「新しけりゃいいわけじゃないけど、古いままでもダメだという葛藤」チネチッタで会いましょう Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)
新しけりゃいいわけじゃないけど、古いままでもダメだという葛藤
メタ的な視点で映画を扱ったイタリア映画といえば、誰しもが真っ先に頭に浮かべるのが『ニュー・シネマ・パラダイス』だろう。でも、そんな感じのものを期待して行ったら、かなり違っていた。
芸術至上主義の映画、ソ連型の共産主義、家父長型の結婚観といったものたちと、190カ国で配信されているNetflixの配信に代表されるエンターテイメント型映画、自由な恋愛観、そして韓国資本の台頭等が対比されながら描かれ、新しいものを少し引いた視点で笑いに変えつつも、流石に古いままではダメだよね、という、本作のナンニ・モレッティ監督自身が演じているジャンニを通した葛藤として描かれている。
つまり、冒頭で触れた『ニュー・シネマ・パラダイス』が古き良きものが失われていく悲しみを描いているのに対し、こちらはなんでも新しいものがいいわけではないが、固執しているだけでも置いていかれるよというアップデートされたメッセージになっているのであろう。
なお、タイトルにある「チネチッタ」は、フェリーニからコッポラまで様々な名匠たちが作品を撮ってきた伝統あるイタリアの撮影スタジオの名前だそうだ。
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