「最高に熱いレース映画!」グランツーリスモ とみしゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
最高に熱いレース映画!
ゲーム好きなら誰もが知っているであろうレーシング シミュレーター「グランツーリスモ」(GT)が映画化されると最初に聞いた時は、どんなストーリーになるのか想像もつかなかったけど、GTアカデミーで実際に起きた「シムレーサーがプロレーサーになる」という奇跡的な出来事がテーマになると知って、俄然興味が湧いた。
佐久間宣行さんのラジオやYouTubeチャンネルでも取り上げられていて、これは是非とも観ようという気になった。
観てみて納得。カーレース映画の新たな傑作が生まれたと思う。
「ゲームが上手い=何の役にも立たない」という偏見は今でもあるだろうし、ましてや「カーレースゲームが上手い=プロのレーサーになれる」なんて誰も信じないだろう。
でも、それを本当にやってのけた人がいる。それだけで胸熱の感動だ。
親にも信じてもらえず、GTアカデミーの中の人ですら半信半疑の状況だっただろうに、かつての名レーサー(今では冴えないメカニックのひとり)をコーチに迎えて、無謀な夢が少しずつ現実に近づいていく。
主人公はGTの腕前こそ優れていたものの、親には認めてもらえず、大学も辞めてバイトでその日暮らしをしている身分。
レーサーになりたい夢や情熱はある。でも、それをどう叶えていいか判らない。
子供なら誰もが思い描くであろう途方もない夢、大人であれば誰しもが思い当たる挫折や屈折。
かつてル・マンで走ったことのあるコーチですら、大きな夢と挫折を抱えていた。
多くの人がさまざまな理由で諦めた夢を、この2人は少しずつ現実に変えていく。
現実はとても厳しい。試練は何度も訪れる。でも、この2人なら、このチームならもしかして…
ドルビーシネマで鑑賞したけれど、レースシーンの迫力はとてつもなく、特に音の演出が凄まじい。
何度となく手に汗を握り、何度となく涙を流した。
できるだけ大きな画面で、良い音響設備のある映画館での鑑賞をお勧めする。
GTという偉大なゲームを生み出した山内一典さん、ポリフォニー・デジタル、SIEの皆さんに感謝と敬意を込めて、最高のレース映画をありがとう!
ニール・ブロムカンプ監督、最高!