PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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40代後半、男の内角につきささるストレート
正直、序盤退屈。危うく寝落ちするとこだった。
あるところまで見ればわかる。
その退屈さはフリであり、わざとそうされている。
見終わってあまりにさり気なく、内角の厳しいところをつかれた気がしている。
もはや、そのボールは頭に直撃しているのかもしれない。
ただ、女性や10代・20代の人たちがこの作品をどう感じたのかは気になる。
20代のころの自分がここまでつきささっただろうか。
語りたいことはやまほどあるが、予備知識なしで行ってほしい。
キャスティングが完璧だと思う。特に研ナオコ。
プロデューサーに役所の名前があったけど、彼がキャスティングしたのかな。
日本そのものを描いている
海外の監督が日本を描く場合、
かつては、大きな違和感、
少し前は、ちょっとした違和感、
最近は、違和感を感じなくなっていた。
それでも、日本の【生活】を
違和感なく描く作品はなかった。
【日本ぽい】ではなく、【日本だった】。
何も説明はない。
ただ、淡々と日々の生活を
描いていくだけ。
装飾もない、
過剰な演出もない、
でも見ると、主人公の生活が
ぼんやり見えてきて、
その職業から、今の日本が垣間見える。
フィクションだけれども、
見事なまでに
今の日本を切り取ってみせた。
でも実は日本人じゃない監督だからこそ
外からの眼だからこそ、描けた気もする。
どんな映画かと訊かれると
説明が難しいけれど、
この映像の中に、確実に
日本人である自分たちがいると
感じることができる、
数少ない作品だと言える。
余韻を大切に味わいたい、繊細で美しい作品
トイレの清掃員として暮らす一人の男性・平山のありふれた日々を、木々の揺らめきとこぼれる光、街に溢れる生活音と共に描いた本作。静かながら明日への希望をもらえる素晴らしい作品でした。
無口で人付き合いも最小限に、繰り返しの日々を一人淡々と過ごす平山の毎日は、とても普通で、とても地味。朝起きて、植木に水をやり、車で出勤、黙々と仕事をこなし、銭湯で汗を流して一杯やって、小説を読み眠る。
自分を含め多くの人が彼より“充実した日々”を送ってると思います。でも何故か、平山さんの毎日が羨ましく清々しく見えてくる不思議。同じことの繰り返しだけど“ルーティーン”という表現がしっくり来ないのは、きっと平山さんにとっての毎日は変化に富んでいて、繰り返しなんかじゃないからなのでしょう。
台詞も少なく、僅かな言葉の端々から読み解く彼の人生。笑顔の意味や気持ちを表情から推測するけれど、本当の想いなんて分からない。最後の朝日に照らされた平山さんの、笑っているような泣いているような、言葉では表現できない表情が印象的でした。
なぜか涙が溢れたり、心が温かくなったり、切なくなったり。本作を噛み締めるには、もう少し時間がかかりそう。この感情や余韻を疎かにせず、ちゃんと味わいたいと思います。
キャッチコピーのとおり
見終わった後の清涼感がすごい。
面白かったです!役所広司がとにかくかっこいい。
面白かった!ほとんど役所さんが喋らないのに、面白い!目が離せなくて惹きつけられる画づくりに感動した。役所さんがむちゃくちゃかっこよかった。
私は、とっても面白かった。
清貧とはこういうことかと。
ただ、最後のシーンで、主人公がパーフェクトデイズを送るために
捨てさったものの大きさに凡人である私は畏れ慄き恐怖してしまった。
非常に優しくて思いやりがあって教養のある主人公が
今の生活をパーフェクトデイズということに畏怖してしまって苦しくなった。
主人公は、もっと多くのものを手に入れる人生が送れたにだろう。
人間関係も、しようと思えばもっと多く築けるだろう。
でも彼にとっては、この形がパーフェクトなのだ。
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私が若い頃だったらこの映画を面白いと思えなかったかも。
それは私が感受性がなかったとかそう言うことでなく
この映画を面白いと思える経験が少なかっただけで、むしろその世界線の方が
幸せなんじゃないかなーと思った。
人生は木漏れ日
途中で2回寝てしまった。ごめんなさい。
嫌な言い方をすれば、「人生の負け組」で括られてしまうヒラヤマさん。判で押したように毎日繰り返しの生活を送りながら、でもヒラヤマさんは一瞬一瞬を確実に「生きて」いる。ヒラヤマさんは単調な毎日を一歩一歩歩んでいても、迷いや悩みの中にいる人たちが、ヒラヤマさんに絡んでくる。ヒラヤマさんの日常は乱されるけど、彼はその人たちを無下にはしない。ヒラヤマさんの生き方は確立されているから他者の存在はあまり関係ないのだ。実は。
ヒラヤマさんがあんまりしゃべらないから、もしかしたら何にも言わないんじゃないかって少し心配した。まあ、後半そんなことなかったけど。でもしゃべらなくて良いって、言葉でごまかせないからより真実に近い気がする。
見て良かった
とてもいい映画でした。TTTプロジェクトの清掃員を主人公にした映画...
PERFECT DAY
わたしにとって、初ヴェンダース作品。初見ながら、なんか以前観たあの映画に似てるな、ほらアダム・ドライバーが出てたあの。。。って後から思い出した『パターソン』のことを思い出すなどした。1日のルーティンをていねいに描写、それこそていねいに生活している平山のくらしを淡々と描く。日々の仕事をていねいにこなしながら、音楽と文学を愛する生活。数日繰り返したところで、休みの日はどうしているのかなとこちらが考えるといつもと異なるルーティンが始まり、休日の暮らしを見せてくれる。過不足なく編集されており心地よい。
その繰り返しの暮らしのなかでもちょっとした事件は、起こる。そりゃ、生活だもの。わたしたちの生活と同じ。
この生活は彼自身が選び取ったものであることが、途中の描写で表現される。過去、深く傷つくことがあったのであろう。ここに逃げてきていると言えばそれまでだが、平山の生活こそが人の本質的な生活にも感じる。どこか平山の生活に憧れを覚えるのはそのせいだろう。
映画のコピーに「こんなふうにいきていけたなら」とあった。気持ちはわかる部分もあるが、全肯定することはできない。この暮らしは平山にとっての最善の暮らしであり、わたしの最善ではないからだ。おそらく映画を観た方々の最善でもないであろう。わたし個人は、映画と本、音楽、ゴルフと家族と孤独と仲間との酒をただただ愛して暮らしていきたいと思っている。
個人個人の幸せ(と感じるもの)を日々感じたいと思う。
日々の暮らしにパーフェクトデイはあまりないけれど、(自分にとって)今日は良かったと思える日々を過ごしていきたい。この映画を観て、そう感じた。元旦の朝9:25の回だったが、"完璧な"元旦だった(地震が無ければもっと良かったけれど)。
まさにこんな生活してみたくなった おしゃれだって思わせるんだ こう...
いろいろなことがある、それがパーフェクトデイズ。
日々挟まれる夢が、詩のような印象。
主人公がとて無口で日常においてほとんど語らないせいでもあるが、その夢は、同じような繰り返しに思える1日1日でも決して同じ一日はないということを思い出させる現実的な句点の役割も果たしていた。
公衆トイレ掃除が決して簡単なものではないだろうけれどそこは多くは語らず。
木漏れ日を見上げ、モミジの稚樹を、きちんと折りたたんで作った新聞の小箱に土ごと入れ(それも自分で購読しているのでなく、掃除に使う事務所の備品だろう)アパートの部屋に並べてきちんと水を吹きかける。仕事ぶりも仲間からそこまでしなくてもと言われるほど律儀で丁寧。ただ、仕事以外の生活の中では、強く大きな音を伴う、少し投げやりにも感じる動作ひとつひとつに、かつて持っていた力と失ったものの大きさを感じた。それにしても運転手付きの妹、健在な頃には会えなかったお父様。去る車を見送ることもできずうつむき慟哭する彼に、何があったのだろう。
繰り出される音楽と小説も平山のバックグラウンドを想像させる素敵なカードになっていた。
がんの転移によって自分の未来を諦めた三浦友和が、日常生活のいろいろを諦めたような男に、小さな責任を頼む。かげふみで寄り添おうとする平山。重なる影が濃くならないはずはない、というセリフは、さもない毎日を積み重ねている自分への言葉のよう。最後の長いクローズアップは、涙を流すようなこらえるような、悲しみと希望がせめぎ合うような。その場に居合わせた全ての観客は目を離せなかったはずだ。
テーマは虎舞竜のロード!
なんでも無いような事が〜・・・・それってまんまロードやないか!)普通の生活って当たり前だとおもっているけどそれって幸せなんだよって気づかされます!
この映画のテーマは正にその一言です。
終わりです さようならバイバイ!
終わりでも良いんですが多少感想書いて行きますよ。
人は毎日が単調な事の繰り返しで退屈でつまらないから不幸せだとか思うんですが、大きな病で死にかけたり余命宣告されて助かったりすると当たり前に健康で普通に生活出来てる事って実は幸せなんだって気付かされたりするんですが!この映画は鑑賞する事によってなんでも無い普通の事って幸せなんだと教えてくれる素晴らしい映画でしたね。
ただ昔に辛い事があったからこそ今のこの生活にたどり着いて普通の事に幸せを感じて行きて行けるようになってると思われるのですが過去の辛い出来事を回想シーンで見せたりしないから最後の泣いてるシーンで色々苦労してるんだよな結局ってなるので余計なシーンが無くて大正解だと思いました!
あと演出や内容について言いますと映画を見ていて何かトラブルや事件が起きるんじゃないかって考えながら見ていたり、オチはどうするのよ?って考えたりしてる時点でそうじゃねえんだよ!普段の生活にオチなんて無い(ある意味映画的では無い)ってのを突きつけられたし、何も起きないで同じ事をしてるだけの内容でセリフすら極力無いのを飽きずに延々と見てるが飽きないのは何故?
事件がやたら起こる割には面白くないし喜怒哀楽の表現が過剰なだけで内容はつまらなくて眠くなる作品もあるのに何故?
しかも効果音すらないのに?
理解不能の面白さで?だらけになるんですよ!
更には主人公を妨害する悪い人や性格が悪い人も居ないしラスボスと最終決戦も無いのに面白い? は?ってなりました。
こんな作品今まで見た事無いから驚きの連続でした!
たまーにカセットで聴いてる曲がかかるだけで癒されて(曲がいちいち良くてサントラというかカセットテープでサントラ発売されたらカセットテープを再生するウォークマンあるかどうか知らんけど買いたいとまで思った)落ち着くしめちゃくちゃリラックスしながら見てるしデトックスというか心が綺麗に浄化されてるのを体感できるくらい心地良い時間を過ごせて、ある意味初めての衝撃映画体験でした!(静かだと落ち着かなくて家でも音楽かけたり見る気も無いのにとりあえずテレビを付ける必要なんて無い事に気づいた)あと役所さんの演技が全ての感情を極力抑えているのに微表情で見ている人にセリフ以上に伝える技術というのが高度過ぎてカンヌの最優秀男優賞は当然でしょって平気で言えるくらい素晴らしい演技をしてました。
便所を掃除するおじさんを見るだけなのに飽きずに2時間見れるって偉業というか凄さのレベルのケタが数段違うって事は理解したつもりです!
あと今時の映画で昔のテレビサイズ4:3画面は逆に新鮮でスクリーンXで見たらどうなるんでしょうかね(笑)
それで思ったんですがこんな内容の作品を作るってチャレンジするというか成立させられる監督って他にいるのか?って考えてしまったというか逆にこんな内容でこのセリフ量で観客が全く飽きて眠くならないような2時間を過ごせて映画祭で賞を取って作品としてのクオリティの高さを証明してるとか凄いのポイントが多過ぎなんじゃあ笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑
あとセリフを極力言わないで語る作品だったのでゴジラ(見たものとその時の感情をセリフで大袈裟に全部言ってしまうという逆に珍しくて他では見た事無い会話と演技)と比べると対極過ぎる演出やセリフ量だよな〜って考えながら見ていました。
ラストシーンで主人公の泣き顔アップの長回し(これで過去に色々大変な事があったのがわかるしそれを表しているんですが普通になんで最後泣いてるの?ってなる人もいますね)を写すのはホラー映画のパールと全く同じでそんな被り方するんか〜い!っておもいました。(ラストシーンは脚本に泣くっ書いてあっただけだったんだってさ!あとパールも最初からあのシーンあった訳じゃなくてなんとなく長回しで最後にカットをかけなかったとか言ってたはず)
今更ながら勉強になる事と自分の今までの考え方や思考などを良い方向に導いて貰えたのでありがたいです。
最後に似たような内容の作品ばかりの時代に似た作品が全く無い(おじさんがトイレ掃除するだけの映画なんて無いです笑)オリジナリティに溢れた超良質作品に出会えて良かったです。
この映画はレーティングがR-60指定とかでいいんじゃねってくらい高齢者には刺さる内容だとは思います。
この作品は他の映画監督が見たらどう思うんでしょうかね?(こんな映画を作れたら俺も一人前って思うんでしょうね多分、普通非日常が起こるのが映画やドラマの当たり前になってるから何も起きない🟰つまらないでは無いのを証明した作品とか逆説的過ぎるんよ)
無常の人生と不変の人間の本性、性格
カンヌ映画祭で役所広司が主演男優賞を受賞した作品なので2024年映画鑑賞初めとして鑑賞した。トイレ清掃員としてルーティン化された清貧生活を送る主人公の姿を通して、人生の無常と人間の不変性を浮き彫りにした秀作だった。
台詞を極力減らすことで、ドキュメンタリーのような、主人公の日常を切り取った雰囲気を出している。台詞の密度が高く意味深で人生訓のように心に響く。
本作の主人公は平山(役所広司)。彼は、東京でトイレ清掃員として寡黙で規則正しい毎日を過ごしていた。通勤時に車の中でお気に入りの音楽を聴き、常時携帯しているカメラで木漏れ日を取り、休日に買った古本を読み、馴染みのスナックでママ(石川さゆり)と何気ない会話を交わし、彼の毎日は小さな喜びに満たされていた・・・。
平山は過去を捨てて清貧生活を始めた。彼の過去は謎だが、姪と、母親=平山の妹の登場&台詞で、かなり裕福な環境にいたこと、父親と確執があったことが推察できる。経済的環境の激変は精神的にかなり厳しい。しかし、冒頭から平山の表情に気負い悲壮感はない。自然体であり開放感がある。父親との確執の壮絶さを物語っている。
故に彼は父親の件を踏まえ、濃密な人間関係を避け寡黙になる。最小限の人間と最小限の会話を交わし最小限の人間関係を作り人間関係の長所を捨て短所を消そうとする。暫くの間、この彼の思惑は成功し細やかながら満たされていく。
しかし、親族の登場で小波が起こる。そして、相棒の若手社員(柄本時生)の突然退社、スナックのママの元夫・友山(三浦友和)の登場で、平山の思惑、頑なに守ってきたルーティンは崩れる。
“結局、変わんないですよね”という友山の台詞が心に強く残る。人生は無常だが、人間の本性、性格は変わらない。人間は無常の人生を変わらぬ性格で生きていく。その辛さをラストシーンで役所広司が泣き笑いだけで表現している。
本作はフィクションだが、平山の人生の好転を祈らずにはいられない名演技だった。
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