PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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さすが役所広司さん
人にはそれぞれ自分の世界があり、どんな人でもそれは一瞬で一期一会で、大切なもの。
物語に大きなできごとがある訳ではないのですが、トイレ掃除を仕事とする人の暮らしと日々の機微を綴った作品。
なのですが、さすが役所広司さんです。全く飽きさせることもなくストーリーは過ぎていきます。
三浦友和さんとの影踏み、良かったです。
あとは、さすが!の方のもう1人…田中泯さんの存在感がすごいなぁと思いました。
それから、家出してた姪っ子ちゃんが連れ戻される時の、HUGのシーンはうるっときました。
年末にいい映画を観せてもらいました。
完璧過ぎ!!!もしも”役所広司”が、トイレ清掃員だったら?
auマンデー『PERFECT DAYS』
日本俳優界の至宝・役所広司さんが、カンヌ国際映画祭で、最優秀男優賞受賞って事で注目の作品!
事前情報で、シネコンの一番大きいシアターよりミニシアター系の作風ってのは分かってましたし・・・
本来なら1時間くらいが適度な尺じゃないの!?退屈で寝落ちするかもって不安もありながら鑑賞
マーベルのWhat If...?じゃないですが、もしも”役所広司”が、トイレ清掃員だったら?
役所さんの所作だけで、画面から言葉が伝わって来る凄さに脱帽です!!!
雰囲気や情景は数年前の『すばらしき世界』と似た感じですが、2023年ながら平山の日常は敢えて昭和で止まってる。。。
無口なトイレ清掃員・平山の朝起きて仕事して休憩しながら趣味楽しんで、また仕事して風呂入って飯食って寝る繰り返し・・・
スカイツリーのすぐ近くに、まだあんな場所あるんですね。
家賃や駐車場代ナンボなんやろ!?鍵閉めな行く大丈夫なのか!?元は御曹司か!?と気になる気になるww
で、出勤時に車で聴くカセットテープから流れる曲のチョイスが最高♫
姪っ子とのエピソードも良かったですが、石川さゆりをあの役で起用するのは反則!!
外国人監督ですよねこの作品の監督さん@@!
他にも台詞もなく、画面に小さくしか映らない有名人を見つけるのも面白いかも^^!
ただ日本のトイレが諸外国より綺麗って言っても、もう少し汚れているのを綺麗にする描写があって良かったかも・・・
どのトイレも有名百貨店のトイレレベルで、綺麗なところを更に綺麗にするって感じが、リアルなのかと言われればリアルじゃない気はした。
いやいやそんな事気にせず、俳優・役所広司を観る作品って事でオススメです!
で、平山の愛車がダイハツ・・・今回のダイハツ社のやらかした事の残念さに拍車がかかる。
タイトルなし(ネタバレ)
スカイツリーがみえる老朽アパートで独り暮らす初老の平山(役所広司)。
早朝に起床し、若いころから好きな音楽のテープを聴きながら軽自動車で渋谷区内の公衆トイレの清掃に向かう。
時折相棒になる若いタカシ(柄本時生)は軽佻な雰囲気。
清掃もおざなりで平山としては「いまどきの若い者は・・・」といった気持ちがないわけではないが、割り切っているのかそれほど気にもならない。
仕事が終われば、自転車に乗り換えて銭湯の一番風呂に入り、浅草の古い地下街のなじみの一杯飲み屋で酎ハイと一品で食事を済ます。
判で押したような毎日・・・
といったところからはじまる物語で、平山の暮らす老朽アパートのつくりが面白い。
メゾネット式で、入口を入って左に台所、階段下に物置代わりの小部屋、二階に四畳半と六畳。
四畳半のちゃぶ台の上には、いくつもの小さな鉢が並び、若木が育っている。
六畳間には、ちょっとした引き出し箪笥と、窓際にカセットテープがビッシリ並んだ低い棚とその横に古本が詰まった書棚がある限り。
生活臭さがないのだが、銭湯のため風呂なし、コインランドリー利用で洗濯機なし、すべて外食なので冷蔵庫も調理器具もなし、かろうじて湯沸かし用の茶瓶がある限り。
そぎ落とした生活で、一見、禅的生活にも見えるのだが、日々ではなく、もう少し期間を広げて見てみると、そうでないこともわかる。
昼の休憩は木々が茂る神社のベンチで牛乳とパンを食べ、頭上の木漏れ日をオートフォーカスの安手のフィルムカメラに収める。
1日に3枚ほど撮って、1週間経てば24枚撮りのフィルムは終わり、なじみのカメラ屋で現像を依頼し、新しいフィルムに交換、前に現像依頼した写真を受け取る。
出来上がった写真はモノクロ。
選別して、出来の悪い写真は破って捨て、気に入ったものは海苔か煎餅が入っていたブリキ缶にフィルムと一緒に収め、ひと月経てばブリキ缶を四畳半の押し入れに仕舞い込む。
週末もうひとつの行動は、自転車で浅草まで行き、なじみの古書店で1冊100円の本を買う。
今週買ったのは幸田文『木』。
その足でなじみの女将のいる小料理屋に行く。
日々の一杯飲み屋に比べると相当な贅沢。
コインランドリーで洗濯して日ごろの垢を落とすのだけれど、選別したとはいえプリントした写真やフィルムは溜まる。
読み終えた本も溜まる。
溜まった本は、本棚からはみ出し、平積み状態になっている。
そう、モノは知らぬ間に増えている。
削いでも削いでも増えていく。
人は、どうだ。
かつての平山は、かなりの資産家の息子だったことが中盤わかる。
父親と反りがあわなく、出奔したのだろう。
人との付き合いは絶つように生きてきた。
銭湯での常連との会釈、一杯飲み屋の大将との無言の挨拶(なにせ、何も言わずとも、決まった酒と一皿が出てくる)、神社の住職への会釈。
ま、そんなところだ。
だが、絶ったようにみえて絶えているわけない。
実家の事業を引き継いだ(と思しき)妹の娘、つまり姪が家出して平山を頼って来る。
頼るといっても、ちょっとした、はじめての家出。
少しばかりの非日常。
平山にとっても姪との短い暮らしは非日常。
日々に埋もれていた(気づかなかった、気づこうとしなかった)日常の中の変化。
時折の相棒タカシは急に去っていった。
タカシの担当分も清掃をして、へとへとになった平山に一時的とはいえ新しいパートナーが来る。
なじみの小料理屋の女将の素性も偶然知った。
行き場がなくなって親水公園、橋の下で辞めていたタバコを久しぶりに吸っていたときに、女将の別れた元夫(三浦友和)と偶然一緒になり、教えてくれたのだ。
そのとき元夫が言う、「彼女をよろしくお願いします」と。
そんな気など毛頭ないが、「よろしくお願いします」と言われるのはまんざら悪い気もしない。
姪も頼って来てくれたのだ。
仕事の一時的相棒も、よろしくしますと言ったような。
これまでと同じように清掃に向かう平山の車中、「Perfect day, Perfect Life...」とカセットテープから歌が流れる・・・
足るを知って、余計なものはそぎ落としたつもりだったが、まだ足らないと思っている心がどこかにある。
それを、カセットや文庫本や写真のフィルムが象徴している。
これで十分と感じた人との繋がりは、自分が思っていたものよりも太かった。
日々は変化し、変化に気づいているようで気づいていない。
変化に気づけるくらいが、程よい暮らしということだな。
気づいているか、オレ?
<追記>
反復と往復で描かれる、ヴィム・ヴェンダース監督お得意のロードムービー。
これぐらい、ささやかなロードムービーがいいです。
小津安二郎作品より山田洋次作品に近い
平山の名はヴェンダース監督の敬愛する小津安二郎監督作品の笠智衆氏の役名に由来しているという情報は事前に得ていた。ただし、当然のことながら、小津監督作品とはテンポが異なるように思われた。
柄本時生氏演じるタカシとアオイヤマダ氏演じるアヤと一緒に車に乗って移動するようになったところは、山田洋次監督作品の『幸せの黄色いハンカチ』を思い出したが、そう長くは続かなかった。
次に、中野有紗氏演じる姪のニコが家出してきて転がり込み、麻生祐未氏演じる妹との久し振りの再会を懐かしむようになり、そういう展開も、何かありがちに感じた。
石川さゆり氏演じるスナックのママが歌ってくれるのは良かった。三浦友和氏演じる元夫との関係や遊びも面白い。
そうした身内や女性との関係の面白さは、「フーテンの寅さん」シリーズにもありがちで、やはり山田洋次監督の世界に近いのではないかと思った。
最初の方は、車に乗せてもらって仕事に行っているのかと思ったら、自分で運転してアパートから出かけていた。行きつけの飲み屋に行くときには自転車で行っていたけれど、それも飲酒運転だから止めてほしいものだ。
カセットテープも、曲によっては高額買取の対象になるものがあることがわかった。
エンドロールの最後に木洩れ日の映像と説明がある。
幸せとは何かを問いかける、アートのような映画
決してセリフが多いわけではない中、日常に溢れる幸せを研ぎ澄まして、感じさせてくれる映画。
役所さんが出てるから見ようと思ったが、役所さんだからこそ完成した映画でもあったと思う。
何も喋らずとも、主人公の感情がわかる。何故か貧相な暮らしをしてるように見えない不思議。日々の暮らしが乱れることが不満。そして、何よりイケおじ。お金がなくても幸せ。
こんな生活を憧れてしまう。
東京というギラついた街の中で、質素な生活を噛み締めている描写をみて、こんな暮らし方もありだよなと新しい発見。
結論ありきでなく、謎を残すような感じも良かった。
また、みたくなる作品。
・なぜ、あの家での一人暮らしが始まったのか?
・妹に言われた言葉の意味は?どういう家族だったのか。
・あのスナックに通うようになった理由
・若者はテープの音楽に何故憧れるのか。軽トラのエンジンを切るときの「ピピピィ」という音が何故心地いいのか(現代へのメッセージ)
spotifyをお店?と聞く言葉からさえも、音楽の価値だったり、メッセージ性を感じる。
映画のもう終わりか、という感情は否定的なものでなく、この心地よい生活をまだ見ていたいという肯定的な感情だった。でもそれは、自分自身の生活から見出すものなのかも。
思わず、帰りにはハイボールを買ってしまった。
評価が分かれる…新しい手法
役所広司演じるトイレ清掃員の日々を淡々と映し出されます。彼は日々のルーティンをとても大切にします。平日には平日のルーティンが、休日には休日のルーティンがあります。
毎日同じことの繰り返しのように思われますが、毎日、違うことがあり、ルーティンに影響を与えます。晩酌に立ち寄る居酒屋が、いつもガラガラなのに、ある日満員だったり、仕事仲間が突然辞めて、残業したり…小さな変化や不都合はあるんです。それらも含めて、この映画は日常を淡々と映していきます。退屈だ!と感じた人もいたと思います。実際、僕の前の席にいた中年夫婦からは不満が漏れ聞こえてました。
この清掃員の過去は一切明らかになりません。
観客が想像しうる材料は、映像の中で散見できます。ただし、それぞれのシーンを解説するようなシーンも、セリフもありません。監督は敢えてこの手法を取ったとインタビューで答えていました。私たちの想像力に任せる。ある意味、観客の脳内もスクリーンとして使う手法は斬新であり、私たちの鑑賞に自由を与える手法とも言えます。
しかし、私たちは説明を好む民族でもあります。ここは賛否が分かれそうです。不親切と捉える人も少なからずいらっしゃると思われます。
妄想癖のある私は、楽しめました。(^^♪
ラストの車のシーンは、感動しました。清掃員は車で出勤途中、感極まってきます。涙目にになり目が充血していきます。決して涙はこぼさない。でも、泣いてるんです。この演技は役所広司しかできない名演です。監督のインタビューによると、このシーンにカメラマンが感動してしまい…撮影がちゃんとできているのか?とても心配だったそうです。
後半、三浦友和が出てきたのには驚きました。こちらも名演技でした。役所と絡んでも決して引けを取らない。そして、相変わらずかっこいいな。他にも有名な役者が結構な端役ででたりして、とても贅沢な映画でもあります。
主人公の清掃員は几帳面な性格である、という風に撮影されているのですが、細かいところで一つ気になったのは、この男がアパートを出るとき、ドアのカギがきちんと掛かっているかを確かめる仕草が一度も無かった点です。ドアの内側のドアノブ中央に突起があって、それを押してそのままドアを閉めるとカギが掛かる仕組みの古いタイプのドアだと思われるのですが…外に出た時、きちんとカギが掛かったか、ドアノブを回して確認すると思うのですが…。まぁ…気にならない人の方が多いか(-_-;)
好みは分かれると思いますが…ヨーロッパの映画が好きな人や小津安二郎の映画が好きな人にはお勧めです!
淡々とした日常に射す木漏れ日の美しさ
学生時代に見た『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』。蓮見重彦が雑誌リュミエールに難しい批評を書いていたことを懐かしく思い出す。その監督の新作映画を2023年に観られるなんて思ってもいなかった。それだけでも感動ものだ。
トイレ清掃を行う平山の淡々とした日常。だけど、公園から持ち帰った木の苗木を部屋で育てたり、いまだにフィルムカメラを使ってモノクロ写真を撮って整理して保管していたり、曰くありげな過去があった事を匂わせる。
それでも、日常のルーティンは変わらない。そこに射す木々の木漏れ日、時々挿入されるモノクロ画像が美しくもあり、また、過去の記憶を映し出しているようでもある。
CASTは個性的。ホームレスの田中泯、相棒の柄本時生、小料理屋のママの石川さゆり、古本屋の店主の犬山イヌコ、そしてセリフが無いのに輝いていた研ナオコ、みんな愛おしいCASTとなっていて、この映画に豊かな彩りを添えてくれる。勿論、セリフが少ないながらも役所広司の演技は素晴らしい。
久しぶりに心に染み入る良い映画を見た感じだ。
ただ、ラストの三浦友和の登場の仕方がちょっと唐突。だって、探し回ったとしても、広い墨田区、あそこで出会えるはずないもの。淡々とした日常を描きながら、ラストで「作り物感」が出てしまったのが残念だった。三浦友和ならもっと味のある使い方が出来たんじゃないかと、無いものねだりみたいなことを感じてしまった。
あと「ニコは絶対実の娘だ」「ニコは知らないけど平山とケイコは結婚していたんだ」「だから抱擁して別れた後泣いたんだ」と思ったのだけど、公式HP見て、伯父と姪であることが分かった。深読みしすぎてしまった。でも、妹の「本当にトイレ掃除しているのね」とのセリフから、父親から「お前なんかトイレ掃除ぐらいがお似合いだ」みたいに言われたんじゃないだろうか、だから意地になって徹底的に掃除をするようになったけど、今ではそれさえもルーチンになっているって感じじゃないだろうか、とも勘ぐってしまった。これも深読みだろうか。
少ないセリフの一つ一つから想像の世界が広がっていく映画でもあった。
IMPERFECT LIFE
平山の暮らしは形容し難い。
仙人とも、清貧とも、“丁寧な暮らし”とも、“衣食足りて礼節を知る”とも、近いようでどこか違う。
物語とは言えないそれを、ただ追っていく。
意味深に出てきた人物、伏線に感じた出来事や台詞は特に活かされない。
脇役はおろか、平山の過去や考えですら全く明かしてくれない。
だが、それでも見ていられるのだから凄い。
役所広司の演技や、一風変わったトイレ、画面の端に差し込まれる紫や緑の光、曲、モノクロのカット…
そういったものが、静かながら確かな抑揚を生み出していた。
序盤は口数も少なく泰然として感じるが、徐々に印象が変化してゆく。
ほっぺにチューされてドギマギした後に、思い出してニヤニヤする中学生みたいな姿がかわいい。
姪との交流や、妹との再会、匂わされる父親との関係が、唯一明かされる過去である。
ママの元旦那が口にする「会っておきたかった」は、分かり易くも胸に沁みた。
そういった流れからの、ラストの笑い泣き。
平山が蓋をしていたもの、日々の綻び、不安、後悔など様々なものが溢れたように見えた。
穏やかな暮らしに見えるが、タイトルは『PERFECT DAYS』であって『PERFECT LIFE』ではないのだ。
ELLEGARDENの『PERFECT DAYS』の詞に通ずるものを感じます。
観進めるごとに、はじめは理解できなかった平山の解像度が上がり、同じ人間なのだと感じられた。
ニーナ・シモン「Feeling Good」に心震える!あまりにも深いありふれた日常のその意味とは・・・
feeling good「最高の気分だわ〜」
ラストに流れるニーナ・シモン歌うこの曲に全てが集約されている様に思う。
(他の方のコメント見ていないので重複した感想になるかもしれません)
ニーナ・シモンは1950〜70年代のジャズ、フォーク、ブルース、R&B、ゴスペル歌手、ピアニスト、公民権活動家、市民運動家。そう彼女の人生はそれこそ差別や偏見の波に翻弄された人生だった、クラシック音楽家を志したニーナは名門カーティス音楽院の入学を拒否される、溢れた才能があるのに黒人でありしかも女性のミュージシャンであるという事でその存在は音楽業界において忌避されるようになった。それが、当時のアメリカの音楽業界であり、アメリカ社会の現実だった。
「feeling good」その曲のタイトルはとても明るく意気揚々なタイトルなのに曲調は決して明るい曲では無い、重苦しい中から搾り出すような魂の叫び、それはまさに彼女の人生でもあり差別や偏見に晒されていた人達全ての叫びであったのだろう。
この作品でも淡々とした日常、朝家を出る時空を見上げて微笑む平山(役所広司)の表情は一見幸せな様にも見える、しかしその実は・・・ラストに車の中で微笑むその目にはみるみるとこらえきれない思いが溢れ、こぼれ落ちそうになる。
多くの“言葉”が無くてもその表情に込められた思いはあまりにも深すぎる、深すぎる、深すぎる。
人それぞれ背負ってたものは色々あるだろう、でも自分の人生の中であんな風に微笑みを浮かべながら涙を流す事はあっただろうか?
平山のありふれた日常、あの微笑みの裏には「ただ、トイレ掃除をするおじさんの話し」なんかでは無い「微笑みながらも涙が溢れてしまう様な日々」があったのかと思うと、えも言われぬ何かが込み上げてくる・・・。
そして
もう一つ裏に込められたキーワードは「アナログ」かもしれない。
平山が音楽を聴くのはカセットテープ、写真はフィルムカメラ、デジタルが当たり前の現代において日常使っているものはアナログなものばかりだ。
アナログってどう?古い物?デジタルより劣ってる?いやそんな事は無い、CDとレコードの音にしても自然界に存在する音は基本的に全て「アナログ量」の信号、デジタルはあくまでアナログの信号である音のデータをデジタルデータ化して「近似」する形で記録しているに過ぎないのだ、つまり人間が聴き取れ無い、必要が無い音=情報は排除されてるという事だ。
自分達が見たり聴いたりしているものが全てであり真実なのだろうか?身近な音や映像にしても気付かぬうちに“不要”とされた情報が削除されている、世の中の全ての情報も結局のところ真実の全てであろうはずが無い。
気づかぬうちに排除されているがその隙間に間違い無く存在するアナログ=真実の情報そのものを見極める事がとても大切なことなのではないのだろうか。
勝手ながらそんな風に解釈した。
Oh, freedom is mine, and I know how I feel.
It’s a new dawn, it’s a new day, it’s a new life for me.
And I’m feelin‘ good.
ああ、自由をやっと掴んだわ、そしてこの気持ちを噛み締めるの。
夜が明けて、新しい一日が始まる、私の新しい人生。
最高の気分だわ(〜ってもう言葉には表せない!)
多分もう一度この作品を観たら、涙が止まらないかもしれない。
日常の幸せありがたい
主人公の平山さんの生活日常列車に同場乗車したかのような感じがした映画作品でした!!背景や風景も普通なのに何故か綺麗な写真切り取ったかのようなぁ感じながらほっこりしながらみれました特にトイレが綺麗に画かれたような気がします。今年最後に心が洗われたような感じで良かった!!
今後はトイレをきれいに使おうと思いました
多感だった20-21歳の頃に観たヴィム・ヴェンダース監督の「ベルリン・天使の詩」は本当に良い映画でした。2番館で1回600~800円で何度も観た記憶があります。同じ映画を映画館で3回以上観たのは、生涯一度きりの経験です。僕の生涯ベスト5の3番目の映画です。とはいえ今回の映画は、事前情報では、きっと退屈な内容だろうな、名監督も年を取るとけっこう駄目になるだろうし、と予想しました。でもやっぱり観ないわけにはいかない、と思ってみてきました。
役所広司は確かにさすがです。毎日自販機で購入した缶コーヒーを飲みますが、BOSSではないようです。自販機の中からジョーンズはでてきません。トイレ清掃の仕事はたしかに大変そうですが、噂に聞く、有名デザイナーが手掛けた素敵なトイレなので、ぜひ入ってみたいです。そしてきれいに用を足したいと思いました。
役所さんは仕事のあと、通常3時に開業するであろう銭湯の一番風呂に入れていますし、居酒屋で晩酌したり、なじみのスナックにたまに行って石川さゆりの生歌を聴いたり、今話題のダイハツの軽自動車と自転車を保有していますし、コインランドリーで洗濯もしていますし、独り身ですが結構充実した生活をおくっています。ただ、この年頃は通常何らかの病気をするので、淡々とした日常を送れるとすれば、それはもはやファンタジーです。朝食を摂っていないのも身体に悪いです。なので絶対数年でこのような生活は破綻するはずです。そもそも、もっともっとつらいことがたくさん降りかかるのがリアルな日常です。小津安二郎好きのヴィム・ヴェンダース監督が理想化した美しい日本人の暮らしの一種のポエムなのでしょう、おそらく。なので、何かのメッセージが込められれいる、という印象は受けません。
音楽のセンスはさすがヴィム・ヴェンダース監督です。(たぶんAnimalsの)The House of Rising Sunが役所さんが車内でカセットでかかるのがぐっと来ます。スナックママの石川さゆりさんが同歌を日本語で歌う場面(ギターを弾く酔客はあがた森魚さん?)はかなり痺れました。
三浦友和さんがタバコでむせる場面では、若い頃、CABIN85のコマーシャルで「俺のキャビン」とかっこよくタバコを吹かしていた友和さんも禁煙してたのね、と思いました。
役所さんが住む古い2階建てアパートが僕が幼少期に住んだ田舎の官舎とほぼ同じ間取りで(石炭窯の風呂はありましたが)、同じように2階に布団を敷いて寝ながら漫画や単行本を読んで、AIWAのカセットレコーダーで音楽を聴いていまたし、近所の温泉銭湯に泥だらけになった僕はよく小銭を握りしめて入りに行きました。そう考えると、古びたアパートという演出も、当の日本人には昭和50年代前半の懐かしい光景でしかない、とも感じました。
素敵なクリスマスプレゼント!
「東京に空が無い、ほんとの空が見たい」と昔、智恵子さんは言ったらしいですが主人公平山(役所広司さん)が優しい表情で見上げ時折フィルムカメラに収める空にはスカイツリーも借景として実に感慨深いものになってました。
まず、このシチュエーションで、しかも台本のセリフ行数数えられるんじゃないか、と思うほど圧倒的無口な平山を主人公として素敵な作品に仕上げた監督の力量、才能に感服です。監督の目のつけどころ、日本の公衆トイレはこうして清潔さを維持しているのかと心から感心するとともに日本で生まれ育ったことに感謝感謝です。
以前は何年かに一度海外出張に出かけることがありましたが成田やセントレアに着くと、まずは空港のトイレでスッキリして日本に帰ってきたな!って実感したこと懐かしく思い出しました。映画の中の公衆トイレも結構ハイテクなものがあり、東京ならではかもしれませんがやはり日本のおもてなしの心を感じます。
またカセットテープから流れる古き良き時代のアメリカンポップスが懐かしくも心地よい響きです。今Z世代はじめ若い方々にもレトロが逆に新しいみたいで、親子や孫子で同じ曲をカセットやレコードを聴くなんて素敵なことでしょうか。
タカシ(柄本時生さん)の今どきっぽい仕事のやっつけ度合いにも怒ることもなく淡々と仕事を進める平山が、おそらくハイソサエティらしい妹(麻生祐未さん)に姪っ子のニコ(中野有紗さん)を返したあと慟哭する姿にえも言われず心を揺さぶられました。またエンディングの役所さんの顔のアップ。複雑な想いをぐるぐると巡らし、笑いそうなところから苦しそうな、泣きたいような表情の繰り返し、それだけでアカデミー主演男優賞ですね。なんて素敵な役者さんなんでしょうか。
他にも古本屋のおばちゃんのまとを得た書評、田中泯さんのパントマイム、メモ書きの手紙やり取り、石川さゆりさんの艶やかな歌声、三浦友和さんとともにやめたタバコにむせたり影踏みしたり、タカシの彼女(にしたかった女の子)のキスにあたふたしたり、始まっちゃったギターはあがた森魚さん?などなど語りたいこと満載ですが今回は余韻にひたり、割愛です。
ハリウッドであのリチャードギアを主役にリメイクされた「Shall we ダンス?」や「素晴らしき世界」など数々の名作、様々な役どころを演じ分けられる日本一の役者さんに間違いありません。
個人的には家族にちゃちゃっと『マルちゃん正麺』を作ってドヤ顔の役所さんや、古くは『ダイワマン』として唐沢寿明や黒木メイサさん(離婚しちゃいましたねー)と絡むCMの役所さんがとっても好きでした。※新しい『ダイワマン(西島秀俊さん)』はベルリンやカンヌで最近評価が高く役所広司さんからこの役を引き継いだそうです!(嘘です)
多くを語らずとも仕草や表情で演技を極める最高の役者さんが最高の監督やスタッフと出会って完成した素晴らしい作品だと思います。年の瀬にいい映画と出会えて幸せでした。
カセットテープと木漏れ日
まず今年公開された江戸時代の汚穢屋の生き方を描いた阪本順治監督の『せかいのおきく』を思い出した。
あちらは汚物そのものを取り扱う人々の物語だったが、公衆トイレの清掃員も誰かが行わなければいけない必要な仕事であるにも関わらず、あまり日の目を見ることがないのは同じだと感じた。
主人公の平山はその生真面目な性格が覗えるように、たとえすぐに汚れてしまったとしても丁寧に時間をかけて便器を磨き続ける。
それでも急いで用を足したい者からは、まるで邪魔者を見るかのように扱われてしまう。
この映画はそんな平山の判を押したような単調な生活の描写から始まる。
朝起きて身支度を整え、出掛けに缶コーヒーを一本飲み、車の中ではアナログなカセットテープをかけて音楽を聴く。
都内の様々な公衆トイレを掃除して回り、代々木八幡宮の境内でサンドイッチを食べ、趣味のカメラで木漏れ日の写真を撮る。
仕事を終えると植木の手入れをし、銭湯で汗を流した後に浅草の地下街の飲み屋へと赴く。
そして寝る前に文庫本を読んでから一日を終える。
休日は現像したフィルムを受け取り、古本屋を訪ね、行きつけの飲み屋で時間を過ごす。
単調な描写だが、観ていて飽きることはない。
平山は寡黙な男だが、決して無愛想なわけではない。
むしろ些細なことに微笑みを浮かべる彼の姿が彼の人柄の良さを語っているようで、観ているこちらも幸せな気持ちにさせられる。
平山がいつも出会う公園のホームレスも写真屋の店主も寡黙だが、それとは対照的に同僚のタカシは必要以上に喋りまくる。
何でも十段階で評価しようとするタカシはかなり軽薄な男なのだが、どこか憎めない愛嬌がある。
そして彼が想いを寄せるアヤも不思議な魅力を感じさせる。
いつもおかえりと出迎えてくれる浅草の飲み屋の店主も印象的だった。
平山の姪のニコが家出をして彼を久しぶりに訪ねてきた時から、単調な日々が変化を見せる。
ニコは平山をとても慕っているのだが、どうやら彼は家族との間に大きな確執があるらしい。
今まで穏やかな表情を崩さなかった平山だが、妹のケイコがニコを連れて帰った後に初めて泣き顔を見せる。
さらにタカシが無責任な形で仕事を辞めたことで無茶なシフトを組まれた時も彼は声を荒げる。
そして彼は行きつけの飲み屋でママが別れた夫と抱き合っている姿を見て、気まずさのあまりにその場を立ち去り、普段は吸わないタバコを吸ってむせてしまう。
前半は単調な描写ながら幸福感に包まれていたが、後半は影を感じさせる場面が多い。
ママの別れた旦那が平山に「影は重なると濃くなるんでしょうか」と聞く場面が印象的だった。
影が重なっても濃くなることはないのだが、平山は頑なに影が濃く無ったと主張する。
そして何も変わらないなんてことがあるはずはないと答える彼の言葉は、まるで自分に言い聞かせるようでもあった。
この映画を観て幸せとは何かを考えさせられた。
どうしても人は日々の生活に変化と刺激を求めてしまう。
しかし判を押したように同じ生活が続くということは本当はとても幸せなことなのかもしれない。
誰かと一緒にいなければ幸せになれないわけでもない。
と同時に、誰かと喜びや悲しみを共有出来ることが幸せなのだとも感じる。
最初は平山が幸せそうに見えたが、彼もまたどうしようもない孤独を抱えて生きていることが分かった。
悲しみや苦しみのない人生などない。
むしろ人生は悲しみや苦しみの方が多いのだと思う。
木漏れ日がとても象徴的に感じられたが、まさに影の間から時折差し込む光があるから人は前に進んで行けるのだろう。
彼が最後に見せる笑顔は流れそうになる涙を懸命に堪らえようとする笑顔だ。
それでもラストシーンに悲しさは感じなかった。
平山の持つカセットテープにセンスの良さを感じたが、アナログなのはカセットテープだけでなく棚に並ぶ映画のVHSもそうだ。
日本人ではないヴィム・ヴェンダース監督だからこそ描くことの出来る風景があるのだと感心させられた。
どっちに行くの?
美しい映画。予告編で見られる、シンプルな生活を過ごす男の満足感という面が基本にあるのだが、短期間を切り取ったと思われる映画の中、同僚の恋・姪の家出・スナックのママとその元夫など、いくつもの非日常的ともいえるドラマチックな要素が盛り込まれていたことで、自分の評価もどこを見ていいのか不安になりぶれてしまった。
主役はトイレ清掃員。その毎日は美しくもあり、ああ、こういう生き方もありかなあとも思わせる。一階の物置部屋にはゴルフバッグなどもあり、また妹との会話からも、かつては一般的なサラリーマンだったのかもしれない。極端に無口ながら、後々しゃべれば普通にしゃべれることがわかる。選択肢がなく今の生活に至ったということではなく、何かの原因があって今の生活を選んだ、ということなのだろう。
役所広司は当然のようにいいのだが、ラストの長いアップでの表情が移り変わる前の笑顔はもう少し抑えた方が良かったかな。石川さゆりの歌が聞けて良かったし、三浦友和とのハグは、ホリプロ同僚の山口百恵との関係を想起させる。。これは監督想定外だろう(笑)
今年観た映画で一番良かった!
日常のちょっとした事にも喜びを感じ、人生を楽しんでいる様に見える主人公… 悟った様にも見える主人公が人との結び付きを求めている事に気づく。影が重なると濃くなるとムキになって主張するシーン。『新しい夜明け!新しい一日!すごく気分が良い!』とカセットから曲が流れる中、朝日に向かって車を走らせる主人公がいつもの様に笑おうとして涙ぐむラストシーン!泣けました!
スカイツリーが繰り返しでてきますが、主人公の過去を象徴しているのかな?
いつもの劇場で掛かっていなくて、足を延ばしましたが、観に行って良かったです。 本当に良いので皆さんも劇場へ!
✳︎追記
スカイツリーは主人公の心かな?
後半までは昼も夜もハッキリと描写されているのに、夜の水面に映ったツリーはユラユラと揺れ、かろうじてツリーだと分かるレベルになっているので…
今を生きる平山
平山の暮らしぶりには共感しかない。
アスファルトを掃き清める箒の音で目を覚まし、
朝のルーティンをこなして、カセットテープで同じ曲を繰り返し聴きながら仕事に向かい、
口にするものも毎日同じ。
版で押したような日々が延々と続く。
まさか2時間ずっとトイレ掃除の映像が続くのかと少し心配になった。
姪のニコが登場してから物語が動き出す。
コミュニケーションの仕方を知ってるんだ、携帯(ガラケーだけど)持ってるんだと知る。
個人的に好きな場面は行きつけのスナックのママの元夫との影踏み。
建物を取り壊した空き地を見つめる老人が、
前に何があったのだろうと尋ねるシーン。
石川さゆりをはじめ、キャストも贅沢。
小津安二郎は私が敬愛してやまない映画人だが、
小津が名付けた平山は娘の嫁入りの心配から解き放たれ、
孤独を愛する小粋な平山だった。
畳の掃除の仕方、大いに勉強になった。
少し切ないけど平凡な日常が一番大事
役所広司さんならとにかく見ようと思い鑑賞。
ただ、凄いドラマチックな展開もアクションもスリルもサスペンスも物凄いメッセージや問いかけとかがあるわけでなく、
もしかしたら見る人によっては途中で寝ちゃうことはあるかも、っていう「日常を映しただけ」のシンプルな映像なので、娯楽という面を期待して見に行くと退屈かもしれません。
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ただ、何気ない日常のほんの些細な出来事達を愛でていられたらきっとこうやってそれなりに幸せ。。なんだろうな、と思いました。
今の仕事が何故清掃に至ったのかはわからないし、家族とは疎遠気味のようだし(妹は運転手付きの車で来て金持ちそう。。家族間のギャップが(汗))
公園で子どもを助けてあげても、繋いでいた子どもの手を母親にさも清掃員の手は汚れていると言わんばかりに拭かれてしまうという。。まず先に保護してくれたお礼、親なのに言わないの?少なくとも本人の目の前でそんなあからさまに子どもの手を拭くか?と思い切なくなりましたが、
でも一応ちゃんとクルマも所持して生活が出来てる。お風呂や洗濯機は無いけど近くの銭湯やコインランドリー行ってるし、行きつけの飲み屋さん、小料理屋さん、古本屋さんとかも行けてる。
戦争とかで日々の暮らしがままならない訳じゃない。
草木を育てるささやかな楽しみもある。
ありふれた日常がそれなりに幸せ。
いつものルーティンで生活して、たまーにイレギュラー(突然姪っ子が家出してくるとか)があったらそれもいっそのこと愉しむ。
最後の長い間、運転中の役所広司さんの、
笑ってるような
泣いてるような表情が印象的な、
なんとも不思議な映画でした。
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