「Corner」チネチッタで会いましょう ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Corner
川崎にあるチネチッタの元になった場所で映画を撮る話なのかなーとぼんやり思っていましたが、邦題はちょろっとしか関係のないタイプでした。
でも原題をそのまま翻訳したやつよりかはフワッとチネチッタというワードを入れてくれたおかげで興味を持った節はあります。
でも全然ポップな作品では無かったです笑
こだわりの強い監督が1本の映画を作るまでを映画撮影の模様と変化が起きまくる日常生活を入り乱れながら描く作品で、モレッティ監督の過去作だったり、過去作の出演者だったりをふんだんに盛り込んだ上で映画とはなんぞやというのも多くぶち込みまくっているのでかなり入り組んだ作りになっていました。
主人公を筆頭にめんどくさすぎる人物が揃っていたのも今作の面白いところです。
ジャンニは後輩監督の撮影現場に出向いてラストシーンについて延々ダメ出しをし続けますし、暴力性について説き続ける割には自分の意見ではなく他の人の撮り方だったりを話に持ち出してくるので、映画の観客として見る分には滑稽だなぁと笑いながら観れるんですが、あの現場にいたらいつ手を出してもおかしくないくらいの状況でしたし、奥さんがヤキモキしているのは大変に辛そうでした。
モレッティ監督の演技がなんともいえないねっとりした感じが余計に腹立たしく見えるのが絶妙なスパイスになっていました。
ジョヴァンニの撮ってる映画の主演女優も中々に厄介で、とにかく自分なりに解釈する割には共演俳優とイチャコラしまくるし、監督がこうだって言ってるのに私はこれがいいのと押し切りまくるのでこの現場にもリアルタイムではいたくないです笑
別れたいのに話を聞き入れてもらえず、プロデューサーとして入ってる現場にジョヴァンニが乱入してくるもんですから奥さんの胃がもう持たなさそうです。
でも2人で車で音楽を流してウキウキなところはとてもキュートでした。
突然街から郊外まで巻き込んでクルッと踊り出したり、そんなに登場人物いたっけ?ってくらいの人数引き連れて大規模パレードをやるラストは置いていかれましたが、監督自身が手を振ってお別れしてくれるところはなんだかホッコリしました。
映画っていう創作物は本当に作るまでの過程が難しいですし、とにかく人と人との衝突の避けられないものなんだなと改めて感じました。
今作の登場人物ほど厄介な人が実際にもいるんだろうなと思うと口角が上がりきりませんが、これからも数多生まれてくる映画たちに出会えることに感謝を。
鑑賞日 11/26
鑑賞時間 10:00〜11:40
座席 D-2