「変わったことと変わらないもの」ゆとりですがなにか インターナショナル kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
変わったことと変わらないもの
宮藤官九郎は、舞台設定に「今」という要素を入れ、「今」という時代と世代をイジるのがとてもうまい脚本家だ。「ゆとりですがなにか」はその代表作であり、個人的な宮藤官九郎のベストといえるドラマだ。まさか続編があると期待していなかったし、それが映画になるとは思わなかった。でも、映画?という不安や疑問があったのもたしか。3人の近況から始まるオープニングは、続編として作られたスペシャルドラマを観ているような感覚に陥るくらいにテレビドラマっぽい。でも、そんなことはどうでもいいと思えるくらいに面白かった。
ドラマに出ていた主だったキャラは漏らさず登場したし、懐かしい面々の現況を知るだけでもかなり楽しい。久しぶりに会った友人と、すぐに昔のノリで楽しめるあの感覚に似てる。でも、それだけではないところがうまいところ。「今」に対応しようと悪戦苦闘する彼らの姿を観ていると、あぁこの5〜6年で世の中は随分と変わったよなと実感してしまう。
街も店も会社も変わってしまうし、いろんなテクノロジーにも対応しないと取り残されるだけだ。人として成長しないと大変なんだよ。山岸だって結構成長してた!
ただ、変わらないものもあるんだよって提示してくれるからなんか勇気づけられる。家族とか友情とか愛とか。3人のメインキャラはいろいろと成長してたけど、本当に相変わらずだった。お前ら変わらねーな!って久々の友人達と笑い合ってる気分になってしまった。
ドラマ放送当時は無名に近かった脇役の人たちが今や主役級になっているところも面白い。そして本作から登場する木南晴夏がとにかく素晴らしかった。あれだけ韓国人っぽい演技ができる日本の女優はそうそういないんじゃないか?続編にも登場してくれそうな雰囲気なので今後も期待してしまう。
でも、これ次回作はやはり映画なんだろうか。それとも2時間ドラマ?映画もありだよな。うん。