある意味圧倒的に無意味な役割に、唖然とさせられる。
こういう素材だけを玩具のように組み合わせて、適当にダラダラ描くだけの小説や映画に、果たしてどんな意味があるのか、小生にはまったく分からない。あるいは、全体の中で一つか二つ、強烈なシーンが印象に残ればいい、という発想なのかもしれない。
押し込められた巨大な水たまり
介護施設での事件、過去の薬害事件、市島松江が戦時中に見た事件、そして、松本まりか演じる佳代が福士蒼汰演じる刑事に支配されようとする行為は、自分の運命を他人に握られるという点において同じだ。
違うところがあるとするならば、三つの事件とは違い、佳代の行動は自分の意思であるところだろう。死にたいと思うこととは違う、自分で自分の行く末を決めたくないと思う気持ちだ。
現代の感覚で見ると狂った考えのように思えるが、ほんの100年前であれば、生まれたときに自分の行く末は誰かに決められていたようなものなのだ。あなたとあなた結婚しなさい。あなたは子どもを産んで家事をしなさいと。
それは薄くなったとはいえ形を変えながら現代にも続いている。女だからどうとか、看護師ではなく介護士だからどうとか、そういった決めつけは、昔の時代の「女は家事をしろ」と根底に流れる考え方は同じ。
どうせこのように指図されるかのごとく決められるならば、自分からそこに飛び込んだとしても同じなのではないか。その中で自分なりの自由を得られるならばそれでいいのではないか。闘う意思を持てないならば早々に降参してしまう佳代の感覚も「狂った考え」とは思えなくなる。
闘う意思を見せる人として、執拗に取調を受けた松本が、更に過激に闘う人として介護施設事件の真犯人三葉が、闘いに躓く人として新聞記者の池田が、そして闘うことを放棄する人として佳代がいる。
理不尽に対する抵抗にグラデーションがあるのはいい。
湖とは巨大な水たまりのようなものだ。海とは違う。
海には自由を感じることができるが湖の場合はそこに押し込められているような感覚をおぼえる。
海へと続く道は残されているが、その道は細い。そこには、枠にはめようとしてくる目に見えにくい不自由さがある。特に女性には。
「命を教える」は作中の印象的なフレーズだが、生き死にだけではなく生き方も含まれるだろう。現代では自分の行く末は生まれたときに決まっているわけではないのだから。
より良い生き方を幾人かのキャラクターが示したエンディングは少しだけ明るさを感じた。
一番怪しい奴捕まえやんな、みんな納得せえへんで。
ちゃんと最後迄観たけど、
福士蒼汰さん、旅猫良かったのに、
ヘンタイ刑事、まだちょっと無理かも。
浅野忠信さんならピッタリ。
老けた財前直見さんにビックリ‼️
オーラ消して普通のおばちゃん役。
浅野忠信さん刑事、
あんたが故障したの、しちゃったの。
と松本役、財前直見さんにしつこくイヤらしく言う。
謎の福士蒼汰と松本まりかの関係⁉️
なぜ?いつの間に?
福士蒼汰に松本まりかが従属する関係⁉️
福地桃子記者も謎⁉️
若いのに、なぜ17年前の事件を見てきたかのように、
浅野忠信オッチャン刑事に言えるのか⁉️
女の子を疑って家に押しかけ詰問して、
よう警察に言われへんだな。
最後、湖で浅野忠信さんと二人で湖に佇むのも?????
ラストもようわからん。
???
吉田と大森の暗さには、もう古臭さしか感じない
んー
なんか色んな問題が多くてよく分からず見てました。
途中で飽きてしまってしっかり見れませんでしたが
熱意のある正義のある警察も、最後は揉まれて結局ずる賢い操作の仕方をしたりするようになっていってて、誘導尋問になってしまってましたね。
福士蒼汰と松本まりかのSMシーンの感じの雰囲気が2人とも演技うまくて、松本まりかさんは色気ある雰囲気出す顔つきがうまいですね。
初っ端から【言えや、俺に会いたかったって言えや】ってとんでもねえ自信あるなこいつって感じでした。笑
なんだかよく分からない映画でした。
小説感のある映画だとは思いますが、
私はあまり好みではなかったです。
謎の自慰
福士蒼汰と松本まりかが気持ち悪すぎる・・。気持ち悪いエロシーン、必要だった?浅野忠信は桑田佳祐かと思った。。昔もっとかっこよかったよね・・?
原作読んだらもっとはっきりするのかな?731部隊の話とか面白くなりそうだったのに、全部ふんわり終わってしまった。
テーマ散逸。そして池田役が・・・。
吉田修一原作の映画。
原作自体、複数のテーマが散逸し、融合させきれずに終わった印象だった(吉田修一さんのファンだが、最近はちょっと凝りすぎてて良くない方向に行きつつある・・・)ので、映画ではどうするのか興味を持って見てみた。最も融合が難しそうな満州編はカットかなと思ったらしっかり(それもわりと忠実に)描いていて、大丈夫か収拾つくのかと思いながら見進めたが、結局そのまま放置な感じで終わった。
小説というスタイルでなら何となくおぼろげにされていたバラバラ感が、映像になってより鮮明に表れてしまったというのが率直な感想。映画化してはいけない作品だった。
ただ、個人的に最も気になったのは、原作では男性であるはずの編集記者の池田役!
ここにあまり突っ込んでいる人がいないのが不思議なくらいだが、若者青春群像劇のナチュラルテイストの演技で、迫力なく、覇気なく、闇深い真実に切れ込んでいったり、上司からの理不尽な指令に歯噛みしたりする若手記者にはとても見えなかった。商業的要素の絡んだキャスティングなのだろうが、この役にそれをやって欲しくなかった。
なんか嫌な気分になる映画
深いのか?説明不足か?もしやこれでいいのか?
興味はひかれる
しかし、何も解決しない
介護施設で呼吸機器の停止による殺人事件
サディスティックな福士蒼汰と松本まりかの性愛
731部隊の時代の罪
50人以上死んだ薬害事件に政治的圧力で捜査中止
上記の内容が交差する
犯人の女子中学生の顔が腹たつ
ミステリー??…
原作を読んでないですが、中々理解できなかった。介護士の娘グループが犯人だったということなのか。そこに至るまでの様々な要因があり過ぎて、整理しきれなかった。俳優陣は体当たりな演技だったけど、変態としか思えなかった。
すんません
現代の話なのですか?
長い割には、ようわからん映画や
故郷の滋賀(琵琶湖)が舞台やから観ようと思ってたけど、結局、映画館では観られへんでNetflixになった。
長い割には、いろんなことを盛り込み過ぎて、ようわからん映画や。
介護施設で起きた事件に、薬害、731部隊、津久井やまゆり園、杉田水脈議員発言などが絡み合ってという展開にはちょっとついていかれへんわ。
それと劇中での西湖(さいこ)という言い方にものすごく違和感があった。
西湖は、山梨県にある富士五湖(ふじごご)の一つやないんかな。
ただ、子どもの頃に西湖堂(さいこどう)というパン屋があって、お使いで買いに行ってた記憶はあるで。
「高島市」やから西湖としたんかな?とは思うけど、ずっと湖西(こせい)という言い方に馴染んできたんでね。
それと、刑事の濱中(福士蒼汰)と伊佐美(浅野忠信)の関西弁が中途半端で聞いてられへんかった。
ええところは、松本まりかの鬼気迫る熱演、財前直見の苦悩に喘ぐ表情、三田佳子の重厚な佇まい。
ミステリーなんで、犯人は誰やねん!がなかなかわからへんかったけど、最後あたりで週刊誌記者の池田(福地桃子)が服部三葉にねらいをつけたので理解できた。
全113件中、1~20件目を表示