ペナルティループのレビュー・感想・評価
全20件を表示
誰も居ない森で木が倒れたら、その木は音を出して倒れたのか?
※がっつりネタバレしているので注意。見終わってから読んでください。
哲学で有名なこの古い命題は、認識と世界の関連性によって答が変わる。
認識され得るものを以て世界とするなら、認識されていない部分での事象は「存在しない」、すなわち音は出なかったことになる。
タイムループの中で主人公は何度も復讐の殺人を繰り返す。
が、それは途中でタイムループではなく仮想空間での演出だということがわかる。
この仮想空間で、契約者は好きなだけ復讐を遂げることができる。
主人公(若葉竜也)は自分の恋人(山下リオ)を殺した犯人(伊勢谷友介)を何度も殺すのだが、途中で「もういいです」と管理者に訴える。
この時点で主人公の中の復讐欲は浄化したようにも見えるし、あるいは何度も殺される犯人が「実在のものではなく、ただ殺されるために存在する複製物」であることに気付いたからかもしれない。
今いる世界が、「木が音を出さないで倒れた世界」であることに気付いたからかもしれない。
主人公に都合良く物事が運び、復讐を遂げられる世界。それは本当の世界なのか?
視点が犯人(伊勢谷)側に変わるシーンがある。そこから主人公と犯人の交流が始まるが、犯人は自分が「繰り返し殺されるだけの存在」であることに気付き、達観する。なので殺されるシーンでは唯々諾々と殺される。
この時点で、主人公も犯人も、「殺す」という行為の概念がおかしくなっている。
殺すということは自分のいる世界から抹消することなのに、何度も現れるからだ。
それに気付き、主人公の復讐欲は浄化される。
更に犯人から告げられた「彼女も死にたがっていた」という告白から、彼女の死が「理不尽な殺人」ではなく「彼女が求めた最期」ということがわかり、犯人を殺す理由は無くなってしまう。
それでも最後にもう一度犯人を殺したのは、その犯人が実在のものではなく虚像だとわかっているからだ。
最後に殺される前に、犯人は絵を書き、そして殺されるのが恐いと独白する。何度も繰り返す虚構の世界の中で、たった二人、それを意識して過ごしてきた同志。お互いがそう思い、しかしすべきことをして、ループする世界にケリをつける。
6月7日になってから、犯人の描いた絵を主人公は見つける。それで、あの犯人は虚構だったけれども確実に自分にとっては「存在していた」ことを認識する。
現実世界に戻るためのリハビリ世界で、死んだはずの恋人と一日を過ごす。
構築のための情報が少なかったからか、主人公の問いには答えず、はぐらかすばかり。そして主人公から一定以上の距離を取れない彼女の後姿を見て、主人公は再度、そこが虚構の世界であること意識したはずだ。
主人公は何を感じて、居心地が良いはずの虚構世界を捨てて現実世界へと戻るのか。
そこが、この映画の一番の主題だ。
恋人は何をして殺されたのか、犯人は実際にはどうなっているのか、ディテールを省いている部分が少なからずあるのは、メインのテーマから逸脱してとっちらかるから削ったのだろう。フォーカスすべきは主人公の情念で、そこに至る経緯は「余計な情報」だからだ。
描かれなかった部分から「なぜ描かれなかったのか」を読み取ることが必要になる。
そういう意味で、個人的には最後のパート……ケーブルを抜いた後の現実世界のシーンは不要に思えた。
あのケーブルを抜くという行為だけで、あの仮想世界の空虚さに気付いた主人公が現実世界へと進み出ることが十分に伝わるからだ。
フランス映画ならあそこでスパンと切るだろうな、と思った。
雑音だらけの世界で、事故を起こして血だらけになりながらも「大丈夫です」と答えた主人公が、何を以て「大丈夫」と答えたのか。最後にそれを監督は描きたかったのだろうけど。
斬新な視点の変化
タイムループものの作品は数多くあるが、この作品が他と一線を画する部分は視点の違いにある。
多くのタイムループものは主人公が謎のタイムループに巻き込まれそこから脱出するものだ。しかし本作では「謎のタイムループ」を仕掛ける側が主人公なのが面白い。
つまり、大概は伊勢谷友介演じる死刑囚が主人公側であるはずなのだ。
そして、物語は、若葉竜也演じる復讐者がタイムループを繰り返すだけの状態から死刑囚の視点が加わり俄然面白さを増していく。
てっきりループしても復讐者以外の人物の記憶その他はリセットされるものだと思っていたから、死刑囚にも記憶が蓄積されているところが面白い。そのせいで二人の攻防は複雑化していくが、死刑囚が何となく状況を理解し始めてから劇的な変化が起こる。
それはある意味で復讐者の心境の変化でもある。
タイムループを抜け出せず、プログラムの終了を待つだけになってからは死すらもどこかコミカルで、二人は陽気だ。
思いもしなかった展開に驚きと笑いが込み上げる。
そして最後にもう一つ興味深い点として、死刑囚の変化を上げたい。
死刑囚はプログラムの存在であるから実在しているわけではないバーチャルだ。本来は死刑囚に変化は訪れないはずである。
逆にいえば、復讐者との交流によって変わったのだとすると、それは事前に予想できる範囲の行動だと言える。
つまり彼は、悔い改めることができることを意味する。
最後にリセットされたあと、残された「絵」にもの悲しさを感じた。
と同時に、意味があったのか定かではない復讐劇に一筋の光明と新たなしこりを残し、複雑なやるせなさを感じた。
心の変化
加害者に対しての置き場所のない気持ち、そんな気持ちを少しでも緩和するためのサービス。
本能のまま殺す岩森だったが、5回目あたりから気持ちの変化が、、、
殺意が薄れてきたけど契約に同意したために契約終了の日まで殺さなければいけない岩森と殺されることを受け入れた加害者のおはなしに移行していく。
殺意って何度も殺すと薄れていくものなのか、、未知なのでわからないけど、、
敵対していたふたりが距離を縮めていくようすが面白い。
「撃つよー」「どうぞー」めっちゃカオス(笑)最後のて繋ぐシーンとかね、、
飲まされると見せかけての…ところのシーンもシュールでとても好き(笑)
なにより若葉さんのお芝居が凄い。いろんな若葉さんが見れます…ひとつの映画の中で別人のような顔をたくさんみせてる、あんなに甘えん坊で虫にも優しい人でもいろんなひとに七変化してた、、人っていろんな顔を持っているし、少しのきっかけで変わっちゃったりする、人間って多面的なんだと、
説明台詞がめちゃくちゃ少ないので頭を働かせないといけないですね、世界観がすごいカオスな映画、見たことのない映画でした
昨日と今日と明日が地続きになっていることに素晴らしさを覚える
恋人が殺されて、その復習を何日くり返すループもの。
最初、復讐して水に沈めるシーンで、
殺すのも、袋につめるのも、水に沈めるのも
体力がいりそうで、復讐も大変だなと思っていた。
が、また同じ次の日がきて、自分事のように
これまたやるのか…つらいな…と思ってしまった。
ループが終わった瞬間、昨日と今日と明日が
地続きになっていることって
こんなに素晴らしいことなんだと思って、じーんときた。
見る人によって、好みが分かれる作品だと思うが、私は好きだと感じた。
心理戦かと思いきや!?
冒頭からセリフもほとんどなく、かなり静謐な感じで始まります。
ループする前のまさに1回目が、実に丁寧に描かれていて、
それがゆえに2回目以降のループが実に面白く感じました。
3回目のループで、全員「記憶が残っている」ことがわかってからのループは、
心理戦になっていたので、これがもうちょっと続くと面白いなあ〜と思っていた矢先、
若葉竜也と伊勢谷友介がタメ口で割とゆるく話していのが、むしろインパクトがあって、
かなり脱力系の笑える要素がてんこもりの展開になっていくところが良かったですね。
復讐劇かと思いきやそんなことはなく、
ペナルティーループというプログラム上のVRであることが、後半にわかります。
とはいえ、そこでの復讐がプログラムされているため、絶対に完遂させるんですよね。
それはそれで面白いのだけれど、終わり方が実に微妙な感じがしました。
面白い設定なのに勿体無い!!
もっと面白くできた作品な気がします。
とにかく、若葉竜也と伊勢谷友介の演技が最高に面白い作品です!!
花言葉は何?
最初はちゃんと殺人しないから毎日6月6日が繰り返すのかな?って思った。しかもどんどん破綻しているからの殺される相手も認識しだすって面白いと思っていたら…。
被害者救済協会みたいな公的団体が自分の大事な人が殺された被害者の心の救済に殺人加害者を複数回殺せるってアイデア。VRやAIが発達していく未来にサービスが生まれるか?ということを思い馳せる話やな。
6月6日6時おはようございます。今日の天気は快晴。今日の花はアイリスです。花言葉は○○。しかし、黄色いアイリスですと花言葉の意味が変わって○○。というラジオ放送のアナウンサーまで協会の仕込みで本日で最終日ですと言ってくる何回めかの6月6日に相手は死んだのか、生き帰ってきて刑務所に入るのか知りたい最後でした。
復讐ループ
最愛の彼女が亡くなり自暴自棄になった主人公が行き着く先がたまたま工場に検査に訪れた検査員を殺すも何故殺す理由があるんだ?というところからスタートするのだが、エンドに近付くにつれ理由が明らかになっていきます。
最愛の彼女を殺した犯人に対するペナルティのループが続き、主人公の気が済むまでVR上での復讐劇が繰り広げられるのだが、結局何度殺しても犯人に対するリベンジは果たせたかもしれません。
しかし、最愛の彼女は戻ってはこないです。
ループして何度も何度も犯人の命を殺めては心に抱えるイライラがスッキリ出来たとしても、果たして解決するのでしょうか?
最終的には彼女と過ごした思い出がループしてVRの世界だけでもお別れをしたところで現実世界に戻ってから、狭い道を走行時に路上駐車していたバイクを避けようとしてハンドル操作を誤り路端にはまって単独事故を起こしてようやく目が覚めたところでラストでした。
結論ペナルティループという犯罪被害者の心の救済策があったとしても、元通りには戻らない虚しさだけがじ~んと伝わってきました。
Obscure
コロナ全盛期、映画に飢えて遠くの映画館までいって観て衝撃を受けた「人数の町」の荒木監督の新作ということでワクワクしながら鑑賞。
「青春ジャック」含め自分の中の映画に対する感情の転換点となった作品がこの時期に集中しているのは何か縁があるなと思いました。
フィクションではどう調理するかによって大化けするループという題材に復讐を組み合わせ、その世界から抜け出せないというこれまた奇をてらった設定に惹かれました。
その設定をフル全開で活かしており、独自の世界観が構築されていてとても面白かったです。前作同様、少し雑なところもありましたが、90分少々なので集中して観れて色々と驚かされながら楽しめました。
恋人を殺された復讐プログラムの"ペナルティループ"で加害者に何度でも死刑をという、現実でも一回の死刑なんかじゃ足りないというフレーズを聞いたことがあるので、それを実際にやってみたらこうなるという現実のifを体験できる映画という点も面白かったです。
ターゲットを最初は毒か薬かで苦しめた後は滅多刺しにしたり首を絞めてみたりと物理で行動していく中で、自分はもちろん、ターゲットも何回も殺されていることに違和感を覚えてきて殺されないように気をつけ出したり、反抗してみたりと、互いがループゾーンに入った事を理解して拮抗している絵面はなぜか笑えるものになっていました。
ボウリング場での攻防なんて、完全に操られてターゲットを殺してますし、ボウリングのピンってあんなにデカいんじゃそりゃ殺傷能力も抜群だよなと思いました。
徐々に互いのことを知っていって、殺すのは仕方ないからといって飄々と殺したり、一緒に出かけたり、殺される準備をしたりと、ユーモア溢れるシーンになっているのは不思議な構図でした。
最後の殺しのシーンなんかは切なさもあって、若葉さんと伊勢谷さんの緩さとピリッとした二つの雰囲気の融合の演技が面白さに繋がっていました。
VRという現実とはまた違う世界で、コントロール下に置かれながらの復讐という二重構造、三重構造と入り組んだ設定でしたが、割とそこはやんわりあっさり触れる程度でしたが、そこを深掘っていくと更に大変になりそうなので、これはこれで良かったのかもしれません。
人物同士の関係性があまり描かれないのは今作の不満点で、特に主人公と恋人との関係性がなんだか有耶無耶かつどうしてその関係性になったのかは全く分からずじまいで、彼女がなぜ追われているのかも最後まではっきりせずだったのが残念でした。
終盤だけとっ散らかっていて尚且つよく分からない終わり方をしてしまったのは惜しいなと思いました。全体的に雰囲気重視で説明は少ない作品なので仕方ないっちゃ仕方ないとは思うんですが、しっかりとオチをつけてほしかったなと思いました。
土台作りが抜群に上手く、本編もクセはありつつも楽しめる、荒木監督のアイデアを生み出す脳をこれからも色んな作品で活かしていってほしいなと思いました。
鑑賞日 3/27
鑑賞時間 13:15〜15:00
座席 E-1
PENALTYLOOPENALTYLOOPENAL…
ループものの中でも一風変わってそうで楽しみにしてた。
少し前に読んだ、宮野優による『トゥモロー・ネヴァー・ノウズ』 に設定が似てるところも興味深かった。
導入から復讐開始まではスムーズ。
身元確認に現場まで連れてくかとか、復讐執行の権利含めて彼女に血縁者はいないのかとか、少しモヤモヤ。
鳩のフンへの反応が初見ぽいのに、自販機の明らかに“知ってる”行動にも違和感。
(これについては理由づけできなくはないけど)
中盤、仲良くなるあたりはコミカルで非常に面白い。
急にラフになる若葉竜也と、戸惑いを隠せない伊勢谷友介の演技の対比が効いている。
しかし、そのぶん最初の復讐時の憎悪や殺意の薄さが勿体ない。
VRオチは、理屈は通るものの少々拍子抜け。
こういう作品は、ループの理屈よりその条件下での人間の心理や行動を濃く描いてほしい。
そういった意味では本作は物足りない。
唯が何から逃げていたのか、溝口は誰から指示を受け何を「出せ」と言っていたのか。
岩森と唯の関係性や溝口の動機なども読み取れず、感情移入できないのも難点。
復讐を延々と繰り返すこと自体は虚しいが、一時の激情で同意する心理は分からなくもない。
しかし、「VR内で」と言われたら、逆に「ふざけんな」と思ってしまいそう。
すべてにおいてこの設定が足を引っ張ってしまっていた。
散りばめた謎もことごとく未回収なので、結局なんだったんだろう、という印象で終わってしまった。
男の友情?が芽生える不思議なお話
この映画を見た夜、奇妙な悪夢を見ました笑 ループものって夢にまで影響するくらい爪痕を残すんだなぁとびっくり。
若葉さんにしか出せない滑稽な空気感を要所要所で感じられて良かった。伊勢谷さんとの掛け合いも最高。
終始怖いかんじなのかなと思っていたけど、何とも奇妙で面白いお話でした。6月6日は結局何回来た…?途中まで数えてたのに、ストーリーに夢中になり数えるのを忘れてしまった。
恋人を殺された復讐から溝口を何度も殺しにかかる岩森。最初は殺伐と張り詰めた雰囲気だったけど、何回目からかはお互い仲良くなっちゃって、クスッと笑える2人の会話劇が楽しかった。
若葉さんがインタビューで「伊勢谷さんはずっと小学6年生みたいだった」って言ってたけど、役にもなんとなく現れてる気がした。
謎はたくさん残るがこの映画の場合は謎を残すくらいが心地いい。
・唯はどんな秘密を持っていて追われていたのか。
・最後に岩森が唯と対面した6月8日。あれは岩森がタイムループに入る前に「事前にお願いしていたこと」?(VRでもいいからもう一度会いたかったってこと?)
・ボーリング場で謎の男が吐き捨てた韓国語の意味は?(クソって言った後に평생(一生)なんちゃら…って聞こえた気が。あの男はペナルティループを生業として報酬を得ている?だとしたら岩森はお金を払ってループに同意したってことよね。)
など考えてしまった。
溝口が書いた木の絵、見たかったな〜。ものすごくド下手だったら笑ってしまうけどね笑 (伊勢谷さんなら超上手く書くだろう。)
あと、夙川アトムがあの声だったのか〜!ってエンドロールで気づきました。
若葉竜也と伊勢谷友介の掛け合いが良かった
# 主役
「愛にイナズマ」
「市子」
に続いて出演の若葉竜也。めちゃくちゃよく映画に出てる。
あの困ったような戸惑ったような顔は健在だ。
# 物語
変な施設に住んでいる主人公。
冒頭、ほとんど無言のまま劇が進むので何が何なのかよく分からない。真実は少しずつ明らかになる。
何がどこでタイムリープしているのか?
# 同意
タイムリープのたびに「同意する?」「同意しない?」って聞かれてその選択肢で結末が変わる物語かと思いきや違った。
# 異質なタイムリープ
普通タイムリープと言えば、主人公は最初戸惑いながらも、その世界から脱出するために工夫を凝らす。
しかし本作の主人公は違う。なぜか世界から脱出しようとはせず毎日なぜか同じ生活を繰り返し、同じ男を殺し続けるのだ。なぜだ。
# 後半
後半は急に「世にも奇妙な物語」風な展開になる。
主人公と殺人犯は毎日顔を付き合わせているので、途中からまるで友達みたいになりながら、それでも強制的な力によって主人公は男を殺し続けなければいけない。
この二人の雰囲気、掛け合い、質感はとても良かった。
あまり悪人に見えない殺人犯と、彼を殺し続ける善良な主人公。
奇妙な関係
確かに「ループ」だった。何度も同じことが繰り返されるので飽きそうになってくるが、そのうち若葉竜也と伊勢谷友介の関係が微妙に変化していく。殺し/殺される関係なのに、友人のような奇妙な関係がはぐくまれていき、ボーリングをしたりボートに乗ったり、思わず笑ってしまう展開に。(若葉竜也のボーリング、下手だったなあ!笑 演技大変だっただろう)
何度も繰り返して殺したいと思うほど憎んでいる相手でも、知り合ったら友だちになるような人間かも知れない、そしてこちらが知らなかった論理や背景があるのかも知れない、・・といった事がちょっと頭に浮かぶ。が、深いメッセージ性があるというわけではなく、コメディ半分の奇妙な味の映画。
久しぶりの伊勢谷友介、独特のダンディズム。格好良い。
ループものは記憶の継続がデフォだが、それでも飽きがくるというのは面白い
2024.3.25 アップリンク京都
2024年の日本映画(99分、G)
恋人の復讐のためにとある1日をループする男を描いたファンタジー映画
監督&脚本は荒木伸二
物語の舞台は、日本のとある街(ロケ地は千葉県茂原市)
恋人・唯(山下リオ)と一緒に暮らしている岩森淳(若葉竜也)は、昼は植物プラントで働き、家では趣味の工作に明け暮れていた
ある年の6月6日の朝、岩森が目覚めると、唯はすでに出かける準備をしていて、彼は「今日はここにいてほしい」と唯の手を握りしめた
だが、彼女はそっと彼の手を解き、そのままスーツ姿でどこかへと向かってしまった
夕方になって、食事の用意を始めた岩森だったが、のどかな雰囲気を消し去るような激しい呼び鈴に驚いてしまう
唯が帰ってきたのかと思ってドアを開けると、そこには複数名の警官がいて、「確認してほしいことがある」と、岩森を近くの河川敷へつ連れて行った
そこは川に上がった遺体の発見現場で、岩森は被害者の確認をさせられる
遺体袋に中にいたのは、眠っているように死んでいる唯で、彼女は何者かに殺されて、川に遺棄されたと教えられた
物語は、次に岩森が「6月6日の朝」に起きるところから紡がれる
そこには唯の姿はなく、テーブルの上には見慣れない作業着がきれいに畳まれている
岩森は疑問に思うこともなくそれに着替えて、あるプラント工場へと向かった
そこでの仕事は室内栽培をしている植物の管理で、アラームが鳴ると機械をチェックするというものだった
午前の仕事を終えた岩森は、そのまま食堂に出向き、廊下を通りかかった電気工事士を見つけると、彼の行先である休憩所へと先回りをする
男(伊勢谷友介)は備え付けの自販機でコーヒーを買って工場を出るのだが、車に乗る頃にはコーヒーに盛られた何かによって、体調を崩してしまう
そして岩森は、弱った男を滅多刺しにして、その死体を袋に入れて、川へと遺棄して一日が終わるのである
映画は、この6月6日の復讐を何度も何度も繰り返す内容だが、記憶が継続するので、殺す側も殺される側も色んな対策をしていく
そして、4日目ぐらいには飽きが来て「殺さない」となるのだが、それでも「体は勝手に相手を殺しにいく」のだからタチが悪い
これらは「ある契約」によるVR体験なのだが、記憶の連続性はあっても、体のダメージは消えるので、何度も死ぬ&殺すを体験しなければいけない罰ゲームのように描かれていた
物語のテーマとしては、「復讐との向き合い方」のようなものだが、「殺しても次に生き返るから殺さない」と「殺しても復讐心は消えないから殺さない」では、導かれる感情というものは違ってくる
本作の場合だと「殺すのに飽きた」みたいな感じになっていて、7日間契約を終わらせることはできない
とは言え、VR提供組織の全容はほぼ不明で、リクエストに答えるVRという感じでもない
ラストでは、ミッション終了後に普通の世界に帰る前のご褒美というものが用意されているのだが、そこで岩森は亡き唯と再会し、その温もりにふれる体験をリクエストしていた
この一連の流れで岩森の溜飲が下がったのかはわからないが、ともかくは「ちょっと変わったループもの見たい人向け」というところは満たしていたのかな、と感じた
いずれにせよ、ループが惰性に変わって、本来の目的がどうでも良くなるという感じに変わっていくのは面白いアイデアだと思う
復讐は果たされないから募るのであって、いとも簡単に「すべてのものが用意されている状態」で相手を殺しても何も感じないだろう
所詮はVRのプログラムだとわかって契約しているのだが、実際の復讐とは程遠いもので、余計にストレスが溜まるような気がする
そういった意味において、この契約に同調したり、あったらいいなと思ってしまう人には「ペナルティがあるんだよ」と皮肉っているのかな、と感じた
繰り返す復讐。一言でいうと「薄味」のループもの。 そして、決して笑えない題材。しかし「復讐」を描くこだわりはない。
一言でいうと「薄味」のループもの。
ループも10回と淡泊。
ループものに対する執着が薄いのでは、と思う。
かといって、復讐の感情を描くこだわりも見えない。
復讐は愚かなことで、したとしても被害者は生き返らないし、決して心は満たされない。
相手家族による更なる復讐の連鎖につながる恐れもある。
それを知るためのプログラム…ではないらしい。
では、これは「コメディ」なのか?
犯罪被害者家族の救済、官庁の汚職?にからむ公務員の殺害は、題材としては、重すぎて笑えない。
最後の方では、愛する人を殺した相手と友情が芽生えちゃったりしてるけど。
恋人の死に対する復讐の感情が全くない。
あってもコメディにはならない、ものすごく陰惨なことで、決して数回ではあきらめきれない。
だから、何度も繰り返すプログラムなのでしょう。
俳優さんでは、伊勢谷友介の力の抜け具合が良かったです。
さて、近年公開されたループものの傑作は、会社を舞台に一週間を繰り返す「MONDAYS」、温泉旅館を舞台に2分を繰り返す「リバー、流れないでよ」の2作が邦画コメディでは秀逸!
シリアスな青春映画で、めちゃくちゃ切ない5分間を延々と繰り返す「神回」が凄かった。痛かった。心に刺さった。
邦画では、これら3本が超オススメです。
これらのループものの共通点は、とにかく同じことを繰り返し描くから、監督・脚本家の、その要素・舞台・人物への執着とこだわりが、半端ないことであると、改めて痛感しました。
バイツァダストで良いのに…
彼女を殺された男が犯人に復讐したら、その1日を繰り返す話。
何か含みを持たせて朝出かけた彼女が死体で見つかり始まって行くけれど、どれだけ経っての6月6日か判らず、この間をみせるのか?と思ったら、更に昔の出会いの話し?
そして3周目でお互い気付いた?ラジオは4周目?色々とみえないけれど、まあそういうものかとその日を繰り返し、あれ?どういうこと?からの唐突にそういう関係?
動機とかは良いので?
何だかコメディの様な感じになって来たけれど、拾わないなら余計なフリはしないで欲しい…とか思っていたら、6月8日で???
物足りなさはありつつもこれはこれで面白かったけれど、最後の最後で何だそりゃ?
自分的には7日で-0.5、8日で更に-0.5ですね。
どうでも良いけれど、車のナンバーの表示が変わる撮影の都合ってなんだろう…というところが気になった。
終わり方が好き まとまっていて良い映画
ユーモラスな映画でした!
色んなところを削ぎ落として、ちゃんとまとまってた。やはり90分くらいの映画はこれくらいフォーカスしないと面白くならない
探そうとすれば、粗はたくさんあるけど、ちゃんと不必要なところを削ぎ落としている
死刑囚から恋人の思いを聞かされた主人公が
恋人がいる世界へループするけど、
愛情がもうなかったと気づいてから
一回で辞めてしまう
3月6日以降の
絵付近の描写から
「何もない」人間になっちゃったんだろうな
一貫して「何もない」人間が死んでく様を見せてたから
この後主人公はってのを
分かりやすく教えてくれたのが最後
(補足 恋人も死刑囚も殺される時に、生に執着しなかったのは、「何もない」から
死刑囚の場合、少し抗ったのは絵を描いてたから
主人公も命の危機の際に、生に執着してない)
そんな勝手な妄想しました
歪な日常は愉快で、爽快な終わり方(描写ではなく)
それはそれとして
リアリティはない
序盤に会話が少ないため、物語を進めてくれる面白さは少し欲しかった(ループものの1日目は大変🥲)
映画として、死刑囚の絵を見たかった(主人公の描写を見せたくなかったのかな)
フォーカスしてくれたおかげで、面白いけど
優しくはないね
最後の解釈なんて人それぞれで良いと思うけど
「最後ってこう言う意味だったのかな」
じゃなくて
「最後ってどう言う意味」
って友人が話してて
それは映画として良くない気がする
満足感があるストーリーでした
「6月6日6時」
「いってらっしゃい」と送り出した朝、彼女ユイがその日の夜、川で殺されてるのが見つかる…残された岩森淳の話。
唯を殺した素性不明なオトコ溝口に復讐をしようと計画…、実行し殺すも翌日になると、殺しを計画した6月6日AM6時に目覚める…。
正直期待してなかったんだけど普通に面白かった。殺しを計画した6月6日6時の繰り返しなんだけど、何が面白いって殺された側の溝口にも殺された自覚と痛みが残りで、最初は必死に殺そうとする奴と逃げる奴って感じなんだけど、徐々にこの二人の距離が縮まっていき最終的には「殺すよ!いい?」、「OK!」みたいなノリになってきちゃって(笑)
結構観てると笑えちゃいました。
上映時間も約100分と観やすく楽しめた。
だんだんと理解…うん、面白かった
ループものなので
だんだん心情の変化があるもので……
世界がかなり狭く、ほぼ言葉を交わさず進むストーリー。
殺意から男の友情🤝みたいな感じに変化して
途中は観客の皆さんニコニコと殺害現場を見てました。
喜劇とも、カルトとも、ホラーとも違う
なんとも変な(他にない)作品でした!
伊勢谷さんの色んな意味でキモの座った演技。
若葉くんの変幻自在な感情表現。
とても素晴らしかったです。
このVRの世界観は、めっちゃ異様でのめり込んでしまうんだけど、大丈夫。安心して!
最後はみんなでコード抜いて帰りましょう^^
そして帰り道、よそ見に気をつけて☝️✨
✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼✼••┈┈••✼••┈
舞台挨拶付き上映で鑑賞3回目にして泣けました!
最後、木の絵を見た2人の笑顔で泣けました。と監督さんに感想も聞いて貰えました。怖さもあるし笑えるし何気にこの作品奥が深いです!
3.30 シネマロサにて
面白いかった
ループは10周やっていて、色んな殺し方あって、面白かった、BGMもすごく良かった。あまり最近ループ系の映画なかったので、観れて良かった。ループ系が好きな人は近く劇場でご覧ください。SNSで口コミが広がれば劇場が増えるかもしれません
全20件を表示