「柔らかい豆腐」高野豆腐店の春 サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
柔らかい豆腐
シンプルながらに、とても心が癒される作品でした。この手にしては珍しく、テンポが良くて見ていて飽きない。藤竜也と麻生久美子の好演があって、すごく厚みのある人間ドラマに仕上がっていました。
豆腐屋を営む親子が繰り広げる一時。
色んなエピソードが綺麗にまとまっていて、普遍的なストーリーではありながらも、ずっと見ていられる優しい映画。上滑りすることなく、しっかり笑わせてくれるし、この年齢になってもまだまだ人は成長できるんだと人生の教訓となるドラマもある。繊細な作業が得意で一流の豆腐職人は、実はずぼらで不器用。王道ながらになかなか面白いです。
なかなか理想通りにはいかない人生。
期待と期待外れの対比はお見事。祝い酒からやけ酒に。大禁句ワードを放つ婚約者。フリが効いていてかなり笑っちゃいます笑 藤竜也の驚く表情と麻生久美子の呆れ顔がたまりません。女性は豆腐のように優しく扱わないと、直ぐに崩れてしまうから。にがりと人生、なんだか似ているね。
大好きなシーンがある。
藤竜也が全力疾走する、あの名場面。見ているこっちまで走り出したくなります。何してんだ、自分。平凡な毎日を、言い逃れする毎日を送ってたまるか!なにかに向かって突き進まなければ!監督の魂も篭っているように思えて、すごく、すごく胸が熱くなりました。
冗長な部分や無理があるな〜と思う部分がありながらも、今年のヒューマンドラマの中では結構ベスト級に良かった。こういう、こだわり抜いた豆腐屋のお豆腐、食べてみたいな。
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