「遠くから来た少年がいた夏」ファルコン・レイク うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)
遠くから来た少年がいた夏
少年少女のひと夏の思い出を、10代の視線からノスタルジックに描く作品。
バカンスシーズン、母の親友が移り住んだカナダへフランスから一家総出で遊びに来た少年・バスティアンは、その家の娘・クロエと久々に再会し、旧交を温める。
「もうすぐ14歳」と言い張る13歳のバスティアンにとって16歳のクロエは眩しく、クロエの地元の友人の18、19歳の少年達は絡みづらい。精神も肉体も伸び盛りの年代にとって、「数年差」が数字以上に大きいことは誰しも経験があるだろう。言葉の違いもあり、地元の集まりで居心地が悪そうにしているバスティアンの姿が生々しかった。
子供の出口にいるバスティアンに対し、大人の入り口にいるクロエの悩みもまた年頃そのままの生々しさがあり、普段傍にいない気安さからそれをバスティアンにだけ打ち明けるところも共感できた。
ティーンの繊細な心の機微を、厳しすぎず優しすぎず、ゆっくりと精緻に描く世界観が良かった。
バスティアンのいた夏が終わった後、湖畔の町に残るクロエは一人であの夏をどう受け入れただろうか。楔のように心に残り続けるのか、十代半ば特有の離人感や孤独感のように成長と共に薄れて行くのか、どちらにせよ切ない気持ちになるラストシーンだった。
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