PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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規則正しくて、つましい生き方だと思うけど、さみしくないのかな?
私だったら、とても淋しくて堪えられないと思う。まず、無口なこと。いろいろな思いを内に秘めて、つらくないのかなぁ? どんどん膨らんでいって破裂しちゃわないのかな? 「王子さまの耳はロバの耳」ではないが、穴を掘ってその穴の中にすべてぶちまけるとかしないとおかしくなってしまいそうだ。次に、情報がないこと。新聞を読んでいなかったし、部屋にテレビもなかった。今身の回りで起きていることを全然知らなくて、不安じゃないのかな? 現在は情報過多で、誤った情報も流れてくるけど、取り残される気がしないのかな。それから、友だちや家族がいないこと。知合いはいても、友だちらしき人はいなかった。家族とは絶縁状態。人って、人と交わっていかないと生きていけないんじゃないかな。いろいろ考えていって、それらが欠けている平山の生き方は私にはできない、到底無理。監督のインタビューなどを読むと、平山の名前の由来が「東京物語」から取っているとか、僧をイメージしているとか答えている。私はリアリティに欠けていると思ったが、もしかしたら、現実では絶対無理だから、理想の生き方として描いたのかな? だんだんそう思えてきた。ラストシーンの平山の泣いているような、微笑んでいるような表情はどういう意味だったのだろうか? 木漏れ日という言葉は、英語では一言では言えないそうで、日本人として響きもすてきだし、誇りに思えた。
変化のないように見える日常だか、そこには楽しみを見出せる。
毎日決まったような日常が繰り返される。人は年齢を重ねると若い時のような新しさや、驚くなような出来事が少なくなる。はたからみると変化がないように見えるが、本人にとっては自分の好きなことをしつつも仕事をしっかりとこなして生きてる。
ちょっとした些細な変化があったりする中にさまざまな人の人間模様が見える。
人間交差点という漫画を思い起こさせてくれた。
そして渋谷区の公衆トイレがオシャレすぎることに感動した。
濁りなき生命
何かあると思えばあるが、何もないと切り捨てることも可能
それっぽい感想をこしらえようと思えばいくらでも語ることはできそうな内容だが、なんだこの映画、何もねーなぁと思ってしまうことも可能ではある。
几帳面な性格と興味のあることは突き詰める性分からして、頭も良く、きっといい大学も出ていることでしょう。また、妹の身なりや車からして、いい家柄であることもうかがえる。望みさえすればいくらでも裕福な生活を手にする機会が得られるであろう恵まれた環境にありながら、そういったシガラミから全部解放される生活を敢えて選択したということなのでしょう。
シガラミから解放されたいと思うことは、特に研究者気質の人間には往々にしてあることだが、好きな人ができ、家族ができ、それに伴って自分一人で自由に生きるという選択肢は除外され、それなりの生活を送るという選択をするというのが一般的でしょう。
自分以外の人のために生きるという選択の可能性がスナックのママぐらいしかなかったのか、とても気になるところでした。
プリズムの揺らぎ
Perfect Days
彼には世界が美しく見えている。そして誰かの日常と合わさることで、それは更に輝きを増してうつる。
(社交的とは言えなくても)生き方に感銘を受けて、近づく人がいる。
過去にあったことの仔細は不明だが、何か理由があるはず。しかしそれ以上に、皆が生きている世界は、実は繋がっていないという。多様性を認めながらも、自身は習慣に回帰する。
だから人の無関心は敵ではない。それでも居なくなるときには、少しだけ世界に痕跡を残したいと迷う
孤独だけど豊かな生活
孤独な男の日々。
都会の喧騒の中で平穏で緩やかな日々の生活を描く。
起伏にとんだ内容ではないのだけど、観てるこっちが彼の生活に安らぎとほっこりした温もりを感じさせてくれた。
何か素敵なものに触れた
寡黙なトイレ清掃員のおじさん「平山さん」の日常を描く作品です。
彼の日常はささやかで、けれども退屈にならず、ずっと観ていられます。
役者さんの非常によいお仕事を観られた気がします。
平山さん(役所広司)は夜明けに目覚めるとせんべい布団を畳み、手際よく身支度を整える。
小さな古めかしいアパートから外に出ると、空を見上げてにっこりと微笑む。
トイレ掃除に向かう車中のBGMは、お気に入りのカセットテープから選ぶ。
仕事が終わったら銭湯へ行ってサッパリし、駅改札前の居酒屋で一杯飲む。
今日は何かあったような無かったような、それでも眠りにつくときには印象的な出来事が思い起こされる。
毎日同じことの繰り返しのようだけれど、まったく同じ日はなく、平山さんはその日その日を大事に愛おしく生きています。
作品は多くを説明しませんが、平山さんはきっと過去に、ここで根を生やしこの暮らしをすると覚悟を決めたことがあったのでしょう。
寡黙な平山さんの言葉はやさしく相手に寄り添い、同時に自分に言い聞かせるようです。
さびしそうに、誇らしそうに、不安そうに、清々しそうに、ちぐはぐなものを抱えながらも平山さんはにっこり微笑むのです。
木漏れ日
「えっ、ヴィム・ヴェンダースってまだ生きてたの?」
高校生の頃、当時地元では上映していなかった、いわゆる単館上映映画にあこがれていました。
その後、上京した時に超ロングランしていたヴィム・ヴェンダース監督の「ベルリン天使の詩」を観たのが私の単館上映映画の初体験でした。
正直、内容はよくわからないけど美しい映像が印象に残りました。
この「PERFECT DAYS」を知った時に「えっ、ヴィム・ヴェンダースってまだ生きてたの?」っと驚きました。
「ベルリン天使の詩」の時、パルムドールも金獅子賞もすでに取っている巨匠だったので、勝手に高齢なのだろうと思っていたのです。
前置きが長くなってしまいましたが「PERFECT DAYS」感想ですが、トイレ掃除を仕事にしている訳ではありませんが、未だ独身一人暮らしの自分には重なる部分もあり、感じるところが多い映画でした。
10代の時にはよく解らなかったヴィム・ヴェンダース映画ですが、30年以上たった今は自分が成長したのか、またヴィム・ヴェンダース監督の変化か、その両方か、とにかく10代の頃とは違って自分の中にすっと入ってきました。
当時とは全く違った印象のヴィム・ヴェンダース映画でしたが、夜の高架道路を走るシーンの時、昔の映像がよみがえるようでハッとしました。
ほとんどあり得ない話
レンタルで…
この映画の良さがわかることに嬉しくもあり哀しくもあり
私は役所広司が道路工事の交通整理員の制服で出ている損保会社のCMが好き。なんとも言えず好きなのだ。
劇伴も最高だった。アニマルズの朝日のあたる家(朝日楼)からやられた。オーティス・レディングのドックオブザベイも。
カセットテープ。売り値は高いと思うけど、下取り価格でもそんなにするのかと。市販のものはほんの少しだけならある。人にあげたり、失くしたりしてしまったものが多い。しまったなぁ。
コラ! 時生!
こういう役の時生は実にリアルで面白い。
あの軽ワゴンは30年以上乗っているのか?
あの生活スタイルには銭湯がまずネックになる。それと長屋スタイルのメゾネットアパート。一度も鍵かけてなかった。
湯呑み茶碗などで育てる盆栽。
向島から浅草界隈にアパートを借りてみたくなった。
寝床の部屋のタンスひとつだけのガランとした感じからはミニマリストかと思ったが、台所や押し入れにはものがぎっしり。思いでが詰まっている様子。
大切なものがちゃんと分かっているからブレない潔さ。
憧れる。
男は無口でなくてはイカン。
こんなマイ・ペースでちゃらんぽらんな私でも、仕事はきっちりする方だと思っている。
だんだん役所広司に同化していき、世界に没入しようとするのだ。
そして、淋しさもちゃんと分かっている。
翌日になっても、まだ半分は役所広司が体の中に残っている感じがする。
映像もたまらない。
首都高速の架橋下の公園、神社の木洩れ日、寝入りばなのにみる夢。
ヴィム·ヴェンダースのベルリン天使の詩はとても難しくて、歯がたたなかったけど、こちらはOK。
共演者もみんな私のツボだった。
安藤玉恵、甲本雅裕、田中泯、三浦友和、研ナオコ、モロ師岡、芹澤興人、松井大悟、松金よね子、吉田葵。
あがた森魚がギター持った客でいる石川さゆりが女将の店。一週間に一度決まった日に行くぐらいが嫌われなくっていい。ほんとは「ウィスキーが、お好きでしょ」も聞きたかった。コンビニでピースといっしょに買ったあの3本は缶酎ハイじゃなくて確か濃いめのウイスキー角ハイボール(Alc9%)だった。仕事の日の毎朝の缶コーヒーはボスのカフェ・オ・レだったような。どちらもサントリー。
アオイヤマダ?が素敵だったなぁ。
ほっぺにチュのあとの銭湯でのニヤニヤがまたいいのよ。
心の平安=パーフェクトな日々
【鑑賞のきっかけ】
本作品は、カンヌ映画祭で、主演の役所広司が主演男優賞を受賞したこと、監督がヴィム・ヴェンダースという著名な監督であったことで、劇場鑑賞して来ました。
【率直な感想】
<物語の概要>
本作品は、主人公の職業が、トイレの清掃作業ということで人目を引く部分があるかと思いますが、もうひとつ、この作品で強調されているのは、「こんなふうに生きていけたなら」というキャッチコピー。
つまり、主人公の平山は、一見すると、同じ繰り返しの日々を過ごしているが、彼にとっては、毎日が新しい日であり、幸せな毎日なのだ、と。
<彼の生活はリアルか?>
作品の舞台は、東京スカイツリーの立つ、東京・墨田区。
彼の変わらぬ日課のいくつかのうち、印象的なものは次のとおり。
1.仕事場に向かう自動車内で音楽を聴くこと
2.昼休みにコンビニで買った昼食を食べながら、風に揺れる葉に覆われた樹木をカメラで撮影すること
3.仕事が終わった後の入浴
4.帰宅後に、寝落ちするまで本を読むこと
この作品は、現代を舞台にしています。上記の行動は、毎日ではなくとも、日々の日常生活で行っているという方は多いことでしょう。
でも、その行動を支えている方法自体は、恐らく違っているかと思います。
1.音楽鑑賞→カセットテープに録音したもの(デジタルオーディオプレイヤーではない)
2.写真撮影→フィルムによる撮影(デジタルカメラやスマホではない)
3.入浴→銭湯を使用(内風呂ではない)
4.読書→古本屋で購入した紙の本(電子書籍ではない)
昭和の時代ならまだしも、令和の時代に、すべてが、平山の方法と同じという方は、まずいないのではないでしょうか。
<平山の日常の持つ意味>
平山は、スマホを持たず、家にはテレビもありません。
また、新聞を購読している気配もない。
一体、どうやって自分が暮らしている社会で起きている出来事に関する情報を得ているのでしょうか?
これは、彼の昭和のノスタルジックな生活と無縁ではないのかもしれません。
平山は、独身で、一人暮らしをしており、私は、本作品では、彼の肉親は登場しないものと思っていましたが、後半、どういう立場なのかは明かしませんが、ある肉親が登場します。
この肉親との会話から、平山は、昔から、清掃の仕事をしていたのではなく、何かの転機があって、今の生活に落ち着いたようです。
詳しい説明は作中にはありませんが、相当に辛い過去があるらしいことが想像されます。
そんな彼にとって、恐らく幼少期を過ごした昭和の時代のアイテムは、心の平安をもたらす重要な要素なのだと思います。
カセットテープから流れる古い音楽は、古き良き時代を想起させる。
フィルムで撮影された写真には、古き良き時代のぬくもりがある。
銭湯には、内風呂にはない、ゆったりと湯につかって疲れを癒やす効果がある。
古本の読書には、ページを繰るごとに、著者からのメッセージがマイルドに伝わってくる感触がある。
などなど。
【全体評価】
平山は、昭和のアイテムを使って、自分らしい日常を演出していますが、恐らくデジタルの環境でも、自分独自の日常を演出することは可能なような気がします。
なお、彼は一人暮らしで、無口だけれども、決して人間嫌いな訳ではなく、適度な距離を取った人間関係も築いています。
私生活・仕事・人間関係。
これらの要素をバランス良く、かつ淡々と過ごす平山の生き方には、豊かな人生を歩んでいくためのヒントが隠されているように感じられました。
生き続けていないといけない
人生は顔に出る
トイレだから、ではなく描き方がくさい
一時間で終わる夜ドラマだったら許容できる題材か、と思えてならない。主人公をその程度、と軽く見ているのではない。作品として、2時間使ってるけれども、一時間でよくないか?そういう意味。トイレ清掃の男の生活を描きながら東京の様々なトイレを紹介している。後半に入れ込まれた思わせぶりに素性を想像させるシーンなど、不要。そのシーンのせいで、まともな世界(どんな世界だ?)とトイレ清掃生活をオルタナティブ扱いしてしまった。まったくもって、思い出すとどうにもならない鼻持ちならなさが鼻につくのだが、高評価が多いのはみなさんわりと幸せなのかな。しかも、ラストシーンのニーナ・シモン。これで終わったらちょっと怒りが湧くかも? と思って見ていたら終わってしまい、私は悲しかった。ニーナ・シモン使うなら「I put a spell on you」を絶妙に使ったヴィトンのCMほうがはるかにセンスが新しいと感じただけに。。。あーやだやだ。見なけりゃよかった。いや、姪っ子とチャリンコのランデブーシーンとか、行きつけスナックママの元夫との影踏みなど、とてもいい。いいところはたくさんあった。が全体としては、期待したぶん反動で評価、低いです。あと、この映画を支持してしまう人の多さ!!政治・生活が良くならない理由がわかりました。
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