「木漏れ日、光と影」PERFECT DAYS 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
木漏れ日、光と影
「TOHOシネマズすすきの」が11月にオープンした。
本道初上陸
思い立って行ってきた。
(使い勝手が良さそうな映画館)
金曜日・11時スタート
165席のほとんどがうまる盛況だった。
役所広司の滋味溢れる表情。
前半はほぼ無言。
ずうっと見ているだけで充足する。
ヴィム・ヴェンダース監督はたった16日間で撮影を終えたと言う。
(とても信じられない・・・つまり完璧に準備されていて、
(日本人の気質で、とてつもなく緻密で完璧な準備がなされたろう、
(平山の住居、粗末な二階建て、二階が二間、一階はほぼ台所しか
(見えない、台所には洗面を兼ねた流し台と瞬間湯沸かし器、コンロ、
(そして出しっぱなしの寝具・・・日本の和室で押し入れがない?
(なんと、
(隣室の押し入れは透明なコンテナで完璧な収納場所になっていた)
しかし16日と聞いて納得した。
平山一週間のルーティーンを確かに2回
繰り返している、
THE TOKYO TOILET CLEANING(?)のツナギの服は、
一週間の休日にコインランドリーで洗う。
平山が明け方に起きたて仕事に出かけたのは14回か、15回、
・・・だったかも知れない、
この映画はパーフェクトな以上にミラクル、
完成は奇跡だ、
ヴィムの撮影期間にアクシデントがひとつも起こらなかった、
地震も、台風も、交通事故も、スタッフの病気も、
ヴィムの健康も・・・
そして何より驚くのは、
アートな東京のトイレットットたちだ、
(特に建築家の坂茂=ばん・しげる設計の、外から見ると透明で、
(ドアを閉めるとオレンジ色のガラス面に変わる、
(慎ましく可愛いらしいトイレ、
(中に入ると楽しい、そうだが、そこは体験しないと分からない)
役所広司はこの平山という名の男を何ヶ月で作り上げたのだろうか?
役所は全身をカメラの前に差し出した。
心の中の全てを晒け出した。
結果、平山の心の揺れ、
朝イチに吸う空気、
見上げる東の空、
他者と触れ合い、
新鮮なフルーツのように繊細で傷みやすく傷つきやすい
心のひだひだ、
心の美しさを全て差し出した。
その心と身体の断面は顕微鏡で見た植物の葉痕のように
美しい、
ただただ美しかった。
トイレ掃除の無駄のない動き。
そのきめ細かい段取りと丁寧な仕事ぶり。
掃除用具の多彩さにも驚く、
隅から隅まで舐めるように磨き上げる
綺麗になったトイレットは平山の心に充足を与えているようだ。
起床して寝具をたたむ。
洗面をして髭の手入れ、
玄関に並べてある車の鍵、ゴツい時計、剥き出しの小銭を
順番にポケットに入れ、家の前の自販機で缶コーヒーを買う。
そしてカーステレオにカセットを操作して入れる。
「朝日のあたる家」byアニマルズ。
美しい朝のスタートにぴったりの曲だ。
ヴィムさんの東京は数少ない私が東京に持つイメージにとても似ている。
羽田行きのモノレールから見える景色だ。
首都高速に乗り古びた立体交差が見える、
決して瀟洒ではない庶民の住む家々。
二階建てで築50年はざらだ。
そんな東京に合っているのかいないのか?
お洒落なトイレットたち。
寄せ木細工のような木造だったり、子供たちで賑わう公園のトイレだったり、
平山はずうっと最後まで無口、
その方が、良かったのだけど、
でも周りの人が平山を黙らせてはおかない。
賑やかな後輩の柄本時生、
GFのアヤ(アオイヤマダ)は曲に一目惚れして平山のカセットテープを
掠めていく。
好き過ぎて返せなくなった曲はパティ・スミスの
「Redondo Beach」
妖精のような妹の娘・ニコ(中野有紗)が母親(麻生祐未)と喧嘩して
家出してくる。
平山は優しい・・・寝室を譲り台所で毛布にくるまる。
早起きして足をしばせ用意していると、ニコは仕事に付いくと言う。
いつもの神社の下にある大木の側のベンチで
サンドイッチの昼食。
ニコが言う、
「この木はおじさんの友だちなの?」
僧侶(平山)と妖精(ニコ)はふたりで
おじさんの木の
木漏れ日を見つめる。
妹がニコを迎えてきて言う、
介護施設に入ってる父親のこと、
「昔とは、違うから・・・
「会ってやって・・・」
頑なに悲しげに拒絶する、
恨み骨髄・・・なのか、
合わす顔が無い・・・のか、
どちらなのか分からなかったが、わだかまりは深そう、
平山の涙が語っている、
作品と同タイトルのルー・リードの「Perfect Day」
スナックの歌の上手いママ(石川さゆり)は言う
「毎日が変わらなければいい、ずうっと・・・」
今日と明日が違うから人生はステキ・・・
「Perfect Days」
新しい夜明け、
新しい一日、
新しい人生、
ラストで歌われるのはニーナ・シモンの、
「Feeling Good」
琥珀糖さん こんばんは。
PERFECT DAYSようやく観ました。
琥珀糖さんとはちょっと違う感想を抱きましたが、大変興味深い作品でした。やっぱり役所広司はすごいですね!
何かしらレビュー書きたいなとは思いますが、ちょっと確認したい事もあり時間がかかりそうです…。忘れた頃にシレッと投稿するかもしれません😇
話は変わりますが、9/21にテレビ朝日系列で山田太一原作の「終わりに見た街」というドラマが放送されるのはご存じですか?
過去2回ドラマ化された作品で、現代の家族が終戦間近の昭和19年へタイムスリップするという、この時期の山田太一が数作書いたSF・ファンタジー風作品の一つです。
細川敏行主演の82年版は見た事あるのですが、中井貴一主演の05年版は見た事ないのです。
今回は大泉洋が主演で脚本が宮藤官九郎だそうです。
宮藤官九郎が山田太一ファンなのは聞いた事があるのですが、何分普段の作風が大分違うのでどうなるんだろうな?と。
とりあえず怖いもの見たさで見てみるつもりです😣
それではまた。
琥珀糖さん
こんにちは😃
わざわざコメントをいただきありがとうございます😊
私のPERFECT DAYSのレビューはしたぁの方にちょこんとあります。宜しければご覧ください。
琥珀糖さん
はじめまして!こちらの作品と「唄う6人の女」の感想に共感頂き、ありがとうございます♪
琥珀糖さんがニコのセリフやスナックのママのセリフについて触れていらっしゃって、もう一度それらのセリフを聴きに映画を見に行きたくなりました!あと、平山がかけていた曲についても、歌詞を調べて味わい直したく感じました。選曲も踏まえた素晴らしいレビューをありがとうございます♪
ゴジラといい、ジブリ作品といい、日本映画はかなりこちらでも人気です。カナダでも多くの人に見られて、本当に誇らしいです。
ちなみに映画館のトイレ、早速ちぎれたペーパーがたくさん落ちてました。さすがカナダですwww
コメントありがとうございます😊
お家にいいTVがありますものね。
今TOHOシネマすすきのでは、新しくできたからか数作企画されています。過去作なので配信で観ることできますね。
滋味あふれる、ピッタリ❣️
ラストのエンディングでいいですねぇ、欲しくなります。
数えてられるの、琥珀糖さんらしい。毎朝毎朝、使い回しではなく、新鮮な朝の表情ですね。
すみません、間違えました。
『東京公園』です。三浦春馬さん出演。ご興味ございましたら。
TOHOシネマすすきので。3/3からでした。
ドリパス企画です。私、近くなら観に行きたいです🦁
琥珀糖さん コメントありがとうございます(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”同時にコメントしてましたか笑 すごい偶然です
16日間の撮影だったのですか。確かにルーティーン2回繰り返してたような。驚きます。
琥珀糖さん 役所さんブームきてるのですか(⸝⸝⸝´ꇴ`⸝⸝⸝)
役所さんの映画を改めて振り返ったら、私そんなに観てなかったのですが「Shall we dance?」が好きです。
たびたびすみません。
コメントありがとうございます。
平日休みが多い職場に異動したことや(土日祝出勤あり)、子どもが大きくなったのを機に、今がチャンス!…と割引料金の平日に映画館に通っております。
映画好きな皆さんのレビューを読ませていただくのが、なるほどーと思う事が多くて、すごく楽しいですね。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします!
琥珀糖さん
お返事ありがとうございます♪札幌同じです😆
すすきのの新しい映画館まだ行ってないんですよー
私も見逃した映画は家で見たり
家だと自由だから良いですよね✨
お返事不要です
ありがとうございます🙇♀️
琥珀糖さん
こちらこそ、共感、コメント、フォローしてもらえて恐縮です🙇♀️ありがとうございます♪
同じく道民なんですかね?嬉しいです✨
あがたさん、松井監督以外も沢山のちょい役多いみたいですね!
研ナオコさんとか、皆さんのレビューなどで知ることありますよね😊この映画のパンフ買って読んだんですが、とても良いですよ♪
「かもめ食堂」に共感とコメントありがとうございました。
「かもめ食堂」のレビューも素敵でしたが、この作品のレビューが超素敵だったので、ポチッとさせていただきました。
「PERFECT DAYS」は観に行きたいと思いながら、時間が取れず…。
きっと心が洗われるんじゃないかと、期待してます。
気持ちを高めてくれるレビューをありがとうございます✨
これもまた素敵なレビュー、ありがとうございました。
15日間での撮影…すごい。
俺も、上映中日数は数えていましたが、1週間7日間だろうと決めつけていたので、越えた途端にわからなくなっちゃいました。
15回、朝起きるところを繰り返す映画で、観客を魅了することは、容易くはないですねえ。あらためて感心。
みかずきです
本年も宜しくお願いします
平山は、過去の柵を捨てて清貧生活をしていますが、
彼の表情には、達観しているというか開放感がありまおnした。
中盤で、姪と母親が登場して、彼の過去が少し見えます。
かなり経済的に裕福だったこと、父親と壮絶な確執があったと推察できます。彼は、特に人間関係の柵を捨てて開放されたと感じました。
だから、過去の二の舞にならないように人間関係に距離を置きます。
しかし、それでも、相棒は勝手に辞めるし、馴染みのスナックのママのところにも元夫が現れ、平山の心は乱れます。怒ります。ルーティンを破って沢山の酒を飲み、煙草も吸います。
平山のルーティンは、人間関係が穏やかで、順調であることが前提です。我々の生活も同様です。人間社会で生きている以上、当然です。
平山の清貧生活がDAYSではなくLIFEになるためには、人間関係に距離を置くのではなく、人間関係としっかり向き合わないとダメだと思います。難しいことですが。
人間社会の中で、人は人との繋がり、絆を糧にして生きていくものだと思います。あくまで経験に基づいた私見ですが。
では、また教官作で。
ー以上ー