「こうなる前に手を打つ必要がある日本の未来」アスファルト・シティ ヘマさんの映画レビュー(感想・評価)
こうなる前に手を打つ必要がある日本の未来
本作を鑑賞する前に先に伝えておきます。
エンドロールで流れる監督からのメッセージ
「救急現場で闘う英雄にこの映画を捧げる──」
ジャン監督、こういう大事な事は映画の冒頭で書いてくれ……。
というわけで、本作は貧困層が住む治安の悪いNYハーレムで活動する、ニューヨーク市消防局(FDNY)の救急隊員を主人公に描いたドキュメンタリー風作品。
彼らが救助に向かう先は、銃撃で重症を負ったのギャングやDV被害に遭っている妻、オーバードーズでぶっ倒れた貧困老婆、不衛生極まりない食肉解体場で喘息発作を起こすアラブ人(英語が話せない)など、救助活動以外の厄介ごとが幾重にもある、もう苛烈極まりない過酷な現場。
それらの事件がドキュメンタリーさながらに、次から次へと映し出されていくので、ぶっちゃけ鑑賞していて疲労感が半端なかった。
救急現場の緊迫感もあるが、それとは別に
「他者に危害を与えるような者、劣悪な環境で憂いる未来しかない者を救って意味があるのか」
という命の選別を、救急隊員に突きつけ、自ずと観客にも投げかけられるから。
鑑賞後、どっと疲れましたが心に刺さる作品でした。社会全体の最適化が図られても、部分最適化を蔑ろにすると、こうなるという事例だな。他山の石としたい。
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