「Nature」ファルコン・レイク ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Nature
ポスターのみの情報で鑑賞。小学生くらいの一夏の恋愛劇だと思っていましたが、中学生と高校生の性の始まりを描いた際どい作品になっていました。
母同士が仲が良いので、家族ぐるみでお泊まりをすることになった14歳のバスティアン。その家には16歳のクロエがおり、最初はよそよそしい感じだったものの、時には友達のように、時にはドキッとするような関係性のように、時にはお酒やタバコに走ってみたりと、ギリギリの境界線を笑いながら渡る可笑しくもどこか切ない物語になっていました。
バスティアンとクロエの距離感の描き方が本当に巧いです。2歳しか変わらないと大人になったら思ってしまいますが、中高生の2歳差はとても大きいもので、ちょっとした仕草に気になってしまったり、クロエが積極的な子というのもあってドギマギさせられたり、たまに突き放されると本当に寂しかったりと、自分もここまで壮大なケースは無かったですが、中高生の頃は年上の女性にときめいたもんです。なんだかその感覚が観ている途中に蘇ってきました。
クロエが問いかけた一番怖いものの問いに、バスティアンは自慰行為を親に見られる事と答え、その行為をクロエが実際に行ってしまうというまぁ大変なシチュエーションの後に、「本当に怖いのは一人ぼっちになる事」という答えを出して、その後の展開に繋げていくきっかけになっていました。
風呂場で頭を洗ってもらったりという姉弟みたいな関係性から、胸を触らせて抱き寄せるような恋人のような関係性まで幅広く描写されており、観ているこちらがドギマギしまくりでした。
バスティアンからクロエへの感情は日に日に増していってるのですが、クロエにとってバスティアンは一緒にいたい時はあるけれど、色んな人たちと関わりたいという感じで、特別な人の1人といった感じが描写されていたのも印象的でした。
ダンスパーティでの激しいダンスを披露したバスティアンが魅力的でしたし、クロエも称賛していてとても楽しい時間が流れているなと思いました。
ラストの終わり方は世にも奇妙な物語みたいで、湖を泳いだ全員が亡くなって、湖の近くには花が添えられており…みたいな感じだと最初は思いましたが、バスティアンがクロエを想うばかり、本当に亡霊になって会いに行ってしまったという感情の置き場所を見失ってしまう寂しいラストになっていました。唐突感があったのが惜しいですが、不思議な終わり方をするなと叙情的な気分になりました。
映画の物語の通り、一夏の思い出になる作品でした。シャルロット・ル・ポン監督が制作に携わった作品に気になる作品が多かったので、この機会に観てみようと思います。
鑑賞日 8/28
鑑賞時間 14:35〜16:25
座席 G-7