青いカフタンの仕立て屋のレビュー・感想・評価
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手作業の伝統の美しさ
冒頭から鮮やかなブルーときめ細かな金の刺繍に目が奪われる。随所に織り込まれる刺繍の流れるような作業がまた美しい。
スマホ等も出てこず、時代設定が現代にも30年前にも見える故に、職人による伝統作業の普遍さを描いているように見える。
劇的な展開もなく、ラストまでの流れも予測できるが、シーンの一つ一つか美しく、言葉少ないながら夫ハリムが余命わずかな妻をどれだけ気にかけてるのかが仕草や目線で伝わってくる。痩せ衰えながらも明るく振る舞う妻ミナが残される夫に向ける気遣いにも心が締め付けられる。
ハリムに密かに思いを寄せる見習いのヨーセフも、目線や手つきだけで、ハリムが人生をかけている伝統への思いを真剣に受け止めているのが伝わってくる。
同性愛者だけでなく女性もまだまだ抑圧を受ける社会において、残された少ない時間を少しでも自分らしく自由に振る舞おうとする妻ミナの明るさがまぶしい。男性同性愛者を扱う映画となると、女性は当て馬や、ゲイカップルが子供を持つための借り腹扱いされがちなのだが、この映画ではハリムもヨーセフも、妻ミナを決して蔑ろにするわけではないのが良かった。三人がそれぞれに抱く思いがどれも尊く美しかった。お互いをいたわる者同士が囲む食卓の料理は素朴だがとても美味しそうに見える。
ヨーセフ役のは俳優はこれが映画デビューとのことでその表現力に驚く。これからの活躍が楽しみだ。
青いカフタンに秘められた想い
この映画、いわゆる簡単に言ってしまえば「死の近い妻を看取る過程で、男に惹かれていた自分に気づき悩む仕立て職人(主人公)の心の変遷」っていう内容になります。これだけでは皆さんフーンってだけでしょうね・・
この映画すごいところは、ラストシーンなんですよ。イスラムの厳しい掟を無視し、最愛の弟子(恋人)と棺(覆いも何もありません)青いカフタンを着せた妻をのせ、街中を過ぎ墓地へと進むその潔さ、妻への愛、同性愛なんてとんでもない世間への彼なりの決意と・・言ってしまえば人生の中での一番のハイライトシーンになってしまったわけで
意図したのか愛の凄さだったのか、男としてのエゴか!?看病する妻へ献身とともに、「ごめんなさい。君を傷つけた」と主人公が涙した時、妻もすべてを悟り残される二人を祝福して肩を押して進ませるとか、なんて愛にあふれる奥さん。すごすぎる(涙)
というわけでこうした人と人のエモーショナルなやり取りが死語になりつつある現代に投げかけるストーリー、大好きな作品
♪花を飾り でかけた夜 青い服の想い出よ・・(by シンシア)
オチなるほど…
貴方の妻で良かった❀ 匠の職人技で仕立てたカフタンドレスの想い
観光で訪れるモロッコとは違った夫婦の
日常的な生活が描かれていました。
伝統的なカフタンを仕立て屋を営む
夫ハリスと妻ミナの元に弟子入りした青年
ユーセフが入ってきたところから、
家族に新しい風が吹き込んできたかのように見えました。
仕立てるために寸法を測るハリス
滑らかな生地に袖を通す女性の姿は、本来の美しさを引き立てるカフタンドレスでした。
病に冒される妻ミナが、ユーセフの人針人針
手縫いで縫う様子を見て、繊細な職人技を
認めているようでした。
家族で支えてきた仕立て屋、
わずかに残されたミナの時間。
ユーセフが手料理を振る舞ったとき、
ミナの笑顔に家族愛がありました。
抑えきれない感情!
心を込めて仕立てた青いカフタンに
深い愛情を感じました。
日常の風景のモロッコ
紡がれる心
カフタンを手作業て仕立てる夫婦、ハリムとミナ。そこに加わるユーセフ。
三人の気持ちが重なり、交わり、保ずれたり、ほどけなくなったりと糸のように気持ち紡ぐ作品。
生活音を綺麗に拾って日常を醸し出す。ラジオからの曲、カモメと犬の鳴き声、鳥の囀ずり。
水を使うシーンの水音は最高で絶妙。
監督が日常の音を大切にして愛してるのが分かる。
好きなみかんを力強さと朽ち果てて病と重ねるのも上手でした。嫌な方への悪口を冗談ぽく言うのも本当に良い夫婦の秘訣のポイントだと思う。
愛する人にありのまま自分を受け入れて貰う、これは本当に美しい。素敵な映画だ‼️
モロッコと愛を堪能したい人にお勧め
おすすめしたい映画
青いカフタンの仕立て屋
カフタン着てみたくなった
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