「毎日起こるイレギュラーなことの方が面白い。実際それがないとこの映画も面白くないし、イレギュラーがあってこそのパーフェクトデイズなのかもしれない。」PERFECT DAYS Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
毎日起こるイレギュラーなことの方が面白い。実際それがないとこの映画も面白くないし、イレギュラーがあってこそのパーフェクトデイズなのかもしれない。
よくわからなかったけど、見ていて思ったのは小津安二郎監督風の映画だということ。
何も事件らしいことは起こらなくて、何気ない日常を切り取っている。
初めは渋谷にできた先進的な公衆トイレを宣伝する目的だったらしく、見たこともないようなきれいなトイレと東京の街並みがたくさん出てくる。
映像的には日本人よりも外国人に受けそうな感じだった。
内容的には貧乏な普通のおじさんの日常生活みたいなことで、これも外国人受けを狙っている感じだった。
金持ちの生活はどこの国でもだいたい同じような感じになるけど、貧乏な人はその国によってかなり違うと思う。
結局外国の人が見たいのはその国の庶民の生活で、できれば体験してみたいのだろうけど、なかなかできないから映画で見せてあげているということかもしれない。
日本人の普通のおじさんである自分が見ると、自分の生活を映画にされているような気がした。
金持ちで上流階級の人、高度で責任ある仕事をしている人の生活はよくわからないけど、普通のおじさんの生活はこんな感じだと思う。
これは映画の題名のような「パーフェクトデイズ」なのかと聞かれれば、普通のおじさんとしてはパーフェクトデイズだと思う。
でも金持ちで上流階級の人、高度で責任ある仕事をしている別世界の人の生活を考えるとパーフェクトデイズではないのかもしれない。
上を見ればきりがないし、他の世界の人のことはわからない。
上の人でもいいことばかりではなく、それなりに苦しいことや悲しいこともあるんだろうから、結局自分の考え方次第で、自分がパーフェクトデイズだと思えばパーフェクトなんだろうと思う。
何もないような生活でも、結構それなりにいろいろあって、完全に同じ日などそれこそタイムリープしない限りない。
毎日毎日同じことの繰り返しのように見えても、細部はかなり違ってくる。
よくわからないけど人生って、何かしらの目標に向かって毎日繰り返していくことの方じゃなくて、その間に起こっている何かしらの煩わしい雑事というか、問題の方なのではないのかと思う時がある。
この映画の主人公も毎日のルーティンワークというより、毎日起こるイレギュラーなことで喜んだり悲しんだり時には怒ったりする。
この映画の題名を文字通りとらえると、毎日のルーティンワークを完璧にこなして何のイレギュラーもないことみたいな気がするけど、それではつまらないと思う。
毎日起こるイレギュラーなことの方が面白い。
実際それがないとこの映画も面白くないし、イレギュラーがあってこそのパーフェクトデイズなのかもしれない。