PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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大都会での田舎暮らし的美しさ
大都会東京って、案外自然が豊か〜❤️🩹
で、必要なものだけでの生き方に興味❤️🩹
パーフェクトデイズというタイトルで、完全な日々って?と思いながら鑑賞
必要な音楽・ものだけに囲まれ、思いのままに行動できて、スカイツリーをいつでも見れて、そして何より完璧を超えた木漏れ日、自然があって
そりゃー、ニヤニヤだよ〜❤️🩹
絵になる役所広司と存在感が凄いトイレたち
役所さんは朝起きて毎日ルーティンを淡々とこなし、仕事に行って帰って来たらまたルーティンをこなして寝るだけ。なのにずっと観ていられます。
恐らく様々な挫折を繰り返した末に、あるいは深く傷ついて全てを捨ててトイレ清掃員になった平山。俗世間のしがらみとは一線を画す生き方は格好よく見えます。
余計なものは持たず、他人とも必要以上に関わらずに暮らしていても、さざ波のようにちょっとした変化は起こります。それを静かに傍観する平山。でも世間を完全に見捨てたわけではない彼の眼差しは温かいです。
監督は以前日本に滞在した事があるのでしょうか。居酒屋や銭湯の雰囲気がとても良かったです。ただ多分想像で作り上げたであろう部分はちょっと違うかなとも思いました。平山のような人物、というか年配の男がハグとか影踏みとか「今はいまー」「今度はこんどー」とかやらないですから。
あと、欧米ではホワイトカラーは決して清掃員などやらないのでしょうが、日本では、リタイアした人がやるのは珍しくないので、そこはもしかしたら誤解があるのかも、と思いました。
青緑の世界
冒頭から感じるのは撮影や色が素晴らしいということ。実際そうではないだろうけど、なんだか全体的に青緑色のフィルターが掛かっている様に感じた。
几帳面で無口な平山が淡々と朝のルーティンをこなす姿がとても自然で良い。トイレ清掃の動きもかなりの手際の良さを見ることができて、平山の人物像の描写にリアリティを感じられる。
音楽を聴いて、写真を撮って、少しのお酒を飲んで、読書をする。という日常の繰り返しはインパクトは無いものの映像の美しさと自然な所作が良くて、見ることができる。
そんな淡々と繰り返す日常に小さな出来事が彼の日常を彩る。そのどれもが、嬉しいことでもあれば辛いことでもある。
迷子の子供を助けるが、母親に無碍にされる。でも子供が手を振ってくれた。
無責任な同僚に振り回されて、泣く泣くカセットを売ることになるが、美女からキスされる。
その同僚にも彼を慕う友人との素晴らしい関係性があった。
家出した姪っ子がやってきて、慕ってくれるが母親(妹)からは暗に軽蔑されている。(家族関係が気になる。あの涙はなんだ。)
同僚が辞めてシフトが自分に降り掛かったが、新しくきた人は真面目そうだ。
好意を寄せていたスナックのママに実は恋人がいた。と思ったが、別れた元夫だった。でもその人は病に犯されていた。。
ルーティンの中で、見ている側もだんだん退屈になってきたな。というところで、これらが差し込まれるのと、冒頭のように美しい景色が入るので、脱落せずに見れた。
また、個人的に好きだったのは、昼休憩の時に隣のベンチに座っているOLや公園のホームレスなど、何度か顔を合わせただけで、会釈するだけの、とても薄くだけど関係性が築かれていくところ。なんだかとても嬉しくなった。
あと、ニコ(姪)との生活のシーンもとても良かった。彼女が登場したお陰で、ルーティンが華やかになって、平山が無口で生真面目な性格というだけでない人間的な魅力を見ることができた。
このシークエンスによってラストの友山(三浦氏)との重なった影論争でも違和感無く、平山の言葉が響くのである。「何にも変わらないなんて、そんなわけない」だったか。またいつものルーティンに戻る生活だが、そんな人生だって必ず何かが変わっているはずである。
気になった点は、1日が終わる毎に挟まる夢?の情景がしつこいと感じてしまったこと。毎回10秒程度、不穏なよく分からない映像を見せられ、しんどかった。別に主人公が夢に何か影響を受けているわけでもなく、毎度見せられる意味が分からなかった。
明らかにママの歌が上手すぎる。当然本気は出してない感じだし、あくまで歌の上手い女性を演じているのは分かるが、表現力といいプロが溢れ出ている。
上映時間が120分あるが、作風と繰り返す日常に、さらに長さを感じる。
上映が終わって、客が席を立ってゾロゾロと出て行く時、自分も含め、自然と譲り合いが起きたように思えたのがなんだか良かった。
脱目的の自由な時間が流れる
<ただその日を過ごす>
ただその日を過ごす、という生き方に憧れます。
それは、未来でも、過去でもなく、現在を生きるということなのでしょう。
未来に目標や目的を定めて時間を使うのに慣れてしまっている私には難しいことですが、そこに生き方のヒントが隠されていると感じます。
そこでは、どのように時間が使われているのか想像できません。
受動的で変化が少ない日常なのか。そこに喜びはあるのか。
そもそも変化は訪れるのか。そこで生きている実感は得られるのか。。
<時間は使わない、時間が流れる>
PERFECT DAYSは、そんな生き方を描いています。
トイレ清掃員の平山は、神社の杜の掃き掃除の音で目覚め、歯を磨き、缶コーヒーを買い、仕事に行き、薄い布団のなかで文庫本を閉じて眠りに落ちる、といった決まったルーティーンの日常を過ごしています。
しかし、判を押したような決まった日常かというと、そうではありません。
そこには微かな変化がみられます。
仕事の同僚の彼女が尋ねてきたり、同僚が辞めたり、突然姪が尋ねてきて同居生活が始まったり、行きつけスナックのママの元旦那と出会ったり。
変化は、必ず自分をとりまく周り(他人)からもたらされます。
もし周りから影響されなければ、平山は変わらない日常を過ごし続けるでしょう。
自らが自分の時間の使い方を変えることはありません。
しかし、変化は次々ともたらされます。そして平山はその変化をそのまま受け入れていきます。
そこでは、平山が能動的に時間を使うというより、揺れ動く時間が平山の身体に流れている、といった表現の方が当てはまりがよいでしょう。
流れる時間をそのまま受け入れる。そのことで、かえって過去の縛りや未来の目的から解放されて自由になる。そして、生きている実感が得られる。
現在を生きるとは、そんな時間のあり方なのだと感じさせてくれます。
<別設定で観てみたい>
ところで、この映画をまったく別の設定で観たかった、と密かに思うのは私だけでしょうか。
一つは、トイレです。
平山がトイレ掃除の仕事に出かけるのは、THE TOKYO TOILET プロジェクトで著名な建築家やクリエイターが改修した渋谷区内にある新しくクールな公共トイレです。もしこれが、まだ各所に残る汚い不潔な公共便所だったら、我々はこの映画をどのように見るのでしょうか。
同じことは、役者・役所広司にもいえます。
流れる時間をただただ受け入れる平山役にしては、役所広司は生きる力が外向きに溢れすぎているように思えます。(さらに同じことは田中泯にも。)
もし廃人を演じられるような役者、あるいは役者以外の人物が平山を演じたとしたら、この映画はどんな印象になるのでしょうか。
役所広司がしゃべらなすぎてもどかしかった
・冒頭から公衆トイレを生業としている役所広司の日常を最後まで描いていて、小~中くらいの離婚して別れた娘が突然現れたり、同僚が突然辞めたり、懇意にしてる小料理屋の奥さんに男が現れて、と今まで観てきた映画の感覚からしたら弱く感じてしまった事件はあった気がするけど個人的に大きな事件は何も起きないまま映画は終わった。でも、主人公の役所広司からしてみたらとんでもなく大きな出来事が続いたのだと観終わってから少しして思った。どれも何かが起こりそうで起こらないっていう。
・役所広司がしゃべらなすぎてもどかしかった。
・どうして今の暮らしをしているんだろうという疑問は解消されないまま終わった。
・映画だし役所広司の抱えている問題って何だろうとか思いつついまいちわからず、それを乗り越えられたのかなとかと考えたけど、そういう事もないのが日常だよなとか思ったりした。
・東京には沢山変わってて綺麗な公衆トイレが沢山あるんだなと思った。それを掃除する人たちが家から直行して直帰している日常がよくわかる描き方で良かった。
・毎日が同じルーティンで、家の真ん前にある細い自動販売機から缶コーヒーを買って、昼は多分同じサンドイッチで、帰宅したら多分同じ居酒屋で同じメニューを食べている印象で、そんな中、朝いちで乗る軽ワゴン車でかけるBGMのカセットテープは気分で変えていたのが印象的だった。どれも知らないけど、とてもいい曲だった。
・ラストで役所広司が泣きながら笑っていた。正直、どういう感情何だろうとわからないままだった。小料理屋の元夫の命が短いから可哀そうとかだろうか。
・最後の最後、木漏れ日の話が出た。同じものはない、みたいな説明だったと思う。役所広司のような同じような繰り返しも、細かく見たら変化がある、それを拾っていくことが、パーフェクトデイズ?とか考えたりした。
・にしても役所広司はうなぎや素晴らしき世界とか暮らしが似てる映画何本出てるんだろう
ひとことReview!
変わらない日常が、人によっては劇的に変化しているように見える。見方次第で良くも悪くもなるのかな。普通に生きているだけでも「パーフェクト・デイ」になるのか。そんな平山の生き方に、特にキツい過去を経験した人にとっては、本当に救われる。物凄く余韻が残る大傑作。本編に出てきた「サントリー角ハイボール」を、「響」や「山崎」などの高級品をストレートでじっくり味わうくらいな感じかな。
さすが役所広司さん
人にはそれぞれ自分の世界があり、どんな人でもそれは一瞬で一期一会で、大切なもの。
物語に大きなできごとがある訳ではないのですが、トイレ掃除を仕事とする人の暮らしと日々の機微を綴った作品。
なのですが、さすが役所広司さんです。全く飽きさせることもなくストーリーは過ぎていきます。
三浦友和さんとの影踏み、良かったです。
あとは、さすが!の方のもう1人…田中泯さんの存在感がすごいなぁと思いました。
それから、家出してた姪っ子ちゃんが連れ戻される時の、HUGのシーンはうるっときました。
年末にいい映画を観せてもらいました。
完璧過ぎ!!!もしも”役所広司”が、トイレ清掃員だったら?
auマンデー『PERFECT DAYS』
日本俳優界の至宝・役所広司さんが、カンヌ国際映画祭で、最優秀男優賞受賞って事で注目の作品!
事前情報で、シネコンの一番大きいシアターよりミニシアター系の作風ってのは分かってましたし・・・
本来なら1時間くらいが適度な尺じゃないの!?退屈で寝落ちするかもって不安もありながら鑑賞
マーベルのWhat If...?じゃないですが、もしも”役所広司”が、トイレ清掃員だったら?
役所さんの所作だけで、画面から言葉が伝わって来る凄さに脱帽です!!!
雰囲気や情景は数年前の『すばらしき世界』と似た感じですが、2023年ながら平山の日常は敢えて昭和で止まってる。。。
無口なトイレ清掃員・平山の朝起きて仕事して休憩しながら趣味楽しんで、また仕事して風呂入って飯食って寝る繰り返し・・・
スカイツリーのすぐ近くに、まだあんな場所あるんですね。
家賃や駐車場代ナンボなんやろ!?鍵閉めな行く大丈夫なのか!?元は御曹司か!?と気になる気になるww
で、出勤時に車で聴くカセットテープから流れる曲のチョイスが最高♫
姪っ子とのエピソードも良かったですが、石川さゆりをあの役で起用するのは反則!!
外国人監督ですよねこの作品の監督さん@@!
他にも台詞もなく、画面に小さくしか映らない有名人を見つけるのも面白いかも^^!
ただ日本のトイレが諸外国より綺麗って言っても、もう少し汚れているのを綺麗にする描写があって良かったかも・・・
どのトイレも有名百貨店のトイレレベルで、綺麗なところを更に綺麗にするって感じが、リアルなのかと言われればリアルじゃない気はした。
いやいやそんな事気にせず、俳優・役所広司を観る作品って事でオススメです!
で、平山の愛車がダイハツ・・・今回のダイハツ社のやらかした事の残念さに拍車がかかる。
タイトルなし(ネタバレ)
スカイツリーがみえる老朽アパートで独り暮らす初老の平山(役所広司)。
早朝に起床し、若いころから好きな音楽のテープを聴きながら軽自動車で渋谷区内の公衆トイレの清掃に向かう。
時折相棒になる若いタカシ(柄本時生)は軽佻な雰囲気。
清掃もおざなりで平山としては「いまどきの若い者は・・・」といった気持ちがないわけではないが、割り切っているのかそれほど気にもならない。
仕事が終われば、自転車に乗り換えて銭湯の一番風呂に入り、浅草の古い地下街のなじみの一杯飲み屋で酎ハイと一品で食事を済ます。
判で押したような毎日・・・
といったところからはじまる物語で、平山の暮らす老朽アパートのつくりが面白い。
メゾネット式で、入口を入って左に台所、階段下に物置代わりの小部屋、二階に四畳半と六畳。
四畳半のちゃぶ台の上には、いくつもの小さな鉢が並び、若木が育っている。
六畳間には、ちょっとした引き出し箪笥と、窓際にカセットテープがビッシリ並んだ低い棚とその横に古本が詰まった書棚がある限り。
生活臭さがないのだが、銭湯のため風呂なし、コインランドリー利用で洗濯機なし、すべて外食なので冷蔵庫も調理器具もなし、かろうじて湯沸かし用の茶瓶がある限り。
そぎ落とした生活で、一見、禅的生活にも見えるのだが、日々ではなく、もう少し期間を広げて見てみると、そうでないこともわかる。
昼の休憩は木々が茂る神社のベンチで牛乳とパンを食べ、頭上の木漏れ日をオートフォーカスの安手のフィルムカメラに収める。
1日に3枚ほど撮って、1週間経てば24枚撮りのフィルムは終わり、なじみのカメラ屋で現像を依頼し、新しいフィルムに交換、前に現像依頼した写真を受け取る。
出来上がった写真はモノクロ。
選別して、出来の悪い写真は破って捨て、気に入ったものは海苔か煎餅が入っていたブリキ缶にフィルムと一緒に収め、ひと月経てばブリキ缶を四畳半の押し入れに仕舞い込む。
週末もうひとつの行動は、自転車で浅草まで行き、なじみの古書店で1冊100円の本を買う。
今週買ったのは幸田文『木』。
その足でなじみの女将のいる小料理屋に行く。
日々の一杯飲み屋に比べると相当な贅沢。
コインランドリーで洗濯して日ごろの垢を落とすのだけれど、選別したとはいえプリントした写真やフィルムは溜まる。
読み終えた本も溜まる。
溜まった本は、本棚からはみ出し、平積み状態になっている。
そう、モノは知らぬ間に増えている。
削いでも削いでも増えていく。
人は、どうだ。
かつての平山は、かなりの資産家の息子だったことが中盤わかる。
父親と反りがあわなく、出奔したのだろう。
人との付き合いは絶つように生きてきた。
銭湯での常連との会釈、一杯飲み屋の大将との無言の挨拶(なにせ、何も言わずとも、決まった酒と一皿が出てくる)、神社の住職への会釈。
ま、そんなところだ。
だが、絶ったようにみえて絶えているわけない。
実家の事業を引き継いだ(と思しき)妹の娘、つまり姪が家出して平山を頼って来る。
頼るといっても、ちょっとした、はじめての家出。
少しばかりの非日常。
平山にとっても姪との短い暮らしは非日常。
日々に埋もれていた(気づかなかった、気づこうとしなかった)日常の中の変化。
時折の相棒タカシは急に去っていった。
タカシの担当分も清掃をして、へとへとになった平山に一時的とはいえ新しいパートナーが来る。
なじみの小料理屋の女将の素性も偶然知った。
行き場がなくなって親水公園、橋の下で辞めていたタバコを久しぶりに吸っていたときに、女将の別れた元夫(三浦友和)と偶然一緒になり、教えてくれたのだ。
そのとき元夫が言う、「彼女をよろしくお願いします」と。
そんな気など毛頭ないが、「よろしくお願いします」と言われるのはまんざら悪い気もしない。
姪も頼って来てくれたのだ。
仕事の一時的相棒も、よろしくしますと言ったような。
これまでと同じように清掃に向かう平山の車中、「Perfect day, Perfect Life...」とカセットテープから歌が流れる・・・
足るを知って、余計なものはそぎ落としたつもりだったが、まだ足らないと思っている心がどこかにある。
それを、カセットや文庫本や写真のフィルムが象徴している。
これで十分と感じた人との繋がりは、自分が思っていたものよりも太かった。
日々は変化し、変化に気づいているようで気づいていない。
変化に気づけるくらいが、程よい暮らしということだな。
気づいているか、オレ?
<追記>
反復と往復で描かれる、ヴィム・ヴェンダース監督お得意のロードムービー。
これぐらい、ささやかなロードムービーがいいです。
小津安二郎作品より山田洋次作品に近い
平山の名はヴェンダース監督の敬愛する小津安二郎監督作品の笠智衆氏の役名に由来しているという情報は事前に得ていた。ただし、当然のことながら、小津監督作品とはテンポが異なるように思われた。
柄本時生氏演じるタカシとアオイヤマダ氏演じるアヤと一緒に車に乗って移動するようになったところは、山田洋次監督作品の『幸せの黄色いハンカチ』を思い出したが、そう長くは続かなかった。
次に、中野有紗氏演じる姪のニコが家出してきて転がり込み、麻生祐未氏演じる妹との久し振りの再会を懐かしむようになり、そういう展開も、何かありがちに感じた。
石川さゆり氏演じるスナックのママが歌ってくれるのは良かった。三浦友和氏演じる元夫との関係や遊びも面白い。
そうした身内や女性との関係の面白さは、「フーテンの寅さん」シリーズにもありがちで、やはり山田洋次監督の世界に近いのではないかと思った。
最初の方は、車に乗せてもらって仕事に行っているのかと思ったら、自分で運転してアパートから出かけていた。行きつけの飲み屋に行くときには自転車で行っていたけれど、それも飲酒運転だから止めてほしいものだ。
カセットテープも、曲によっては高額買取の対象になるものがあることがわかった。
エンドロールの最後に木洩れ日の映像と説明がある。
幸せとは何かを問いかける、アートのような映画
決してセリフが多いわけではない中、日常に溢れる幸せを研ぎ澄まして、感じさせてくれる映画。
役所さんが出てるから見ようと思ったが、役所さんだからこそ完成した映画でもあったと思う。
何も喋らずとも、主人公の感情がわかる。何故か貧相な暮らしをしてるように見えない不思議。日々の暮らしが乱れることが不満。そして、何よりイケおじ。お金がなくても幸せ。
こんな生活を憧れてしまう。
東京というギラついた街の中で、質素な生活を噛み締めている描写をみて、こんな暮らし方もありだよなと新しい発見。
結論ありきでなく、謎を残すような感じも良かった。
また、みたくなる作品。
・なぜ、あの家での一人暮らしが始まったのか?
・妹に言われた言葉の意味は?どういう家族だったのか。
・あのスナックに通うようになった理由
・若者はテープの音楽に何故憧れるのか。軽トラのエンジンを切るときの「ピピピィ」という音が何故心地いいのか(現代へのメッセージ)
spotifyをお店?と聞く言葉からさえも、音楽の価値だったり、メッセージ性を感じる。
映画のもう終わりか、という感情は否定的なものでなく、この心地よい生活をまだ見ていたいという肯定的な感情だった。でもそれは、自分自身の生活から見出すものなのかも。
思わず、帰りにはハイボールを買ってしまった。
評価が分かれる…新しい手法
役所広司演じるトイレ清掃員の日々を淡々と映し出されます。彼は日々のルーティンをとても大切にします。平日には平日のルーティンが、休日には休日のルーティンがあります。
毎日同じことの繰り返しのように思われますが、毎日、違うことがあり、ルーティンに影響を与えます。晩酌に立ち寄る居酒屋が、いつもガラガラなのに、ある日満員だったり、仕事仲間が突然辞めて、残業したり…小さな変化や不都合はあるんです。それらも含めて、この映画は日常を淡々と映していきます。退屈だ!と感じた人もいたと思います。実際、僕の前の席にいた中年夫婦からは不満が漏れ聞こえてました。
この清掃員の過去は一切明らかになりません。
観客が想像しうる材料は、映像の中で散見できます。ただし、それぞれのシーンを解説するようなシーンも、セリフもありません。監督は敢えてこの手法を取ったとインタビューで答えていました。私たちの想像力に任せる。ある意味、観客の脳内もスクリーンとして使う手法は斬新であり、私たちの鑑賞に自由を与える手法とも言えます。
しかし、私たちは説明を好む民族でもあります。ここは賛否が分かれそうです。不親切と捉える人も少なからずいらっしゃると思われます。
妄想癖のある私は、楽しめました。(^^♪
ラストの車のシーンは、感動しました。清掃員は車で出勤途中、感極まってきます。涙目にになり目が充血していきます。決して涙はこぼさない。でも、泣いてるんです。この演技は役所広司しかできない名演です。監督のインタビューによると、このシーンにカメラマンが感動してしまい…撮影がちゃんとできているのか?とても心配だったそうです。
後半、三浦友和が出てきたのには驚きました。こちらも名演技でした。役所と絡んでも決して引けを取らない。そして、相変わらずかっこいいな。他にも有名な役者が結構な端役ででたりして、とても贅沢な映画でもあります。
主人公の清掃員は几帳面な性格である、という風に撮影されているのですが、細かいところで一つ気になったのは、この男がアパートを出るとき、ドアのカギがきちんと掛かっているかを確かめる仕草が一度も無かった点です。ドアの内側のドアノブ中央に突起があって、それを押してそのままドアを閉めるとカギが掛かる仕組みの古いタイプのドアだと思われるのですが…外に出た時、きちんとカギが掛かったか、ドアノブを回して確認すると思うのですが…。まぁ…気にならない人の方が多いか(-_-;)
好みは分かれると思いますが…ヨーロッパの映画が好きな人や小津安二郎の映画が好きな人にはお勧めです!
淡々とした日常に射す木漏れ日の美しさ
学生時代に見た『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』。蓮見重彦が雑誌リュミエールに難しい批評を書いていたことを懐かしく思い出す。その監督の新作映画を2023年に観られるなんて思ってもいなかった。それだけでも感動ものだ。
トイレ清掃を行う平山の淡々とした日常。だけど、公園から持ち帰った木の苗木を部屋で育てたり、いまだにフィルムカメラを使ってモノクロ写真を撮って整理して保管していたり、曰くありげな過去があった事を匂わせる。
それでも、日常のルーティンは変わらない。そこに射す木々の木漏れ日、時々挿入されるモノクロ画像が美しくもあり、また、過去の記憶を映し出しているようでもある。
CASTは個性的。ホームレスの田中泯、相棒の柄本時生、小料理屋のママの石川さゆり、古本屋の店主の犬山イヌコ、そしてセリフが無いのに輝いていた研ナオコ、みんな愛おしいCASTとなっていて、この映画に豊かな彩りを添えてくれる。勿論、セリフが少ないながらも役所広司の演技は素晴らしい。
久しぶりに心に染み入る良い映画を見た感じだ。
ただ、ラストの三浦友和の登場の仕方がちょっと唐突。だって、探し回ったとしても、広い墨田区、あそこで出会えるはずないもの。淡々とした日常を描きながら、ラストで「作り物感」が出てしまったのが残念だった。三浦友和ならもっと味のある使い方が出来たんじゃないかと、無いものねだりみたいなことを感じてしまった。
あと「ニコは絶対実の娘だ」「ニコは知らないけど平山とケイコは結婚していたんだ」「だから抱擁して別れた後泣いたんだ」と思ったのだけど、公式HP見て、伯父と姪であることが分かった。深読みしすぎてしまった。でも、妹の「本当にトイレ掃除しているのね」とのセリフから、父親から「お前なんかトイレ掃除ぐらいがお似合いだ」みたいに言われたんじゃないだろうか、だから意地になって徹底的に掃除をするようになったけど、今ではそれさえもルーチンになっているって感じじゃないだろうか、とも勘ぐってしまった。これも深読みだろうか。
少ないセリフの一つ一つから想像の世界が広がっていく映画でもあった。
IMPERFECT LIFE
平山の暮らしは形容し難い。
仙人とも、清貧とも、“丁寧な暮らし”とも、“衣食足りて礼節を知る”とも、近いようでどこか違う。
物語とは言えないそれを、ただ追っていく。
意味深に出てきた人物、伏線に感じた出来事や台詞は特に活かされない。
脇役はおろか、平山の過去や考えですら全く明かしてくれない。
だが、それでも見ていられるのだから凄い。
役所広司の演技や、一風変わったトイレ、画面の端に差し込まれる紫や緑の光、曲、モノクロのカット…
そういったものが、静かながら確かな抑揚を生み出していた。
序盤は口数も少なく泰然として感じるが、徐々に印象が変化してゆく。
ほっぺにチューされてドギマギした後に、思い出してニヤニヤする中学生みたいな姿がかわいい。
姪との交流や、妹との再会、匂わされる父親との関係が、唯一明かされる過去である。
ママの元旦那が口にする「会っておきたかった」は、分かり易くも胸に沁みた。
そういった流れからの、ラストの笑い泣き。
平山が蓋をしていたもの、日々の綻び、不安、後悔など様々なものが溢れたように見えた。
穏やかな暮らしに見えるが、タイトルは『PERFECT DAYS』であって『PERFECT LIFE』ではないのだ。
ELLEGARDENの『PERFECT DAYS』の詞に通ずるものを感じます。
観進めるごとに、はじめは理解できなかった平山の解像度が上がり、同じ人間なのだと感じられた。
ニーナ・シモン「Feeling Good」に心震える!あまりにも深いありふれた日常のその意味とは・・・
feeling good「最高の気分だわ〜」
ラストに流れるニーナ・シモン歌うこの曲に全てが集約されている様に思う。
(他の方のコメント見ていないので重複した感想になるかもしれません)
ニーナ・シモンは1950〜70年代のジャズ、フォーク、ブルース、R&B、ゴスペル歌手、ピアニスト、公民権活動家、市民運動家。そう彼女の人生はそれこそ差別や偏見の波に翻弄された人生だった、クラシック音楽家を志したニーナは名門カーティス音楽院の入学を拒否される、溢れた才能があるのに黒人でありしかも女性のミュージシャンであるという事でその存在は音楽業界において忌避されるようになった。それが、当時のアメリカの音楽業界であり、アメリカ社会の現実だった。
「feeling good」その曲のタイトルはとても明るく意気揚々なタイトルなのに曲調は決して明るい曲では無い、重苦しい中から搾り出すような魂の叫び、それはまさに彼女の人生でもあり差別や偏見に晒されていた人達全ての叫びであったのだろう。
この作品でも淡々とした日常、朝家を出る時空を見上げて微笑む平山(役所広司)の表情は一見幸せな様にも見える、しかしその実は・・・ラストに車の中で微笑むその目にはみるみるとこらえきれない思いが溢れ、こぼれ落ちそうになる。
多くの“言葉”が無くてもその表情に込められた思いはあまりにも深すぎる、深すぎる、深すぎる。
人それぞれ背負ってたものは色々あるだろう、でも自分の人生の中であんな風に微笑みを浮かべながら涙を流す事はあっただろうか?
平山のありふれた日常、あの微笑みの裏には「ただ、トイレ掃除をするおじさんの話し」なんかでは無い「微笑みながらも涙が溢れてしまう様な日々」があったのかと思うと、えも言われぬ何かが込み上げてくる・・・。
そして
もう一つ裏に込められたキーワードは「アナログ」かもしれない。
平山が音楽を聴くのはカセットテープ、写真はフィルムカメラ、デジタルが当たり前の現代において日常使っているものはアナログなものばかりだ。
アナログってどう?古い物?デジタルより劣ってる?いやそんな事は無い、CDとレコードの音にしても自然界に存在する音は基本的に全て「アナログ量」の信号、デジタルはあくまでアナログの信号である音のデータをデジタルデータ化して「近似」する形で記録しているに過ぎないのだ、つまり人間が聴き取れ無い、必要が無い音=情報は排除されてるという事だ。
自分達が見たり聴いたりしているものが全てであり真実なのだろうか?身近な音や映像にしても気付かぬうちに“不要”とされた情報が削除されている、世の中の全ての情報も結局のところ真実の全てであろうはずが無い。
気づかぬうちに排除されているがその隙間に間違い無く存在するアナログ=真実の情報そのものを見極める事がとても大切なことなのではないのだろうか。
勝手ながらそんな風に解釈した。
Oh, freedom is mine, and I know how I feel.
It’s a new dawn, it’s a new day, it’s a new life for me.
And I’m feelin‘ good.
ああ、自由をやっと掴んだわ、そしてこの気持ちを噛み締めるの。
夜が明けて、新しい一日が始まる、私の新しい人生。
最高の気分だわ(〜ってもう言葉には表せない!)
多分もう一度この作品を観たら、涙が止まらないかもしれない。
日常の幸せありがたい
主人公の平山さんの生活日常列車に同場乗車したかのような感じがした映画作品でした!!背景や風景も普通なのに何故か綺麗な写真切り取ったかのようなぁ感じながらほっこりしながらみれました特にトイレが綺麗に画かれたような気がします。今年最後に心が洗われたような感じで良かった!!
全218件中、181~200件目を表示