「真に恐ろしきは人なり」メイ・ディセンバー ゆれる真実 ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
真に恐ろしきは人なり
36歳のグレイシー(ナタリー・ポートマン)が13歳のジョーと関係を持ち(これ犯罪です)
獄中出産、出所後に結婚して家庭を築くという、スキャンダラスな触れ込み(予告の煽りもこれです)で
ナタリー・ポートマン演じるエリザベスが、グレイシーを映画作品として演じるという導入です。
グレイシーはジョーから「誘惑された」と言い、ジョーを精神的にも拘束していて、
自分の思い通りにコントロールしている。自分の家族と過去に結婚していたときの家族と
いまだに関係があり、それを良しとしているかなり“変”な人だったりするのです。
そしてエリザベスも役者として完璧にグレイシーになりきろうとするあまり、
グレイシーとジョーの関係の深掘りをするんですね。
これもプロフェッショナルというか、こだわりがハンパないというか、
であるがゆえに、ジョーとも関係を持っちゃうんですね。仕事として必要だから。
ジョーはめっちゃ傷つくんですけど、そんなの気にしないくらいにビジネスライクなわけです。
ここまでくると“ヤバい”人だったりするのです。
さらにジョー。
ジョーは13歳で大人になってしまったため、青春時代を過ごしていないんですよね。
だから、蝶々🦋つながりの女友達とたぶん不倫したいと考えちゃっているし
失った青春時代を取り戻したいという欲求がどこかにあるんですよね。間違いなく。
そういう状態だから、エリザベスに誘われるとコロっといとも簡単に関係を持っちゃう。
それがビジネスだと知ると、すげぇ傷つくわけですね。なんと純粋なんでしょうか。
タバコも吸ったことがなくて、じぶんの子どもから「マジで?」と言われるくらいですからね。
というわけで、主要人物が全員ヤバいやつなわけで、
これはもはやスリラー?ホラー?というくらい、人って怖いよね・・・と感じてしまう作品です。
そして何が真実かわからない!
だから副題の「ゆれる真実」には、なるほどなぁと唸りました。
トッド・ヘインズ監督は女性を美しく見せる天才だと思いますが、
今作のひねり方は尋常ではないですね。
すごいつくりだな・・・と思う一方で、好きかどうかは別です。これは好きって言えない作品かも。
いやぁ、余程の映画好きしか観ないでしょ。コレ。