PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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こんな映画はじめてかも
ここ最近、何が起こるのかを楽しみにしながら映画を観ていたことにこの映画を観て気がつかされた。大体の映画は主人公が平凡な日常を過ごしているところから始まり、何かが起こったり誰かに出会ったりすることでその人生が大きく変わる。この映画ではそのようなことは起きない。それなのに、主人公の平山の人生は変わっていく。大陸移動のようなゆっくりとしたスピードかもしれないが、それでも変わらないものはない。考えてみれば人はどんどん歳をとるし、変わらない日常なんてものはないのに。あー毎日同じだとか、変化を求めてしまうとか、それもきっと悪いことではないけど、今周りにあるもの、周りにいる人のことにもう少しちゃんと向き合いたいなと思わされた。
家を見渡したらカセットテープを聞けるオーディオがあったので、眠っているカセットテープを引っ張り出してみようかな。
一日も同じ日はない
ようやく観に行くことができた。
毎日の規則正しい生活で同じような日々を過ごしているようにみえて
実はゆるやかだけれど変化がある。
大都会の中で一つ路地を入ったら時代がとまったような平山の住む家
大多数の人の流れとは逆に通勤する車
世間で一般的にいわれる都会のきらびやかな生活とは異なるが
決してそれは不幸せではなく、その中でも平山なりに幸せな生活を送っている。
通勤時に音楽がかかるわずかな時間が旅をしているような非日常
仕事終わりの銭湯や休みの日の古本屋
幸せとは何かを考えさせられる映画でした。
当たり前のように過ごせている毎日に感謝しないといけないと
感じました。
For your hard work!!!
バンクーバーの映画館は毎週火曜が安く、しかも今月だけ毎週火曜は全作品8ドルで観られる、スーパー感謝デー。
バンクーバーにはたくさん映画館があるのですが、ウチからちょっと離れた不便なところ一軒でしかこの作品が公開されておらず、私はシネプレックスの年会員なのでいつでも8ドルだし、毎月1本無料だし…ということで、とりあえず空いてそうな月曜の開店直後に行きました。
えー、最前列と端っこ以外、全部売れてる…。しかも、日本人はほとんどおらず、白人系かインド系ばかり…。トイレではかなり年配のマダムから「私は『生きる』が好きなの。『7人の侍』も観たわ〜」と声をかけられましたw
静かな冒頭から六畳一間のアパート?カセット?銭湯?え、昭和の話?と思ったら、スカイツリーはあるし、最新のオシャレトイレはあるし…、一瞬こんがらがりました。
ただ、カナダにもうすぐ2年近く住んでみて、改めて日本を誇らしく思えることがいっぱいありました。
公衆トイレまでウォシュレットがついてること、
外に自販機があること、
自転車を外に停めておけること、
裸で銭湯に入れること…
道っぱたをチャリでダラダラ蛇行運転できるのは、日本人が丁寧に舗装した平らな車道のお陰です。バンクーバーはアップダウンが激しいし、道は凸凹で、来たばかりの時はよくつまづいてましたw
というか、自転車なんてチェーンで繋いだってあっという間に盗まれるし、ヘルメットも必要なのでずっと乗ってません。チャリでどこまでも行けた日本が、とても恋しくなりました。特に治安が悪いってわけでもないんですけどね。日本が安全過ぎるんですw
果たしてこの作品が、カナダ人の琴線に触れたかどうかはわかりません。私もみなさんのレビューで引かれた補助線がいくつもあったし、日本文化にどれくらい親しみがあるかわからないし。ただ、エンドロールでの観客席からのパラパラという拍手の量に、言葉にならない平山の人生の深みが理解できたのかもと感じることができて嬉しかったです。
三浦友和も嘘でしょ?っていうくらいカッコいい。石川さゆりのママ役もキャスティングした人に感謝したし、「朝日の当たる家」の日本語バージョン、もっと聴きたかったなあ。石川さゆりの艶やかな歌声、カナダ人もウットリ聴いてました。
それにしても、役所広司は冴えないおじさん役なのに、ありえないほど色っぽいですね。失楽園の時から、大して年取ってない!www
湯船に浸かって顔半分隠してるのに、ほっぺにチューされてニヤケてるのを、目尻のシワで表現したのも素晴らしかったな。もちろん最後の笑い泣きシーンも。
That's how life ends, I suppose. 日本語のセリフは忘れちゃったけど、影踏み前のシーンで、とても印象的な英訳でした。
英訳と言えば、一杯飲み屋で最初に「お疲れさん」って言葉と一緒に焼酎が出てくる時の字幕が
For your hard work!
でした。「お疲れ様」って英訳できないけど言われたら気持ちが温かくなる日本語も恋しいなあとしみじみ思いました。この日本語、世界共通語にならないかな。「カローシ」なんかより、よっぽど使いどころあるのに。
帰りの電車で平山みたいに空を見上げたら、日本の空と繋がってるんだなぁと思って、またウルっとしてしまいました。いやー、誇らしい。どうりで日本人好かれるわけだ。
素朴な映画
ドイツ制作チームの描写の美しさ / 若干わかりづらかった日本的表現
役所さんじゃなくても
映画を得手不得手に分けるなら、私には不得手な映画でした。
★2としたいところを、役所さんへの敬意を加え2.5としました。
が、役所さん起用が前提だったそうですが、これ役所さんじゃなくもう少し
若い50前後の働き盛りの年齢層の俳優さんがテーマ的によかったのでは?
どう表現すればいいのか悩むところですが、すべてがちぐはぐなんです。
社会的底辺である清掃員にも家族、過去、人生がある、と言いたいのか?
重苦しい人生の過程が彼を底辺ともとれる清掃員にしたのか?
どんぞこ感を表現するためのスカイツリー近くの文化住宅。
にしては毎週フィルムを現像し購入する余裕あり。
寡黙に仕事をこなしているのにシフト増えるとすぐ怒る。
疲れただけでルーティーン崩す。
実はインテリでしたのための文庫本と洋楽。
私にとっての最大の違和感は、妹を抱きしめたこと。直後に泣いたこと。
家族の亀裂、甘くみすぎです。
ドキュメンタリーのような作り方をしている割には私にとってはリアリティーゼロな
映画でした。
飽きない124分間 平山の笑顔に癒される 92点
ずっと観ようか迷い、時間があったので観ることにしましたが観て良かった!
予想以上の期待を超えて集中して物語に入り込めた。何ひとつ無駄のないシーン。毎日が繰り返していく訳ではなく、新しい毎日が続いていく。
主人公が中々前半喋らず、「え?まだ喋らないんだ。いつ喋るんだろう」とそこが気になっちゃいましたね。主人公は別に人が嫌いかと言う訳ではなく単純に口数が少ないだけである。また感情がないかと思いきや、子供や嬉しいことがあればニッコリと微笑む。観てて癒される。ここまで安心して観られる映画は久々です。
主人公の生活も悪くないなぁと思いましたね!スマホなんてなくてもここまで楽しく生きられるし、自分が幸せならそれでええやん!って思いましたね。仕事も別に好きな仕事よりかはこれならやり続けられることの方が重要なんだなと感じました。
それにしてもトイレ掃除の手際が良すぎる…器用さがまたいいですね。観てて気持ちいい。
退屈だったなー おしゃれ公衆トイレツアー?
この人、全部が嘘っぽい。
アナログをこよなく愛し
貧しいアパート風の家に住み(実際はそれなりの間取りだし、スカイツリーがあの距離で見えるとこで家の前に駐車場借りてるし)出退勤は直行直帰なのか?
朝も帰りも途中も都内移動でバンバン首都高使うし(それ経費ですか?)
植物を愛し(部屋にも鉢植えの緑があり)一部屋それ用のお部屋?
半分ボツになるような木漏れ日の写真を毎日撮って、
現像して溜め込んで、それなりの安酒屋っぽいとこで酒を飲んで、スナックのままに思いを寄せて、
しゃべらず寡黙な男気取って、古本屋で小説買って読んでる。
仕事は真面目にやってる体だけど、そのゴム手袋でさっきどこさわってましたか?と言いたくなる、ゴム手袋のままいろんなとこさわるし。
でも、そんな毎日がとても幸せです!って言いたそうな生きざまで最後のあの顔、
どうしたいのか全く分からなかった。
良い俳優も無駄遣いだらけ。何がしたいのか何も分からなかった。
良い景色、エモい画とおしゃれ公衆トイレ見せたいだけじゃない?
なんで評価されてるんだろう?
圧倒される素晴らしい映画
孤独と自由を生きる平山。トイレの清掃を仕事にし、単調な毎日を無理なく生き、小さな幸せを愛でる。この平山のような『変化のない日常』を生きることが最も難しいのが人間ではないか。
なぜなら人間は退屈や不安に耐えられず、変化を求めてしまう生き物だから。例えば、動物は将来への不安や過去の苦しみを感じなければ贅沢もしない。人間は動物のように今だけを生きることはなかなかできない。だからこそ苦しむ。
平山は姪に言う。世界はいろいろあって君のお母さんと自分は違う世界だと。ある意味、動物的な世界を生きている平山と人間的な世界にいる妹。姪が私はどっちの世界に生きているの?と聞く。
「今度は今度、今は今」という平山と姪の印象的なシーンは平山の人生観が伝わる。やっと自由を掴み取り、自分の人生を生きている。
人々との関わり、ちょっとの贅沢、特にラストシーンの感情が込み上げてくる表情。朝日の美しさに心が震え只々感動しているようにも見えたし、苦しみや悲しみが溢れ出しているようにも見えた。平山の人間らしさ全てが滲み出ていて、役所広司の凄さに圧倒された。素晴らしい映画だった。
心に刺さる
美しく、優しい世界。トイレの清掃員と言う職業にきちんと向き合い、一方で他者との交流を求めない。毎日、同じルーティーンで淡々と、自由に、かつ責任感を持って過ごしている。過去に色々な事があったのだろうな、と感じさせる、でもそれも詳らかには語られず、程よい感じに匂わせて、自ら他との交流をできるだけ断って生きる姿を描く。
そんな孤独かと思われるような日々の中でも、泣いてる子どもだったり、後輩だったり後輩の交際相手?だったり、姪だったり、偶然関わったり、向こうから飛び込んできた人や事件に対して本当に温かく、優しく、寄り添う姿。子どもを助けようとした主人公に露骨に向けられる母親の警戒の目、家族として心配を滲ませつつ、境遇に憐れみや蔑みの態度を示す妹、迷惑をかけっぱなしの上に平気で裏切る後輩とか、散々な目にも合っているのに、誰の事も攻撃せず、批判せず、時として心を揺らしつつも、淡々と日々を過ごしていく。毎朝、家を出るなり、空を仰いで見せる笑顔。本当に完璧な日々だなと心をつかまれます。現実には色々なしがらみや欲やプライドがあってあんな風に生きるのは難しいけれど、何一つ華美なものはないのに、心豊かで憧れる。
ジワジワ後味引きずる映画
トイレを掃除して風呂入って食事して寝るだけの映画が心に響くとは。いつまでも尾を引いている感じ。こんな感覚初めてです。自分は温かい家庭があって、食べログ見ては美味い物を探している部類の人間だけど、結局は毎日会社に行って家に帰って飯食べて、風呂に入って本読んで寝る。映画に出てくる妹家庭のような違う世界の人間かもしれないが人生は一緒。こんな生活していて良いのか?でも続ける以外の選択は無い。監督の奥様も傑作と言っていましたが、正に傑作。
木漏れ日から射し込む光は幸せへと導く人生の道標なのか
主人公、とにかく寡黙です。
朝、ご近所さんの掃き掃除の音で目を覚まし、植木鉢に水をやり、出勤の車内で缶コーヒーを飲みながらオールディーズのカセットを楽しみ、淡々と且つ丁寧にトイレ清掃員としての仕事をこなし、お昼にサンドウィッチと牛乳を飲み、開店直後の銭湯で口まで湯に浸かり、行きつけの居酒屋で野球を眺めながら焼酎を飲み、眠くなるまで小説を読む。
単調な毎日ですが、ささやかな出来事に幸せを感じるのか、この主人公、時々笑います。
途中、説明し過ぎない程度にほんのちょっとだけ、トイレの清掃員になった理由が分かります。
そしてラストシーン、主人公のいつもの笑顔の意味が少し分かったような気がしました。
気付いたら、見てる自分も泣き笑いしていました。
定期的に観たくなる♪
変らないことなんてない。
吾唯足知。
本編を鑑賞後、公式HPの監督・役所広司さん・田中泯さんのインタビュー映像を全て見た。コンセプトはあっても、それをどう演じるか、どう転がるかを主導するのは、役者である役所さん次第。まるでドキュメンタリーのように見えるのは、実際にこの作品が、監督も予測不能のまま撮影されているからなのか。
平山、押上の風呂無しアパートに住むトイレ清掃員。朝目覚め、髭や眉を整え、歯を磨き、木々に水をやり、作業着に着替え、片手にいつものコーヒーを携え車で職場へ。カセットデッキで音楽を聴きながら。休憩はいつもの神社のベンチ、木々の合間から溢れる木漏れ日に目を細め。帰宅後、銭湯で汗を流し、いつもの店でいつものヤツを味わい、読書し眠る。
休日は休日でまた日課が決まっている。
凡庸といえば凡庸で、決められたルーティンをただ繰り返している、退屈な日々のようにも思える。でも、本当に退屈なのか?というとそうではない。平山本人は、その日々を自分で選択して生きており、その何もないようでいて、何かある日々に満足して生きている。
何の役に立っているのか分からない仕事をして、給与をもらってるけど満足できない日々に埋没する。ブルシット・ジョブという言葉が時折耳に入ってくるが、それと対極にあるのが、平山の選んだ道だ。多くを語らず、他者と比べず、ただ自分のなすべき事を誠意をもってこなし、満たされていく。「吾唯足知」、年齢を重ねるにつれ、この精神が人を一段高みへと連れていってくれるのでは、と感じる。京都・龍安寺の蹲踞に刻まれており、2023.11に訪れたとき、改めてそうだよな、と感じたのを思い出す。
ルーティンをこなす日々にも変化はあって。一日として同じ日はない。木漏れ日がその姿を刻一刻と変えるように。店にいる客も違えば、トイレを使う人々も異なる。初めて会う人と、あるいは、長く会っていなかった人と、時を共にすることもある。そこから新しい何かが芽生え、また新しい日々が始まる。
かけがえのない今を、一日一日大切に、丁寧に生きる。その積み重ねがその人の人生を紡ぐ。
平山の境地まではなかなか辿り着けないかもしれないが、feeling good な人生を歩みたい。
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