駒田蒸留所へようこそのレビュー・感想・評価
全127件中、41~60件目を表示
続けるか、やめるか
不自然に絶叫して興醒めするようなキャラクターもなく、それこそ上物のウイスキーの如く静かに堪能できた。
さて、高評価なレビューの中にも序盤の光太郎のダメっぷりにイライラさせられたという意見が多いようで、
たしかにそれはもっともな反応だけども、実はああいう人間臭さの発露は嫌いじゃなかったりする。
というより、自分も含めて誰でも多かれ少なかれあのような一面を持ってるものでないかと思うのだ。
いい齢した人ならさすがに言葉にはしないけど、意外と節々の態度から察せられることがままある。
加えて、「仕事で自己実現できない奴はダメだ」といった昨今の風潮もそれを助長してるように感じる。
そこへまさにそれを体現した(ように映った)存在・琉生と協同することになったのだから、つい悪態をついてしまったのだろう。
本人も好きであんな態度をとってるわけではなく、これまではちょっと巡り合わせがよくなかっただけ。
信頼できるビジネスパートナーや上司を得たおかげでようやく本来のよさを発揮できるようになった。
これは持論だけど、前述したように人間は良くも悪くも周囲の環境に大きく影響を受けるものだ。
たとえ不本意な形での始まりだったとしても、環境次第で今回のようにうまくやっていける(こともある)。
そうして山あり谷あり、紆余曲折、照る日曇る日…と続けてくうちにやがて「天職」となっていく。
一部の人にしか通じない話で恐縮だが、これは本作の制作会社・P.A.Worksの過去の「お仕事シリーズ」にも通底している。
「花咲くいろは」「サクラクエスト」は望んだわけではない地点からのスタートだし、「白い砂のアクアトープ」も中盤で似たシナリオがある。
「SHIROBAKO」にも、メインキャラこそ昔からの夢を叶えた形ではあるが、そのような背景を持ったサブキャラが出てくる。
そういう岐路に差し当たったとき、「何を」するかと同じくらい「誰と」するかもまた大事な指針だな、と思い入った。
やってる「こと」に満足できてなくても、共にやってる「人」は悪くないと感じてるのであれば、もう少し続けてみる価値はありそうだ。
映画で見る話
映画が始まって、テレビアニメでやったらいいのに。
って思ってみていたのですが、映画でやったからいい感じに感じられたな、て思いました。
テレビだと、来週にとかCM開けの部分でどうしてもつまずく、気持ちがリセットされる部分がありますが、
それなく、ストレートに話が流れていくのでこういうのもいいなって思ってみていました。
話的に、一からウィスキーを作っていく話だと思っていたら、単なる、ブレンドの話。
蒸留所ってタイトルは意味があるのかな?というのは思った。
バラバラになった家族が一つになるっていうのはよかったとは思いますが。
お仕事アニメの割に、お仕事シーンのなかった印象が強いです。
火事のシーンも、なくてもいい感じがしますが。
ただまぁ、ストーリが好きですね。
人情作品は好きなほうです。
駒田 圭、ええ声しすぎとるなぁ、って思ったら、中村悠一さん。
ええ声のはずですね。
蒸留所だけでなくキャラ達の実在感が素晴らしい
ちょっと混乱。
お仕事映画。恋愛は無し。
お仕事映画を多く作っているプロダクションの作品だそうで、納得。
とにかく景色が綺麗だった。
長野の近い山、緑と茶が混ざった夏~秋の。青空に映える。
実写だと光の加減などで寂しさを感じたりするけれどアニメはさわやか綺麗。
原作が『コマの復活を願う会』。
ん?コマって実在したの?と一瞬混乱。
いまだ真偽がふわっとしている。
ただコマ含め劇中のウィスキーを再現しようというプロジェクトがあるということは、元々ないものを作ろう、ということで良いのかな?
『再現』という言葉はあったものをつくる、という意味合いだからまだ混乱。
特筆したいのは早見さん。
柔らかいお声のイメージがある方。
最初R&Bの若手の歌手かと。
歌のテクニック、すごい。
今クールテレビアニメでイメージ通りの柔らかいお声で歌を歌っているけれど、全然違う!
どちらも素敵だけどほんとにイメージが違う。ビックリ。
キャラの声色だけじゃなく、歌声も変えれるとはスゴすぎる。
ほぼ余談になってしまいました。
ウィスキーを飲もう♫
日本は北海道から鹿児島まで、スコットランド、アイルランド、アメリカと世界中の蒸留所を廻っているウィスキーオタクなので公開を楽しみにしていました。
背景の細かさに、さすがP.A.WORKSさんとビックリ。
あの蒸留所この蒸留所が写真かな?と思う程、正確に再現されていて、応接室の小物まで一緒で、ほくそ笑んでしまいました、、
有楽町のあの名店バーの椅子のリレーフも!
そして働いているスタッフさんまでかなり本人に寄せていたので、キャラクターデザインさんも各地の蒸留所へ取材に行ったのかなあと、、
お話の方は、
ウィスキーの熟成と人の成長、
そして、それ一つでは個性があり過ぎて飲みにくい原酒も個性を補いあいブレンドすると素晴らしいハーモニーになるように、
バラバラで皆違う方向を向いてしまった家族が一つの目的に向かって協力していき家族の繋がりを取り戻す
とウィスキーの特性を活かしたドラマ作りで良かったです。
フィニッシュ樽のくだりはジワリときました。
皆さんのレビューを拝見したら、普段ウィスキーをあまり飲まない方や興味が無かった方もウィスキーを飲んでみたくなったという方も多く、嬉しくなりました。
お酒を飲む人口が減りつつある今、少しでもウィスキーに興味を持って貰えると良いなー。
そして劇中に登場するウイスキー「KOMA」を再現するプロジェクトも映画に連動して始まってました。
ご興味ある方は是非検索されてくださいませ♪
とてもPAらしい気持ちのいい作品
こういった自然な「地域の空気感」はAPworksならでは
ウィスキーをめぐる物語としても
登場人物たちのドラマとしても
ウィスキーの製造、開発のトリビアとしても
非常にちょうどいい塩梅で最後までじっくりと楽しむことができた
しかし、全体的に落ち着いた淡々と物語が進むのと
妙に作中の時間の経過がつかみにくいため
「なんだウィスキーって簡単につくれちゃうんじゃん」
みたいな気持ちになりそうになってしまうのが危ない
ネット記事の校正ミスなどの伏線が解りやすすぎる
(その顛末もあっさりしているあたり)のも
少し拍子抜けではあったかなあと
冒頭、「音」でウィスキーを見せてくるのがとてもよく
やる気のない主人公が奮起するきっかけが
皆が皆、「自分のやりたいことを仕事にしている」のではなく
「いろんな縁でかかわった仕事がやりたいことになっていった」
ということを知り触れたこと、というのもよかった
最後までグイグイと引き付けてくれる良作ではある
それだけにもう少し時間の経過を感じさせてほしかったなあと思ってしまう
ウイスキー×家族愛×伝承×造り手達の想い
ブレンデッドウヰスキーの魅力
小生、飲み物への拘りが強くお酒、ソフトドリンクから天然水に至るまで実用書を読み漁りましたが、コーヒーはブレンドではなく単一豆、ウヰスキーはシングルモルトと拘って分かった気になっていました。
本作品はブレンデッドウヰスキーへの情熱や苦労を描いた作品です。
幻のウヰスキーと言われた「独楽」が復刻されるまでどれだけの苦労や努力があったのか?
また現実社会でも大小各社の蒸留所でも有り得る苦労を思うとブレンデッドウヰスキーを今一度見直したくなりました。
NHK朝ドラ「マッサン」(2014)でも描かれたブレンデッドウヰスキーへの情熱も思い出し、これもまた観たくなりました。
素晴らしい映画でした。
色彩が美しい
酒は飲めなくても、作品には十分酔える
ウィスキー造りの興味深さと、それに向かう人の思い。表現力。
酒のことは何から何までさっぱり。知識は何もなしに鑑賞。
それでも作製の工程はとても興味深かったし、俄然興味が沸いた。
ウィスキーものなだけに、主軸は色々なクセのある原酒を“組み合わせる”こと。
特にウィスキーの原酒の表現は特に見物。アニメーションというか、絵物語だからこそできた表現方法が光っていたように感じた。
そういった面での面白さ、関心を引くといった点において、この映画が主題とする酒造りの仕事の発信という目的は果たせていたのではないか、と私は思う。
しかし、主人公の青年が所謂卑屈系だったのもあってか、話の流れは気持ち的に下から成功経験を通じて上へと上がっていく感じ...
そこでのいざこざが口に合わないが大きく響く可能性もあるだろうし、そこを強く描くのは中々冒険をしたなと。少し関心してしまう。
だが。
もう一方、蒸留所の社長の女の子。
すごい好き。正直そこが1番好きまである。
家族のことをとても大切に思っていて、途絶えそうになった家業を自分のやりたいことを捨ててまで継ぐその覚悟と意思。
痺れてしまう。私はこういう子の物語が大好きなんだ。
総評
男性部分が少し鼻についてしまった分少し評価しきれない部分はあるが、それでも知的満足度とキャラ描写の良さが光っていたと思う。
仕事物だから大ヒットまでは行かないかもしれないが、私は陰ながら推したい。いい体験だった。
余談
英題の「Komada: A Whiskey Family」の軽く韻を踏んでる雰囲気も好き。
Aと付けるのも好き、「私たちはウイスキー界のほんの一部に過ぎない」のような謙虚さが出ている気がしてしまう。可愛らしい。
「お酒に詳しく」
今年217本目。
お酒に詳しくなります。最低3年寝かす、50年寝かす物もある凄いなあ。樽によって味が変わる、発見。数か月前にコンビニで日焼けした格好いい年配の女性がウィスキー買っていたので、人生で初めてウィスキー買いました。アルコール度数40%、ビールが5%で20ml飲んだだけで酔うのでちょこちょこ飲んでいました。映画後残りを解禁。ロックでやはり美味しい。
作品は若い方が最初は最低限の事は調べておけよとアドバイスされるが、取材する内にどんどん仕事が好きになって自分から積極的にウィスキーについて調べて行くように。自分の天職見つけると努力しなくても好きだから、深く接するようになる事はあると思います。音楽が良くて若い方の成長譚、最後は感動しました。
『成し遂げたいことが明確ならばどういう道を歩もうと辿り着ける』名言炸裂。
山崎、ロックで
なんて言いたくなる、至高の映画。
とても上品で映画がウイスキーそのもの。予想以上にクラフトウイスキーについて細かく掘り下げられており、興味がめちゃくちゃ沸いた。映画完全オリジナルらしいのだけど、かなり完成度が高くて面白い作品でした。
前半パートは主人公に相当イライラ。
これがあるから後半はたまらなくいいのだけど、やること全てに文句言う姿勢が取り返せないくらいムカついてしまう。よく任されたもんだよ。それだけでありがたいと思わないとね。駒田琉生と上司がべらぼうに優しいから救われてるよ、この人は。ここまでクズに仕立てなくても良かった気がするけど、成長度合いは半端じゃないから後味は非常にいいものでした。
お仕事ムービーは、自分の知らない世界を知るいいキッカケになるから大好き。今年は「高野豆腐店の春」もあったし、この手の映画は心の底からワクワクしちゃう。万人受けはしないだろうけど、もっとこういう映画作って欲しいな。私にとってウイスキーは炭酸水で割って飲むものだったし、それが当たり前だったけど、この映画を見たらロックで飲むことが基準となりそう。しかも、クラフトウイスキーなんて全然触れてこなかったから、これをきっかけに嗜好にハマっちゃいそうです。
なんでも何でも好きでやってる人なんて、この世に誰もいない。自分のやりたいことを全てやれる人なんてそういない。だけど、その中で自分の幸せを見つけて、楽しく生きることが、相手にとっても自分にとっても幸せ。若くして社長になった駒田琉生の生き様は凄くかっこよくて、色々と見習いたいものがありました。シンプルだけど、そっと背中を押してくれる、いい人間ドラマ。人生、楽しく生きなきゃ損だよね。
本作で何よりも驚いたのが、早見沙織の歌唱力。
まさか歌ってるのあなただったの!?エンドロール中に鳥肌でした。マジでプロかと思った...すげぇ。心やすまる、落ち着く声で本作に超ハマっていました。本作、若干粗はあるけど、誰が見ても楽しく学べる、大人向けのいい作品です。ぜひ。
全127件中、41~60件目を表示