PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
全852件中、301~320件目を表示
美しすぎて胸いっぱい
観たい気持ち半分、観て悲しい気持ちになったら嫌だなぁと避ける気持ち半分で、遅れて今頃観た。後悔しかない。もっと早く観ればよかった!
映画は木漏れ日を愛する男、ヒラヤマの部屋の朝から始まる。
修行僧の部屋か、監獄か、と思うほど禁欲的な何もない部屋。手狭な和室にあるのは必要最低限の家具と本とカセットテープレコーダーだけ。
暗い中、ボロボロのアパートで黙々と仕事の準備をするヒラヤマ。トイレ掃除の道具を満載した軽自動車に乗り込み、カセットテープ(!)をかけ100円の缶コーヒーを飲む。でも不思議と悲壮感がない。
彼は黙々とトイレを掃除する、一生懸命に。やけでもなく、逃げ込む風でもなく、絶望感もなく。
日々巡りあう人々や出来事、天気、空、緑、風を味わい、心から幸せを感じる。彼の周りには不思議な空気が漂う。
個性的な人々が現れ、何か展開するのか?と思うとそうでもない。彼がこの仕事についた経緯も明かされるのかと思いきや、触れられない。伏線のようで伏線でもない。彼の生活の様々なシーンが、カレイドスコープのように散りばめられている。
同僚の彼女は、行きがかりでヒラヤマの車に乗り、彼の音楽テープを気に入り盗んでしまう。そして返しにきたという名目で車に乗り込み、頬にキスして去る。せつない。。
音楽の趣味は、意外に人の本質や心のひだまで写したりする。あの見た目、仕事、車、なのにあのテープ!惚れる気持ちもわかる。
そういえば学生時代、男子が好きな曲を集めたテープを渡してくれたりすると、告白されたくらいの起爆力があった(趣味があった時限定)
突然訪ねてきた年頃の姪に、ヒラヤマは、
「家出するなら叔父さんちって決めていた」と言われる。
大人として最高の賛辞ではないか。
ヒラヤマの周りにはいい女が集まってくる。いい香りの花に集まる蝶のように。
繊細でピュアな精神を持つ彼女たちは、もがきながら物質的な世界に生きている。
そんな苦悩はとっくに超越したヒラヤマの潔さ、繊細さ、慈愛の心に女達は打たれる。
地味で、オシャレの片鱗もなく、いわゆる負け組的仕事・住まい、ややコミュ障?
そんな世間のカテゴリーも評価も知りながら、ヒラヤマはその中に生きない、絶望していない。
ヒラヤマは、木漏れ日をモノクロのフィルムカメラでファインダーも覗かず撮るのが趣味。現像後出来を確かめ、NGと思えば破って捨てる。その日の光と風と葉とシャッターの気まぐれによる一期一会。モダンアート⁈ただものではない感が滲み出る。
ヒラヤマのポケットにはいつも古本の文庫本が入っている。TVのない部屋には本がぎっしり。彼の精神性、哲学は静かなあの部屋で本達と培われたのかもしれない。
感情をみせないヒラヤマが、ただ一度あつくなったことがある。姪を迎えに妹が来た時だ。
センスのない社長車の後部座席に座り乗り付ける妹、ヒラヤマの感性と違いすぎる。支配階級の家の出だとわかる。ヒラヤマと父との確執もチラリ。別れの時、ヒラヤマは万感の思いで妹をハグをする。愛していたけど、自ら家族から距離をおいたのだろう。
圧巻は、石川さゆり扮するスナックのママの元旦那(ガンで余命わずか)との川辺のシーン。
「影って重なると濃くなるんですかね」「何もかもわからないまま終わっていくんだなぁ」「あいつをよろしく(×2)」
のしんみりセリフからの、
二人で体の影を重ねてみたり、影ふみしたりのクレイジーなおじさん二人に、涙腺崩壊。
夜明けに仕事に向かうヒラヤマは、いつものようにテープをかけ車を走らせる。
世界を肯定するように一人笑顔をつくる。その目には、おさえてもおさえても涙が溢れる。目だけで語れる役所こうじ、さすが。
静かな映像、ストーリーなのになぜこんなに力強いのか。心を別次元に連れて行かれた。日々溜まっていたモヤモヤやストレスもどこかに吹き飛んでしまった。
2023年の映画のマイベストです!
平山は妖精かな?
平山の過去についてははっきりと語られていませんでしたが、相当な転機(転落)があったのでは…と思われます。
そうでなければ、ラストシーンの表情に繋がらないような気がするのです。
非常に余白の多い作品で、思うところも多く、年末に見たこともあり心に染みました。
(続きブログ)
鑑賞後思ったこと
最近映画鑑賞後、レビューを書く頻度はめっきり減った 他の用事もあるし、一番はなかなかに自分の理解力が追いつかないことがある。
この映画も約2週前位に鑑賞したが、あのビンダースの作品にしては分かりやすかったものの、「なぜ今?」という思いが勝って書く意欲はわかなかった 結論私は好きな部類の作品ではあるが、どこか今の日本とはかけ離れたこの映画のシチュエーションは心に何かしらのわだかまりとして残ってはいる
好きなシーンは木漏れ日のシーン・パンを食べる神社境内のシーン、そしてなによりラストシーンの運転しながらの表情で人生を現す役所さんの見事な演技です
こんなに好きな作品なのに、ひっかかるのはシンプルに生きるその姿を肯定するようでいて、その背景はないことになってしまっている点。点描だけなら今の日本(あるいはTOKYO)は外国人の方から見たら不思議な素晴らしい光景にみちみちているのかもしれない
だがこのエッセンシャルワーカー達の日々の苦悩は素通りのようだ。柄本くん代わりの安藤さん等の背景を描かない分、目ざわりが良い静謐なシーンが続いていく。ここからも今の日本の真の姿を描いているとは思えない?観光映画と割り切るしかないの?
(追加)
案の定 万博トイレ二億円等報道されましたが、こけおどしの「トイレにびっくり」みたいなセンス・観光利用は止めてほしいです
感じたままが正解なのかもしれない
毎日同じ事の繰り返し。でも全く同じ日なんて一日も無い。
主人公がどうしてこのような生活をしているのか。彼はそれを望んでしているのか。彼は何を考えているのか。説明は一切無いと言っていいと思うが、どうしてか目を離せず、退屈さは感じない。
全体的には静かな映画だが、度々かかるカセットテープの音楽がとても良い。
主役の役所広司の演技が素晴らしい。そして脇を固める個性的な面々のキャラクターも良かった。
役所広司の最後のワンシーンが肝。
役所広司演じる平山の最後のワンシーンが一番頭に残る。
今まで生きてきた喜怒哀楽を表したような表情が印象的だった。
影は重なれば濃くなる。
木漏れ日は重なれば濃くなる。
何気ない日々の生活も積み重なっていけば人生の濃さ重さを生んでいくのだろう。
しかし平山のトイレの掃除シーン何か見入ってしまった。(笑)
話は変わるがそろそろ役所広司の時代劇がまた見たい。
同じ日々も常に新しい人生の始まり
昨年から急激に映画を見るようになって、でもその映画が意外とすぐにamazon prime とかで見られるようになってがっかりする、そんな経験をし始めている中でも、映画館で見ておいて良かったと思う作品だった。静かに、わずかなアップダウンを楽しみ、じっくりとメッセージを咀嚼する映画。きっと家で見てたら浸ることはできなかった。
毎日、きっちりと同じルーティンで生きている主人公、平山。そんな毎日にも、否応なく変化は起きる。同僚がサボったり彼女を連れてきたり、姪っ子が家出して転がり込んできたり、常連のスナックのママの知らない姿を見てしまったり。そんな中でも変化を楽しむわけではなく、少しだけ迂回して同じ日々を生きようとしているように見える。でもそんな彼が初めて会った末期癌の男と影踏みをしながら、変化がないなんておかしい、と言い切るのだ。
役所さんはほぼ話さない中で色々な思いを表現しててやはり凄かった。朝外に出て天を仰ぐ時のよろこび。働かない同僚が懐かれていた時の微笑ましさ。好きな音楽を分かち合えた時の嬉しさ。日々の苛立ち、戸惑い、照れ。急な悲しみ。
最後のシーンで流れるNina Simone のFeeling good という曲、"It's a new dawn, it’s a new day, it’s a new life” という歌詞が沁みる。日々どんなに同じに見えてもやはり新しい1日であり、新しい人生の始まり。この曲を聴きながら最後目まぐるしく移り変わる平山の表情、感情に引き込まれた。
丁寧な暮らし😌
トイレ清掃員、平山の日常を追っていく映画。
言葉で言うとそれだけなんだけど、主人公平山の生き方がなんとも魅力的。
時折り見せる平山の微笑み☺️
幸せって日常の中にたくさんあって、それに気づかないだけなのかもなぁって思ったりしました。
自分も仕事に対して、人生に対して誠実に今を生きていこう。そんな気持ちになるとってもいい映画でしたよ😊
おすすめです!
配役が良い。えっドイツ映画?
役所広司の演技に依るところが多い映画。
日常の中で、ちょっとしたところに美しさを感じることがあっても、立ち止まってそれを味わうことは無いのではないか。紆余曲折あったであろう主人公が辿り着いたのは、喜びも哀しみも味わいながら生きる日々。究極の生き方の一つを描いたのだと思う。
日本人役者によるヨーロッパ映画みたい。
と、思っていたら、監督がドイツの方なのですね。
テーマがわかりやすい邦画とも、
どんな内容かわかりやすいハリウッド映画とも違う、
観る人によって響くところが変わる映画だと感じた。
事件らしい事件も起こらず、けれど、何か深いメッセージが込められているストーリー、うん、ヨーロッパ的♪
日本の木々の清々しさ、緑を通した光のはかなさ、公衆トイレのとってつけたようなアート感、日本的だ。
この映画、とてもよい化学変化だった。
前半、平山は無口で、ほとんど声を発せず、同僚のタカシのおしゃべりだけが耳に残った。
後半、転がり込んできた姪と話すようになったことをきっかけに、平山の人となりと感情がくっきりとあぶりだされてくる。
見事。
トイレの清掃という仕事に熱心に取り組む平山に、タカシがいうセリフ。
「どうせ、すぐ汚れるのに、なんでそんなに一生懸命掃除するんですか」
平山は、無視もせず答えもせず、黙々と掃除を続ける。
これこそ答えだというように。
明日から、まじめに仕事しようと反省しました(-_-)
平山さんに会いに行く
自分でもバカかと思うくらいひとりで号泣する事があるが平山の涙は何の涙だったんだろう。
寂しいでもない、悲しいでもない、うれしいや楽しいでもない、だとしたら何か。
寝て目が覚めたらそれはnew day。同じようでも同じ日は一日もないのだな。
淡々とした日常を見ているだけでこんなに心が揺さぶれるなんて。
木漏れ日
あまりしゃべらない寡黙な男、平山の日常を綴ったストーリー。
東京の公共トイレの清掃員として真面目に働く毎日。
妹とはべつの世界に住んでいる平山。
過去に何かがあって、それとは決別して生きているのには理由がありそう。
毎朝の出勤時に空を見上げて微笑む所と木漏れ日を見ている所がいいですね。
贅沢ではないが、小さな趣味をいくつか毎日のルーティンとして生きる男。
ラストはどっちの感情なのか?
役所さんの演技はスゴイですね!
渋谷のきれいなトイレに行ってみたくなりました。
【考察】彼が追い求めていたものとは???
まず、二種類の「ツリー」が対比になっている。
スカイツリーと公園の木々だ。
スカイツリーは人工的で何度見てもその姿は変わらないが、木々の揺らめき、木漏れ日は常に変化しており、同じ姿を写真におさめることはできない。
スカイツリーは「日常の変化しない部分=仕事」のメタファーであり、ひと息つくときに見上げる木漏れ日は「些細な日常の変化=安らぎ、楽しさ」のメタファーである。
つまり彼はルーティン化した日常の中に起こる些細な変化を記憶にとどめ(もしくは写真におさめ)、それらが木漏れ日のように再現性のないものであると噛みしめることに人生の喜びを感じている。
彼は朝、家を出た後必ず一度空を見上げて安らぎを得、その後車内からスカイツリーを黙視したあと音楽をかけている。心のスイッチを切り替えていると思われる。
ただ、一日の中に変わった出会いがあればにこやかにその余韻をしばらく感じている。同じ人ともよく出会うが、出会い方はいつも違う(座ってるベンチや場所が違うなど)。それも彼の中では再現性のない、日常を彩る変化なのだ。
そして毎晩白黒の夢を見る(彼にとって日常的に撮る白黒写真が思い出の媒体だから)。
【時計が出てこない】
彼は基本的に時計に頼らず生きている。朝も目覚まし時計を使わず目覚めており、玄関においてある腕時計も休日にしか使わない(コインランドリーの時間を図るためか?)
殆どの時間の流れは肌で感じたい、騒がしい消費社会から降りた彼の郷愁のような波動をそこにも感じられる
【父親とめっちゃ仲悪い】
過去に父親から虐待を受けていた? もしくは巨大な確執があると思わせる会話シーンがある。彼が独身で今の生活を送るに至った理由もそこにあると想像させる演出だが、深くは描写していない。「過去から解放されて今の生活をしている」のか「過去のせいで今こんな生活になっている」のかは謎だ。ただ彼は現状の生活に納得いっていない可能性が高い。理由は妹からまだその仕事しているのかと尋ねられた時の表情、認知症になった父に会ってあげてと言われても頑なに拒否していた様子から。
彼が望んでああいう生き方を選んだわけではないと仮定した場合、不自然なスナック通いも説明がつく。日常の些細な変化を噛み締めるのが生きがいだと考察していたが、もしかしたら彼は大小にかかわらず人との出会いを切望しており、さらにいえば深層心理では現状からの脱出を望んでいるのではないか。実際、家出少女にせよ後輩の自動車乗り込みにせよ他者の干渉をすぐ許す(まあ姪っ子の件は夜だったからしかないにせよ)。
【最後の表情の意味とは?】
ガンにかかった男と影踏みをした翌朝の彼の表情から読み取れるのは、拭えない未来への漠然とした不安、どこかで大きな転機を望んでいながら、一方でこの日々を崩したくないとも感じている自己矛盾の入り乱れか。
いい映画でした。
【不満点】
家に転がり込むのはせめて少年にして欲しい。物語が始まらないのがこの映画(彼の人生)の醍醐味なので、少女が寝泊まりし始めたところから急にファンタジーになって微妙に冷める。それとここだけ「彼が正しい判断をするかどうか」をヒヤヒヤしながら見守るシークエンスに変貌している。
あと個人的に彼は無口キャラという感じがしない。父親との確執でガードが固くなったのかは定かではないが、喋るとなんかめちゃくちゃ普段から喋ってる感じがするので、急に返事をしなくなると「あれ?」ってなる。無口というか意図的に黙ってる感じか。なので後輩が彼を「無口キャラ」と紹介する場面はあとあと微妙な違和感となって付いてまわる。
幸せの教科書。最高の映画
今まで観てきた映画の中で一番心に響いた。幸せの教科書だと思う。こんなに恵まれた現代社会において自分の心が満たされてない人は多いと思う。自分自身もこんなに簡単に人と繋がれる時代において、孤独を感じることがある。幸せを常に追い求めるが何か心が満たされない。それは求めすぎなんだろうと頭では分かっていても実際行動に移せていない自分がいる。
そんな時、この映画を観て、こうすればいいのか!と腑に落ちた。よくある幸せとは何かという問いに答えを出すとしたら、この映画の平山のように生きることなのかもしれない。
平山の生き方は一見するとしんどそうだ。トイレ掃除の仕事(公共のトイレを一日中掃除する。大変そう。)、おそらく風呂無し、洗濯機なし?の古い家。中年おじさんの一人暮らし。これだけの情報だとさぞしんどい生活に見えるが、平山は笑顔の絶えない日々を送っている。
そう考えると、自分が多くを求めすぎなことに気付かされる。多くの人がやりたがらないキツい仕事だってやりがいもあるし、真剣に取り組む姿はかっこいい。風呂がなくたって銭湯がある。洗濯機が無くたってコインランドリーがある。中年おじさん一人暮らしだって一歩外に出れば常連の店などの居場所がある。個人的には平山の生活には少し孤独を感じるがそれも工夫次第でどうにかなるのかもしれない。
自分は幸せという視点からレビューをしてみたが、他の視点からこの映画を考えてみるのも面白そうだ。例えば木漏れ日など。
いろんな角度から思考ができ、いつまでも余韻に浸れる最高の映画だった。まだ観てない人は絶対観た方がいいと強くお勧めできる最高の映画だった。
まだ24歳の自分はまだまだ多くのものを求めているし、挑戦し続ける人生にしたいと考えているが、失敗して何もかも失って、なんだ幸せはこんな身近にあるし、考え方次第で誰でも手にできるものだと強く勇気づけられた。
優れた作品だとは思うけれど……
完成度の高い、優れた作品だと思います。
以前にも何かのレビューで書きましたが、主人公に明確な目的(たとえば、「逃げる」「捕まえる」「勝つ」など)がないストーリーを退屈させずに最後まで見せるのは、なかなか難しい。
本作もとくに何が起こるということもないお話。事前にだいたいの内容は知っていたので、寝不足で出かけたし、眠たくなるかなぁと少し心配していたのですが、そんなことはまったくなくて、きゅう~っと映画の中に引き込まれていった。「何なんだろう? この力は」と思いながら。
禅の修行や、茶の湯の作法のように、平山の動きには無駄がない。そんな彼の淡々とした生活をとおして、とても大切なことが表現されている。この作品には、人間という存在とその営みの本質がしっかりと描かれているのではないか。だからこそ退屈せずに最後まで緊張感を持って鑑賞できたのだろう。――そう思いました。
でも、その一方で「これがPERFECT DAYSか?」と、他者とのやりとりが極端に少ない平山の日常にどこか物足りなさや違和感をおぼえたし、それから作為的というか、少しわざとらしさのようなものを感じた場面もありました。そういったところに意識をフォーカスすると、この作品をどうも手放しで賞賛できなくなってくるのです。
そして、本作の背景を知ると、さらに見え方が変わってきた。脚本にたずさわった方のことです。日本を代表する大手企業 D社に属するエリートが、(柳井氏と組んで)トイレ清掃員の日常をネタに「いい話」をでっちあげたんじゃないかという気がしてきた。そんなふうに見ると、この映画のリアリティーが急に失われていくような感じがしたのです。あるいは、さっき書いたような「わざとらしさ」を感じたのは、そういったこの映画の成り立ちを無意識のうちに嗅ぎ取っていたからかもしれません。いや、ダメだな。いくらD社に(それから柳井氏の会社にも)いいイメージを持っていないとはいえ、こんな穿った見方をしたらいけませんね。ごめんなさい。
さて、……上記のほかに印象的だったのは、脇役の使い方が贅沢だということ。とくに女性の使い方がうまいなと感心しました。
著名な外国人監督が撮ったという先入観があるからか、東京の街もどことなく違って見えた。
平山の穏やかな日常。それに反するように時折挿入されるモノクロの不穏な描写は迫りくる老いや死のイメージか。そして「光」と「影」の対比もこころに残る。
市井の人々の、また、日々の繰り返しの中の「静かなすごみ」を巧みに描き出しているのは、小津の精神を受け継いだ成果なのでしょう。
「感じること」に長けた平山さん、ステキです。
というわけで、『PERFECT DAYS』。最初に書いたように優れた作品だとは思いますが、いささか引っかかるところもある、好きか嫌いかと問われれば、ちょっと考えてしまう映画です。
それにしても、東京にはユニークなトイレがたくさんあるんですねぇ(「THE TOKYO TOILET」の取り組みじたいに文句をつけるつもりはさらさらありません)😊
全852件中、301~320件目を表示