「嘘が上手」死霊のはらわた ライジング なつさんの映画レビュー(感想・評価)
嘘が上手
死霊のはらわたがライジングしますか〜
オープニングは、鬱蒼とした森を抜けつつ羽虫のようなブブ〜て音が次第にドローン音へそして湖が開け、桟橋には真っ先に死亡フラグが立ちそうなチャラい男がドローンを飛ばし、ちょっと清楚系な女性。その先にはロッジ。
ホラーだね。タイトルの出方もカッコいいけど少し古い感じ。だがそれが良い。
舞台は前日譚。よくある設定
良かったのは全体的に仄暗い。見窄らしさすごい。
主人公が使うトイレも落書きだらけで汚らしいし、姉のボロアパートも暗い。
彫り師の母、環境問題に意欲的な長女、DJもどきの次男、薄気味悪い末っ子。この末っ子がほんとに不気味で愛くるしいお顔なのにホラーな人形を自作したりピザを運ぶ際に飲み物に口をつけたりとお行儀悪くてなんだか嫌悪感が過ぎるので早く痛い目に遭ってほしい。
地震と共に崩れるマンション。
地下に続く穴を見つけ意気揚々と潜る長男。探検気分と金目気分、家が貧困している事を知っているから尚更。
見つかったのは謎の本と3枚のレコード。
DJもどきってのが効いてて良かった。レコード大好きだもんな。
血を垂らすと本が開くのは様式美。ページのギザギザがなんだかミミックぽくて可愛い。
所々に小技を散りばめてて良かった。灯るのは13階から、抱き合う母子供の背後には非常口のライト。後々もこのライトはチラチラと映る。
序盤でドアスコープ越しに外を伺っていたり。
母親がエスカレーターで吊るされ背後で火花が飛び散る光景は思わず芸術点!!と喜んだ。
虚な母親がブッシャーって吐く様はマーライオン。これは良い。熱が高いってお風呂に沈めるとか。
しかし、途中からなんだかダレてしまった感が…
ママンのターンが長過ぎるんよ。
もっと仲間を増やしておくれ、ゴアもいいんだけど多すぎると胃もたれする。ガァーガァー言ってやる事あまり変わらないし。
そもそも、同じ階の住人達の存在感が薄すぎて悲惨さが伝わらない。ドアスコープに見るのも末っ子のやり取りくらいでちょうどいい。スコープ越しに引きでわかりづらい殺戮を見せられてもな〜
主人公の姉との確執や妊娠について相談したいってのはほんのスパイス。妊娠とホラーってエグ味成分強いのでもっと活かして欲しかった。
突然の猫…あ、おじさん飼ってたね。秒で去る猫…
同シリーズなのだから仕方ないとはいえ、どこかで観たようなテイストだらけで後半につれ本編への集中が途切れがち。
1番印象的だったのがエレベーター血液バジャーン!のシャニング案件。それのせいで家族合体悪魔連合がまったく迫力もなく、その後のバトルもあまりワクワクしなかった。血まみれチェーンソーとかもね。
しかし、エレベーターの積載量をバッチリ見せる技は好き。好き。
序盤のロッジシーンの前日譚って情報が邪魔していつ悪魔の本がロッジに行くのも集中できない要素のひとつ。
末っ子が主人公に嘘が上手って言ったのがメタくて素晴らしい。だいたいイッツオッケーって言っててもだいたいだいじょばない。