劇場公開日 2025年6月27日

「病むか、悪に走るか、以外の選択肢」アスファルト・シティ kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0病むか、悪に走るか、以外の選択肢

2025年7月11日
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鑑賞方法:映画館

職場でメンタルを病んでしまうケースは増えており、その原因も様々。ただ、激務で報われない、そして労りのない仕事をしているとメンタルがやられてしまうよなと感じている。
さて本作。消防士の話だと思っていたが、消防署に勤める救急医療担当者の話だった。ただの勘違い。新人とベテランのバディものと思わせておいて、実は過酷な救急医療の現場を描いた、めちゃくちゃ重いテーマの映画だった。スクリーンに映し出されるのは、まさに激務で報われずに労りもない仕事だ。
ニューヨークの救急医療現場の主な対象は、犯罪者や薬物中毒者、精神疾患を持つ人たち。救急医療隊員が救おうとする人から毎日のように悪態をつかれ罵倒される。感謝などされない(描写が多かった)。これでは病んでしまうよな。どこかで割り切るか、ガス抜きをしないと続けられそうもない。最後にクロスが何かを吹っ切ったように見えたのが唯一の救いだった。いや、それでも今後彼のメンタルが心配だ。それくらいに未来は明るくない。
冒頭からハエの羽音や救急車のサイレンのフラッシュが印象的だった映像は、メンタル的に追い込まれていく様を印象付けるものだと途中で理解した。とてもうまい演出だ。そして、最後に殉職者よりも自殺者のほうが多いと知って愕然とした。同時にその事実もわからないでもない。それくらいに過酷な現場だった。それを理解しただけでも本作の意義はある。

kenshuchu
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