「不動のルーチンと変わりゆく時の流れの対比」PERFECT DAYS 而今さんの映画レビュー(感想・評価)
不動のルーチンと変わりゆく時の流れの対比
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平山さんは毎日変わらず自分の規則に沿って生きているし、積み重なる文庫本や写真缶からも分かるように、同じものだけをずっと大切にしている。スマホは持たないし、カセットテープで音楽を聴く。いつから変化をやめたのか、そこまでは推し測れないが、平山さんはずっと変わらない。
それなのに同僚は突然仕事を辞め、会いに来た姪(実際には、娘?)とは、また離れ離れになる。
「こんどはこんど、今は今」。でもそれは、自分の為の言葉なのでは?
今度っていつ?そう聞かれていたけれど、平山さんが一番知りたいことだったりするんだろうな。
そして好意を寄せていたスナックのママには、元旦那が会いに来る。元旦那は癌で先が短いという。変わらない完璧な日々なんてなくて、完璧は毎日形を変えながらそこに存在している。自分は変わらずに待っていても、一切は通り過ぎてしまう。同じように見える毎日も、少しずつ変化していて、同じ日はもう戻ってこない。
ルーチンに固執する平山さんだからこそ、痛いほどそれが身に沁みて、最後に泣いていたんじゃないかな。
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