PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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違和感と好きな世界
役者人が有名な俳優さんばかり。
妖精のような綺麗なホームレス。
高級な公衆トイレ。
ボロアパートに実は高級な照明。
ボロアパートに運転手付きで高級車がやってくる。
貧富の差に小さな小石を投げたようにも感じる。
古いアパートで清貧にかつ美意識高く暮らす主人公。
仕事終わりに行く銭湯と行きつけのお店。眠る前に本を読む生活。好きな音楽。蘖を盆栽にして育てる嬉しみ、彼のルーティンあれこれが好きです。
姪の髪の結び方も可愛い。説明は最少でそこが又良いが、彼が裕福な家で育ったのは伝わる。
だから綺麗すぎて。
万引き家族とは真逆の目線で貧富の差をみている。是枝監督が貧からみた世界だとしたら、こちらは富からみた世界。
確かに、裕福な方々によってプロデュースされている映画だ。
だからこそ、カンヌ映画祭のオープニングを飾ったのは何かしらの違和感を持たずにはいられない。
違和感を持たせる事がねらいのひとつかもしれないな。
満ち足りた日々、満ち足りた時。我々は一本の木。
作品を鑑賞中、私自身がとても満ち足りた気持ちになった。それは主人公の日々の生活を見ていてそう感じ取れたから。
主人公平山は一日に数億円の金を動かすトレーダーでもなければ、社員数千人を抱える企業の経営者でもない、ただの公衆トイレの清掃員である。
それはけして誰からも尊敬されないし、むしろ蔑まれるような仕事、いやそれどころか彼の存在すら人々は気にも留めないだろう。
彼はもはや人々の目には周りの風景と同化した存在であるのかもしれない。その証拠に子供を保護した彼に会釈さえしない母親。
彼は風景の一部なのだ。それは風景になじむように作られた多種多様なデザインの公衆トイレの様に。あるいは公園に当たり前のように植えられている木々のように。誰もが気にも留めない存在。
しかしそれは彼にとっても居心地の良いものだった。彼の世界とそれ以外の世界とはけして交わることはない。彼にとっても周りは風景でしかないのだ。無用な干渉をすることもない心地よい距離感を保って彼は自分だけの世界で生きている。
日が昇る前の早朝、木々の葉が風でゆれる音、竹ぼうきが路面をこする音で目が覚める。植木に霧吹きで水をやり、缶コーヒーを飲む。現場へ行くまでの車内で音楽を聞き、仕事は完ぺきにこなす。昼休みはお気に入りの場所で木々の枝や葉が風にゆれる瞬間をカメラに収める。銭湯が開くまでには仕事をきっちり終えて湯船につかる。行きつけの地下街の店で晩酌、そして寝床で読書をしつつ就寝。
同じことをただ繰り返すだけの毎日、判で押したような生活、それはまるで日が昇り日が沈むような自然の営みを思わせる。
他人から見れば単調でつまらないように見える彼の生活は充実していた。音楽や読書、そして自然の営み、木々の葉が風に揺れる時のささやき、虫たちの声、生きとし生けるものを毎日のように堪能する彼の日々。忙しさの中で我々がともすれば見過ごしてしまっているものを彼はひとつひとつ感じ取っていた。
周りには気にもかけられないホームレスの姿をしたダンスをする木の精霊も彼の目には見えていたし、誰も気に留めないメモ書きを見つけては相手も知れない丸罰ゲームに興じる。それはとても充実した日々。
彼はけして世捨て人というわけではない。彼にも年齢を重ねた分だけ過去があった。時にはその過去が突然絡みついてくる。
思わぬ姪との再会から過去との邂逅。再会した彼の妹は兄の今の生活を見てただ憐みの目で見つめる。彼女にとっては兄は負け組の哀れな人間にしか見えないのだろう。別の世界の人間からはそう見えても仕方がない。
思えば我々はそれぞれが一本の木なのだ。けしてそばにいる木とは交わることはない。そこにのみ立つ一本の木。それぞれが自分の世界で生きている。だからほかの木の世界はわからない。
だが、そばにいる木同士が交わる瞬間がある。互いの葉を重なり合わせ風に揺られて木漏れ日を作る。その木漏れ日はけして同じものはない、唯一無二のもの。まさに一期一会。
たまたま出会った平山と友山はお互いの影を重ね合わせる。そして影踏みをする。お互い同じ年齢を重ねてきた者同士の木漏れ日のような一瞬の交わり。
けして交わらない者同士が一瞬だけの木漏れ日を作る、これを繰り返すのが人生なのかもしれない。
きっと平山は自分のいた世界から逃げ出したのではなかった、自分の世界を見つけたのだ、唯一無二の世界を。彼をうらやましく思った。日々生活に追われて蟻のように生きてる自分と重ね合わせてなんと人間らしい生活なんだろう。ほどほどに稼ぎほどほどに食べていければいい、日々自然の息吹、町の息遣いを感じつつ、音楽や文学に浸る、これこそ人間らしい生き方と思えた。
ラストの役所広司さんの笑い泣きには痺れた。男優賞も納得。映画館で映画を見る楽しみを味合わせてくれた作品。
と同時に映画館で映画を見る弊害も。隣の席の高齢夫婦、とにかくマナーの悪さに集中力をそがれた。定期的にスマホを見る、私語の多さ、高齢なのにポップコーンガサゴソ食い、流石に途中で注意しようと思ったが楽しい映画デートが台無しになるだろうからと飲み込んだ。年齢を重ねてるぶん他人の迷惑を少しは気にかけてもらいたい。自分たちの世界しか見えてないのも困りものだ。
沁みるいい作品でした。
役所さん演じるトイレ清掃員、平山の1日を
淡々と描いているけど、光の捉え方、朝陽や木漏れ日、
建物の明かり、玄関灯など日常のありふれた風景が
とても美しく撮影されていて、素晴らしかったです。
あまり喋らない、平山の言葉、とても心に残りました。
特にお互いの影を合わせるシーンで、平山が発する言葉が、
すごく心に響きました。
ラストシーンも良く、何も抱えていない人はいないのではないかと
思わせるようで。
いい作品を観られると、とてもいい気持ちになれますね。
数は少ないけど。
ちなみに私が鑑賞した時は、ほぼ満席でした。
幸せとはどんな状態を言うのだろうか
THE TOKYO TOILETというプロジェクトは世界で活躍する16人のクリエイターが渋谷区の17ヶ所の公共トイレを設計するプロジェクトだ。
そのプロジェクトを主宰しているのはユニクロの柳井社長の次男である同社取締役の柳井康治氏である。
この映画もこのプロジェクの一環でトイレを映像に残す発想から始まっている。
柳井氏とクリエイティブディレクターの高崎卓馬氏がセミドキュメンタリーの構想を考え、監督としてヴィム・ヴェンダースに声をかけたことが今作に繋がった。
長い前置きだが、柳井氏と高崎氏がいたからこそ、この傑作が生まれたので紹介する。
両氏は今作のプロデューサーでもあり、高崎氏は脚本も執筆している。
主演の役所広司をキャスティングしたのも両氏だ。
この作品は柳井氏、高崎氏、ヴィム・ヴェンダースの3人による化学反応により傑作となった作品なのだ。
そしてパーフェクト・デイズは日本映画だ。
ヴィム・ヴェンダースが監督しているのにしっかりと日本映画になっているところに驚く。
監督は日本映画好きだし、小津安二郎をリスペクトしている。
ただ、日本人を使い日本語で作られている事を考えると奇跡と思える。
主人公平山(役所広司)はスカイツリーの見える下町の木造2階建てのアパートで一人で生活し、渋谷区のTHE TOKYO TOILETの清掃をする仕事をしている。
カセットテープで古い音楽を聴き、夜は古本屋で探した好きな本を読みながら眠る。
公園で見つける木の芽などを見つけては、家で鉢植えにし育ててもいる。
仕事終わりには銭湯に行き、酒場で飲み食いするのが日課だ。
彼はこの日常を規則正しく繰り返し生活を送っている。
彼のこれまでの人生、なぜこの仕事をしているのかの説明は一切無いが、規則正しい日常を乱す存在として、家族とうまくいかない姪のニコ(中野有沙)が平山のアパートに転がり込んでくるところからドラマが動き出す。
平山の生い立ちやどんな人生を歩んできたのか、回想やセリフではなく映画のシーンでそれを想像させる監督の手腕に唸る。
時折平山の生活とオーバーラップする木漏れ日の映像が象徴的。
平山がフィルムカメラで毎日撮る大木の木漏れ日のモノクロ写真など、同じ葉っぱの重なり具合や時間、光で全く違う表情を見せる木漏れ日を愛でる日本人の生活美。
毎日、同じ所作を繰り返しても生き物は育ち、微妙な変化を感じながら変わらず生活できる幸せを表現しているようにも見える。
田中泯、石川さゆり、三浦友和らが演じる平山を取り巻く人々の印象が、少ないシーンながら強烈に残る。
そして思う。平山は一人で静かに暮らしているがたくさんの周りの人との関係性は豊かだ。
三浦友和とのエピソードは強烈な余韻を残す。
そして、最後の平山の顔は人の人生をワンシーンで表現した映画史に残る名シーンだ。
ヴェンダース監督が78歳にして新たな代表作を作ったことに敬意を表す。
そして、カンヌ国際映画祭で役所広司に贈られた男優賞は納得。
ただ足るを知る
昔、学校の教科書に出ていたかも、、と思うのですが、我唯足知という言葉。
日々、色々なことに感謝をしながら、自分に与えられた役割を果たして生きていたら、毎日が心満たされる幸せな日々になる、、、あの言葉ってそんな意味だったかなあ、、どうだったかしらん、、この映画を見て、そんなことを考えました(本当の意味は違うかもしれないけれど笑)
映画は、主人公の平山の日常を描いていますが、
繰り返す毎日の中で、時には気分が上がるような瞬間があったり、逆に怒りの暴風が吹いたり、過去との対面で心が波立つ時もありますが(人間、生きていれば色々、ありますからね!)、悲しい話ではありません。
全体としては穏やかで満ち足りた、パーフェクトな日々が描かれています。
人の幸せって、お金、地位や名誉があるかどうかとは別のことなのよね、、と改めて気付かされた気がしました。
映画の中におさめられた景色や音声などは、「こういう音、大好きだなぁ」とか「こういう景色だったら、自分も同じように空を見上げるだろうなぁ」と感じるものばかりで、ドイツ人の監督が撮ったものであることに驚きました(自分の中では、ベルリン•天使の詩のイメージが強かったので。本作は聴覚、視覚が日本的というか、日本映画的というか、、うまく説明できないのですが)。
家に帰ってこの映画のHPを見て、映画製作の背景を知り、スタッフの方々のお名前を見て、日本人スタッフの方々がかなり中心となって製作されたことを知って納得した部分はありましたが、それでもやはり、監督が映像化した東京の音や景色は、日々日本人の自分が感じている音や景色そのものでしたので、こんなふうに国を越えて感性を共有できるのは素敵だな、と感じました。
また、映画とは別に、映画のHPも見させて頂きましたが、とても素敵でした!(自分はちょうど1年程前に仕事を辞めたので、その後ウェブサイト作りの勉強をしたりしていたのですが、こういうウェブサイトを作れたら素敵!とドキドキしました)。
役所広司さんは、平山を演じるにあたって「自分は平山ではないから」とおっしゃっていたみたいですが(奥様へのインタビューで、奥様が話されたお話)、内面的には、役所さんと平山は結構近いところも多いのかな、、と感じるくらい、平山役が自然でした (最近だとTHE DAYS や VIVANT 等のドラマを拝見しましたが、どんな役でも自然に見えてしまうのが役所さんのすごいところなのだろうとは思いますが笑)。
その中でも、以前観た「関ヶ原」の家康役はすごくギラギラした役だったので、ああいう役の時はどうやって役作りをされるのか、とても興味が湧きました。
エンドロールの後に“なるほど”がありました🌱
一瞬とて同じ光を生まない…でしたっけ?
“木漏れ日”かぁ!!
どんな小さな世界にも幸せはある。
日常のルーチンの中に一つ一つ楽しみがあって、仕事に責任と誇りを持っていれば、たいてい人は幸せかもしれない。独り者であっても、決して寂しくはない。
職場のポンコツな後輩が追いかけるそれほどポンコツではない彼女は、本能的に彼の本質を見抜いて一瞬でも己を晒し出す…
きっと沢山の素敵なコメントがあるだろうからこの位にしておくけど、役所広司やっぱりカッコいいなぁ〜
トイレ掃除する姿がなんでこんなに美しいの?
(お掃除する人はそもそも尊いけど!)
淡々とした一日の行動なのに何故か飽きずに見られちゃう。
ラストのシーンも沁みました。
一日の終わりなど誰も見ていない時にふと、哀しいとも嬉しいとも判断のつかない色々な想いが交じった感情に涙が溢れてしまう…こんな私でも何度も経験したものなぁ〜
少しは成長してるのかなぁ〜
そしてもっと本を読みたくなりました!
彼の習慣
淡々と何もなしには生きては行けない。誰かに出会い、何かが起きる。生きていると今までの積み重ねのような習慣も崩れるようなことが多く起きる。
この何もない日常における崩れのようなものに対して平山は嫌がることも落胆することもなく向き合っている。投げ出すこともできる数々の出来事に対して向き合っている。それを感じた時、彼の持つ多くの習慣は固く積み上がっているものではなく、彼自身に身についた柔らかい彼自身のように感じた。言い換えるとすれば、習慣はは作るのではなく日々の出来事が作り上げる。
ただひたすら生きる
この映画は東京の公衆トイレ清掃員の日常が描かれている。けしてドラマチックな展開ではない。よくある大都会の安アパートの一室で夜明けと共に起き、顔を洗い、植木鉢の木に水をやり、アパートの前の自販機で缶コーヒーを買う。いつもの道を走りながら昔、流行した曲をカセットテープで聴く。いつもと同じ公衆トイレを巡回清掃し、昼食時間にいつもの神社の境内の木漏れ日を撮影する。また巡回清掃をし仕事終了。3時頃に銭湯に行き、安飲屋で一杯引っ掛け、帰りにフイルムカメラの現像に行ったり、中古専門本屋で小説を買い、寝るまで部屋で読書。そして寝る。次の日、いつもの時間に起き、昨日と同じ事が繰り返される毎日。実に平凡だ。考えてみれば私たちの人生の98%は平凡な毎日のルーチィンで成り立っているのではないだろうか。今独居老人が社会問題になっている。しかし主人公は平凡な日常の中で植木鉢の細い木の葉がゆっくり成長して行くのようにそうした小さなの変化に喜びを感じ、ただ毎日をひたすら生きる生活に幸せを感じている。監督はこの映画を通してこの事が言いたかったのではあるまいか。
繋がらない世界の片隅で…
歌 本 樹木 家族…
繋がらない世界で、ヒトは何故、それぞれに惹かれるのかしら。
繋がらない世界で、揺らめく影。
影は重なることで、世界はどうなる?。
何も変わらない?。
変わらなくて、いいの?。
気づかないだけで、変わっているの?。
私達の生き様なんて、木漏れ日みたいなもの。一瞬で、移ろいゆく。形に遺そうとしても、ただ、逆光するだけ。
それでも、陽は昇る。
だとしたら…。
喜びも哀しみも、総て陽光と共に…。
皆様にとって、パーフェクトな日々が訪れますように…。
公衆トイレ清掃員の日々の物語。 渋谷界隈の公衆トイレの独特な外観、...
公衆トイレ清掃員の日々の物語。
渋谷界隈の公衆トイレの独特な外観、
住まいは下町(おそらく墨田)で気取らぬ日常。
京島の銭湯、浅草の地下街で一杯、など。
ヴェンダース監督、ドイツ人ですが、目の付け所に驚きです。
主演の役所さんの演技、言葉を極限まで削ぎ落とし、日々の抑揚を表情と所作で見せる、じわじわ凄い見ごたえでした。
日本語の "木漏れ日" に着目する西洋人さん、ここ数年で増えていますね。
木の葉の揺らぎに心を留め、新たに芽吹いた木の若葉に目を細める。そんな一人の労働者の日常生活を、暖かく優しい眼差しで切り取り描き出した作品です。
トイレ清掃員が主人公のお話ということは知っていたので
着想・話題性だけが一人歩きしている作品なのでは? と
観るのを躊躇っていた作品です。(バリバリの先入観 ・_・;)
# 主演が役所広司。 うーん。どうしよう。
# 監督は? ビム・ベンダース…って え 日本人じゃないの?
# ドイツ人? が撮った日本トイレ清掃物語って どんな内容?
# これは観なきゃダメだよね。 @∀@;
…との脳内会議の結果、俄然観る気になって鑑賞しました。
◇ストーリー(もしくは「ある日の平山さん」・∇・)
主人公の平山は、トイレ清掃員。年齢不詳(50代~60代?)
渋谷区内の公衆トイレを、車で巡回して清掃している。
もちろんボランティアではない。仕事だ。
ユニフォームの背中には「 TOKYO TOILET 」の文字。
東京都からの委託なのだろう。(…多分)
一箇所のトイレを一人で綺麗にするのかと思えば、そうとも
限らないようだ。ある場所ではスクーターでタカシが合流する。
タカシは若い。彼女が欲しくてたまらないお年頃だ。
まじめに清掃の仕事をしている と思っていたのだが…あ~あ
貸したお金は返してもらったのやら。 はて?
平山は公園(寺の境内か?)のベンチで昼食をとる。
木の葉の間から光が漏れてくるのを眺め、カメラで撮影したり
しながら、サンドイッチを食べるのだ。
時折、隣のベンチのOLと目が合ってしまう。…どうする?
いやいや。 どうもしない。目が合っただけのこと。
木の根元に若葉を見つけた。 新しい命の発見だ。よしよし。
そっと周囲の土ごと掘り返し、折り紙細工の皿に収める。
持ち帰って、水を毎日あげよう。部屋には仲間がいっぱいだ。
寂しいことなど無いからね。
※育った苗木(?)はどこかに植えるのだろうか? はて
さあ 一日の仕事も無事に終わった。家に帰ろう。
スカイツリーの麓近くのアパートが住処だ。
二階もある。メゾネットという奴だ。古いけど広い。
他の住人は見かけないが、誰かいるのだろうか。
さあ着替えたら、自転車に乗って銭湯だ。
一日の汚れを落とし、疲れを癒すにはお風呂が一番。
銭湯の広い湯船に浸かるのは最高に気持ちが良い。¥_¥
他に客は2~3人。少ないが、経営は大丈夫か?
まあ、それは余計なこと。
営業開始すぐ後の時間だから空いているのだろう。きっと。
風呂の後は夕食だ。浅草の地下鉄駅に連なる飲食店。
いつもの場所に座る。すると
店主が ” お疲れさま ” と声をかけてくる。そして
何も言わずとも出てくる、いつものお酒と食事。うん
疲れを癒したあとの食事と一杯の酒。最高だ。
#今日も良い一日だった。
#明日も元気に頑張れそうだ。
家に帰り、寝床で文庫本を読みながらそう考える。
やがて心地よい眠りへと落ちていく。
平山の一日が、今日も無事に終わる。
◇
とまあ、平山の日常の生活ぶりが淡々と描かれていきます。
後半、平山の姪がアパートにやってきたりとか(家出)
タカシが突然「仕事辞めます」電話を入れてきて、二人分
働くハメになったりとか。
穏やかな水面に、ゆらぎ程度のさざ波が立ちますが
平山の生活は、基本変わらずに続いていきます。
変わらない、そして変化の少ない暮らし。
その中にこそ、穏やかで平和な日常がある。
それが実は、幸せなこと。
そう思わせる作品です。
エンターテイメント作品ではないですが、共感できる部分を多く
感じることのできる作品でした。
見て良かった。
満足です。
#外国人監督ならではの撮影場面やカットかな? と思える
#箇所も多く、派手なシーンは無いのに飽きませんでした。
#スカイツリーの映り込むシーンが多かったのが印象的。
◇あれこれ
◆平山さんの趣味
アナログ製品の愛好家と思われます。
自宅でも車の中でも、音源はカセットテープ。
そしてカメラはフィルムカメラです。
デジカメと違い、撮影枚数が極端に少なく、写真屋に現像に出さ
ないと、どんな写真が撮れたのかもその場では分かりません。
すぐに見られないからこそ、写真を受け取りに行きプリントされた
写真を見るまでのドキドキ感がたまりません。・-・
※アナログ写真の方が、フィルム代・現像代・プリント代と
デジタル写真よりずっとお金がかかります。
これは、平山さんのこだわりの趣味なのでしょう。・_・
■平山さん、それはダメでは? … @_@
と、気になった場面が実はありまして…。
トイレの個室の扉を開けたら男の子が隠れていた というシーン。
近くに保護者も見当たらないので、置いていくワケにも と
その子を伴ってその場から移動しようとする平山さん。 …あっ
#ゴミ拾いをしていた手で、子供の手を握ったらダメでしょ
と思ったのでした。
平山さん、何故かトイレのゴミを拾う時にはノー手袋なのです。
※便器拭きはゴム手袋を着用していたので、これはセーフ ・∀・
■平山さん対戦す
トイレの壁の隙間に挟んであったメモ用紙。
最初ゴミかとと捨てようとしますが、中を見て手が止まります。
そして何かを書いて、メモを元の場所に戻すのです。
次にこのトイレに来た際にも、同じ場所にメモはありました。
取り出して中を除き、嬉しそうな平山さん。
また何かを書いてメモを元の場所に。
後の方で、メモの中が明らかになります。
紙に書いたマス目に○印をつけていく対人ゲーム(…多分)
一日に一手ずつしか進まない、超スロー対戦です。
こういう時間の使い方ができる平山さん
こういう遊びを楽しみにできる平山さん
とてもいいなぁ そう思います。しみじみ。
◇最後に
” 平山 ”という名前について、もしかして
「富士山」に対して「平山」なのかな?
などと考えてしまいました。…・_・
「日本一の山」に対して、普通の「平らな山」の主人公。
この主人公は、ごく普通の平凡な日本人なだよ と
カントクが匂わせたかったのかなぁ。 …などと。
深読みしすぎかもしれませんが…。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
こわいくらいに評価が高いな。。 自分はこんな生き方できないと思った...
こわいくらいに評価が高いな。。
自分はこんな生き方できないと思った。
どう見られてるか気にするし、人と繋がってたいし1人で死にたくないし、トイレ掃除もしたくない。
街のトイレはあんなにきれいじゃない。
生きる事も同じで、あんなにきれいじゃない。
強すぎる主人公
私はあの人生じゃあ満足できない
せっかく生きるんだから。
あったかいお家と可愛い犬!たまにお洒落して出掛けたい!
そのくらい望んでもいいでしょ?
生きる事は大変なんだから。
見終わると日常が輝いて見える
非常に静かな作品でした。
この作品を見終わった後、映画館から出てまっすぐ車が停めてある駐車場に戻ろうとはせず、天気も良かったので、15分ほど散歩した。不思議と映画を見る前よりも日常が輝いて見えた。楽しい散歩ができた。
最初、役所広司の演技が日常を描いているにもかかわらず、やや緊張感があったため、演技のプランがこれで合っているのかと不安になったが、見終わった後はこの演技で正解だと感じた。
主人公のあまり多くを語らないが、社会に流されることなく、自分の軸と好きなものを大切にして生きていく姿を見て励まされた気がした。
職場が普段注目されない公共のトイレということもあり、東京を別の切り口で見ることができ面白かった。そして都会の中の生活を描いているものの、自然を移すシーンも多く、見ていて癒された。
昨今のエンターテイメント作品に溢れている、この作品面白いでしょう?といった観客に対しての押し付け感がなく、どう解釈し、どう受け取ってもらっても大丈夫。という作品のスタンスが心地よく感じた。
何か起きそうで起きなかったり、回収されそうな伏線が回収されなかったり、意味ありそうなことがなかったり、また出てくると思ったら出てこなかったり、私たちが普段日常の中でよく起きる出来事が作品の中にちりばめられており、共感できた。
この映画の主人公のように、人の目を過度に気にしようとせずに、自分が好きだと思える環境を作り、生きていけたら幸せになれるかもしれないと感じた。
静かで起承転結がなく、伏線も全て回収されるわけではなかったが、見終わった後の充実感があり、心豊かになる作品でした。
役所さんの演技につきる!
ほとんどセリフ無しで自然に顔で演技する役所さんに脱帽。毎日のほとんど同じルーティンの中での充実感を見事に演じてる。難解なヴェンダーズ監督作品の中でも意外と分かりやすく面白くずっと見守っていたくなった。
今もルーリードのパーフェクトデイ聴きながら毎日の幸せを噛みしめてます。
ひと時
ヴェンダースの目に映る世界は、こんなにも美しく、こんなにも儚い。木漏れ日も鳥のさえずりも街の音も、平山も私もあなたも永遠ではいられない。しかし、ひとりひとりに訪れるこのひと時、この一瞬こそが私たちが生きている全てなんですよね。そしてこのひと時は、誰かに批評されるものでもなく、誰かに支配されるものでもなく、誰かに捧げるものでもなく、私だけのものなのです。私だけに訪れるささやかな愛しい時間をとても詩的に表現していました。
ブラックミュージック〜ロック〜演歌、、、愛しい音楽、愛しい古本屋、愛しいカメラ、愛しい銭湯、愛しい飲み屋さん。私が生まれ育った昭和の板橋の風景を思いだしてしまいました。キャラクターを体現した役者さんも、ベンチや電車の隣同士になったことがありそうと思ったほど、東京の街の一部となっていました。
「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」に心を奪われた20代。「パリ・テキサス」のトラヴィスをやっと理解できた40代。
50代を前にして本作と巡り会うことができて本当に良かったです。映画との出会いは一瞬だと思うし、本作との出会いも2024年の「今」なんだと思いました。
ここ最近のヴェンダース作品はイマイチと感じていましたが、あの少年の様に瑞々しいヴェンダースに完全復活しましたよね。そしてヴェンダースの名作は間違いなく「場所」を主役にしています。東京の平山もベルリンの天使もキューバの音楽家も「その場所」だからこそ輝けるのですね。
本作を鑑賞してヴェンダースが撮る作品をこれからももっともっと観たいと思いました。そんな作品です。
特になにも起こらない
正直な話、私にはあまり刺さらなかった‥😢
もともと邦画好きで、役所さんの大ファンな私にとっては受賞関係なしに見ると決めていただけにちょっと残念。
日常を切り取ったような映画は好きなんですけどね。。
受賞作品って難しいですね😓
退屈だけど、美しい。
無声映画かな?と思うほど台詞が少なく役所広司演じる平山はとても無口で、淡々と日常が繰り返されていきます。
観る人をかなり選ぶ作品。
退屈に感じてしまっても無理もありません。
でも、その退屈で変わらない日常の中に、平山が時折見せる感情にとてつもなく心が揺さぶられます。言葉、表情、涙。
この作品を私には言語化するのは難しすぎるけど、鑑賞し終わって3時間、何故かずっと目が潤んでしまう。余韻が凄い。
最後の平山の微笑み、涙、グッときますよ。一緒に泣いた。
役所広司さんの演技力、いやはや流石ですね。。。
東京のTOILETは凄い
色々な東京の公衆トイレを見ることができて面白かった。この映画を見たらトイレ清掃員の方々への感謝の気持ちがさらにアップした。
それにしてもキャスティングが絶妙で、どの俳優もちょこっとの登場だが納得の配役だった。
主役役所広司の可愛らしい表情が良かった。
石川さゆりは話し声も綺麗で良かった。
しかし、日々の繰り返しが長々と続き途中で眠くなった。以前観た役所広司の映画にも似ていたが、今ひとつ何が言いたいかわからなかった。
色々良かったが最終的には退屈な日常という印象が残り残念だ。
全878件中、281~300件目を表示