「ヴィム・ヴェンダース監督作品だったとは!」PERFECT DAYS Sign3121さんの映画レビュー(感想・評価)
ヴィム・ヴェンダース監督作品だったとは!
映画を見る時は、ほぼ何も情報を入れないようにして
(入っちまっても脳みそから追い出して忘れた状態で見るようにして)
そうやって見るものですから、見たあとクレジットで気づき
若い頃「パリ・テキサス」を見たことがあり、意味がわからず、何だこれは?と
名作と言われているのにわからなかった自分に自己嫌悪が襲ってきたりして
それで、ヴィム・ヴェンダース作品は自分にとって「鬼門」だったのだけど
知らず知らず見て、結果、自分も年を取ったせいか
猛烈に心に響いた。音楽も風景も、俳優さんが他の演技も何もかも素晴らしかった。
(特にラストシーンの選曲と演技には目頭が熱くなりました)
自分にも毎日の暮らしのルーティンがあり
二人で暮らしていた母が入院してから半年。一人暮らしをしていて
いよいよ先日母が亡くなってしまったので、一人暮らしが本格的になった今
この作品の主人公の平山ほどではないけれど、どこかしらアナログなところも重なり
毎日が同じようで同じではない、みんな一人ひとりに世界があり
それはとても愛しく、また、尊い毎日なのだと、改めて感じて心に沁みた。
決して派手さはない、というよりむしろ地味な映画ということになるのだろうけど
これこそが「PERFECT DAYS」だと思った。
ボクにはボクの、みんなにはみんなの「PERFECT DAYS」が繰り返される。
毎日を丁寧に生き暮らす。本当に素晴らしい作品でした。
今なら「パリ・テキサス」もわかるかもしれない。そんな風に感じた。