「哲学的」PERFECT DAYS スクリュさんの映画レビュー(感想・評価)
哲学的
学生が作ったドキュメンタリーみたいだが、そうではない。ドイツの巨匠が撮った意味があるとおもう。主人公が毎日、同じように暮らそうとも周りが変化するのだから、彼の毎日も変化はある。住む世界が違うと兄を嫌う妹。しかし、主人公は、「ここには沢山の世界がある」という。人はその世界を変わろうと普通は欲をだす。すると生活が乱れる、足るを知れば心も乱れない。これは宗教感、哲学である。パーフェクトな世界なのだ。
最後の音楽の歌詞どおり、夜明けが来れば新しい人生、そして主人公の楽しそうな顔。彼の人生に迷いはなく、人生を謳歌している。幸せな気分になれる映画だ。彼の周りには自分の欲をどう扱っていいかわからない迷い人が集まり、知らぬ間に憧れのような好意まで抱く。掃除をするということは尊く、毎日がリセットもされ、僅かな不足は足し、大きな不足はまた別の世界になる。日本が仏教、神道、儒教を混合して信じてきた国ならではであるが、最近は無宗教を口にする人が多い。日本人ならではの暮らしぶりはここの宗教感から来ているのだ。でないと他国にもこのような国が現れるはず。
主人公は、自分の部屋も、あんなに綺麗にしていて、きっと彼は毎日が晴れやかだろう。そして彼だけでなくその前にも朝早く掃除をしている人がいて、はき清められる音で起きる。若者が嫌ったトイレそうじの仕事を次の女性が頼もしくシフトを引き受ける。貰った仕事に精一杯つくす。それが日本人感なのだろう。