「パブリックドメインが産み出した鬼子のような作品。」マッド・ハイジ 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
パブリックドメインが産み出した鬼子のような作品。
何故、あのアルプスの少女ハイジをこのようにしようとしたのかは全くの謎と言うか、悪ノリの極地。単に狂っているとしか言いようがない。
だけど、そんな狂った映画大好きなのでもちろん観てきましたw
で、感想はと言うと…うんうん。どストレートなB級作品でむしろ清々しいくらいw
何故こうした?こうなった?と言う設定に加えて悪ノリが満載。
黒人のペーターや独眼竜のおんじ。悪の司令官がクノールなんて言う名前や国民食のチーズが身体の悪い物にしか見えないこと。
クライマックスの唐突な敵のアイアンマンMark1の様な鎧もラストでクララがサイドカーに乗ってガトリングガンをブッ放すなんて素敵過ぎる♪
今作品の製作陣は以前にナチスが月から攻めてくる「アイアン・スカイ」と言う作品を作っている前科があるだけにある意味納得w
チープ感満載でツッコミどころ満載。雑で如何わしさが終始漂っている。
だがそれが良い♪
「スターシップ・トゥルーパーズ」のキャスパー・バン・ディーン(懐かしい)やデビッド・スコフィールドが出演しているのはそれなりにツボを押さえている感じ。
ハイジの復讐劇なんかは何処か「キル・ビル」を彷彿させ、更には「女囚さそり」の香りがする。
つまり映画が好きな奴らの香りがする。
こういう作品を観る為にお金と時間をかけるのが贅沢であって、粋ってもんでしょうw
ただ、「スターシップ・トゥルーパーズ」のキャスパー・バン・ディーン(懐かしい)やデビッド・スコフィールドが出演しているのはそれなりにツボを押さえている感じ。
そもそもこの作品がマッド・ハイジなんて悪ノリになっているのも著作権が既に切れてしまった為「パブリックドメイン」なったことから始まった訳ですが、最近では「プー あくまのくまさん」なんかもパブリックドメインから派生した作品なので今後はこの手の作品が増えるだろし、多分悪ノリ的にブームになるだろうと。
かと言って「パブリックドメインだからといって『何でもあり』は許されるのかは?」は別問題。
ただこう言ったパロディは悪ノリが大多数を占める部分があっても、その中から後世に残る傑作が生まれる可能性がある為に一概に「悪ノリだからダメ」と言う風にはならない。
そもそも表現の面白さは時代によって感じ方が違うだけに難しいんですよね。
悪ノリの流れの話になると、そもそも今作品は日本で1974年に放送された「アルプスの少女ハイジ」をイメージしているがアニメ版のハイジ自体が牧歌的なイメージだけど原作とはかなりかけ離れた感じになっているがそれが逆輸入の形になり、ハイジのイメージは日本のアニメのハイジが浸透した経緯がある。
そもそもスイスは自然豊かでおおらかなイメージがあるが、世界屈指の武器輸出国であり、機関銃を組み立て、大砲や砲弾を作って輸出していると言う顔を持っているのはあまり知られていない。
あと、ゴルゴ13で有名な「報酬はスイス銀行に振り込んでもらおう」と言う預金者の素性は必ず守ると言うイメージねw
まあ、理想郷のイメージは綺麗事だけでは維持出来ないという訳です。
その流れから言うとこのマッド・ハイジの一面はあながち大きく逸脱している訳ではないと言えるのではないだろうかw
どちらにしても原作が日本でアニメ化され、それが逆輸入されて、そのイメージが世界中に浸透し、著作権権利が切れたことによって生まれたと言うアレンジとパロディを重ね合わせたのがこのマッド・ハイジという訳ですが、ちなみにパブリックドメインになっても原作を題材とした二次創作をモチーフにしたパロディ(三次創作)はNGとの事ですが、この作品って厳密にこれに当たりそう。
とは言えダメ作品かと言えばダメ作品だけど個人的に悪ノリの極地は嫌いではないし、なんと言うかジャンクフード的な美味しさと言うんですかね。
こういう映画を観ると真っ当に作っている映画を観た時の良さと言うか、偉大さや尊さが噛み締められますw
ただ個人的にやって欲しかったのは吹き替え版はオリジナルの杉山佳寿子さんが担当して欲しかったかなと。
あのハイジの声で「ブッ殺す!」なんてセリフが聞けた時こそ、このマッド・ハイジの最後のピースが埋まるような気がするw
あと、個人的にはこのマッド・ハイジのハイジの衣装が「フランダースの犬」に出てくるアロアの衣装をなんか思い出してしまいます。
※約2年ぶりの再開。
この間にいろいろあって、実は数年前まで映画関係の仕事をしてたのですが、そのときは書けなかったけど今はひと段落したのとお休み中に過去最多とばかりに映画を観てたので無茶苦茶映画の幅が広がったのでとりあえず再開しました。
まあ、お気軽にお暇な時だけでも覗きに来てください。