落下の解剖学のレビュー・感想・評価
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設定ひとつでこれだけのものが作り上げれる
あらすじにあるように、
旦那の死、疑われる妻。同居人は視力が低い息子と犬のみ。
この設定だけでとても見応えのあるものが作られていた。
余計なものを削ぎ落として削ぎ落として作られた印象で、無駄なものがないから、裁判の行く末にフォーカスして映画にのめり込むことが出来た。
愛犬スヌープ
「裁判は真実を明らかにするものではない」それは解っていても、法廷物の映画やドラマを観ていてその「真理」を巧みに利用している作品に出合うと心が奪われます。
当然、ネタバレは絶対に許されないので書き様に悩みますが、私、結構女性作家や監督の作品の「物怖じのないストレートな感じ」が好きで、本作のジュスティーヌ・トリエ監督、私この方の作品初鑑賞ですが、登場する男性たち(対象複数)に対するキャラクター設定や演出に若干の意地悪さを感じ、それがまた芯を喰っていて(男の私も)むしろ気持ちがいいです。
本作、導入から不穏さを感じさせる状況から始まり、その後に「事(こと)」が起こります。目撃者もなく、物的証拠に乏しいことから疑いをかけられるザンドラ(サンドラ・ヒューラー)ですが、それは鑑賞者から見ても怪しく見える言動が「彼女に対する第一印象」のため、起訴されて裁判に掛けられるところまでは「至ってよくありそうな展開?」かと高をくくりそうになります。ところが、撮影方法なのかそれとも編集なのか、なんだか違和感を感じさせる映像が不意に挟み込まれたりの微細な演出は、あたかもサンドラの心理的な緊張感や動揺が伝わってくるように感じますし、また巧みな脚本はそれぞれの「主観」を交えることで、いつしか反転して「冤罪」を疑い始めている自分に気づくシームレスさにとても夢中になります。
また、本作非常に「重要な役割」を果たす愛犬スヌープが本当に素晴らしい。帰宅して調べればなんとこのメッシ君(ボーダーコリー)、本作でパルム・ドッグ賞(カンヌ国際映画祭で優秀な演技を披露した犬に贈られる賞)を受賞していると。「さもありなん」と納得します。そもそも、作品始まって最初に顔が見えるのもスヌープですから、やはりこういうところにも監督の緻密な計算を感じます。
上映時間152分と、尻込みする方もいらっしゃると思いますが、とても見応えがあり決して「長い」とは感じません。お勧めです。
「40にもなって…」は言うたらアカン!
真実の行方
友人に激推しされて鑑賞
破綻に向かう夫婦関係の中で起きた夫の死を巡り、自死か妻による殺害かあるいは事故かを明らかにしていく法廷ミステリーでした
久々にストーリーと役者さん(&犬さん)の演技だけで魅せる上質な映画を観たというのがまず最初の感想
映画的な要素(視覚効果や音響)が少ないからかエンドロールも短かった
タイトルからは科学的なアプローチを想起させられましたが、心理面での交錯が印象的
法廷ものという事で1996年の「真実の行方」を彷彿とさせましたが、家族関係というテーマを内包させ、夫、妻、息子、その他の方、誰の視点で観るかで景色が変わる描き方がアカデミー賞脚本賞ノミネートの所以ですかね
緻密な構成に加え、英語と仏語が入り混じる2時間半のため疲れている時に観るのはあまりオススメしません⚡️
子供と犬の勝利
期待値ほどではなかった
落下(した夫)の(心の内を)解剖(し、残された妻子はそれを)学(び理解する)
一般的な見方をすればそうそう作品
しかし、私は、ダニエルはほんとは目が見えたんじゃないかと考えました。犬と散歩してる姿はとても盲目とは思えず、アスピリンを犬に飲ませる件もそうだし、母親寄りの証言といい、犬が最後に母に添寝しているところを考えると、どうも3人、いや2人と1頭の共犯とも考えられる。弁護士はその流れをすべて知っていて、法廷での無音のヒソヒソ話も合点がいく。
落下(した夫は3人)の(策略にはまり殺され、司法)解剖(されても不審死としか判定されないように3人は)学(習しその成果が出た)。
って見方をすると、弁護士はアレンジャーかディレクターの役割で、3人に絡んでくる。
私は殺していない
そこは重要じゃない
この母親と弁護士のやり取りが全てでダニエルが盲目ではなくて父親を転落死させた実行犯と考えれば話は変わってくるんじゃないだろうか
だけど、演出が地味なんだな~ぁ、これが
効果音もないし、意味深過ぎて伝わりにくい。
疑ってかかると
冒頭から妙な違和感が漂い、最後までどうなるのかと目が離せませんでした。
いろいろな証言や鑑定から検察や弁護士がそれぞれの主張をする法廷劇としても面白かったですし、心理ドラマとしても考えさせられました。
夫婦の関係性については、経済的に優位な妻が家事負担する夫の意見をまともに取り合わないという、家父長制が逆転しているような状況が印象深いです。
日本では家父長制の意識がまだ根強くあると思うので、この男女逆転した構図は皮肉にも感じますが、フランスでもそういう意識なのかというところはよく分かりません。
そういう男女差を置いておいても、夫婦間でのパワーバランス、相手を理解しようとする姿勢について考えさせられます。
録音や証言も人物のある一面を示すもので全てではない、写真や動画の表情もその場での一面を切り取ったものに過ぎないという気もします。
テレビでの報道の様子も、疑ってかかる目線で見ていた自分には身につまされる部分も。
真実はともかく、家族の死に対してどう向き合うか、周囲や世間がどう想像するか、という部分を描いているとも感じます。
何度か出てきた、真実は問題ではない、といった意味合いのセリフも印象的でした。
実際、個人的には事件の真実は分かりませんでした。
個人的には、妻の犯行ではと思っていましたが…。
妻が通報する時に倒れている夫には触れていないと言っていたので、怪我の状況や生死の確認をしないのだろうか?と思い、息子の最初の証言との矛盾もあり、疑っていたものです。
息子が悩んだ末に行った最後の証言は母を救うための偽証かも、判決後の場面も罪悪感を抱いている様子なのかも、などと考えてしまいましたが。
とは言え、疑ってかかるからそう見えるだけで、妻は冷静な判断で倒れている夫をむやみに動かさずに通報した、息子は父の言葉の意味を認めたくなくて悩んでいた、手にかけてはいないものの妻は夫の死に罪悪感を抱いて息子に対しても後ろめたい、というようにも考えられます。
自分が気付かなかっただけで真実が分かる部分があったのかもしれませんが…、結局最後まで明確には分からず。
現実的な事件報道や裁判なども、証拠から推察するもので真実は分からないと言えると思いますが、そういう点も考えさせられました。
妻の演技もリアルな存在感があり良かったですし、息子と犬も好感が持てますし、どうやって撮ったのか、やはり犬にはハラハラさせられました。
落下の解剖学 真実がどうかと言うよりも真実や結論を求めるまでの過程...
落下の解剖学
真実がどうかと言うよりも真実や結論を求めるまでの過程を追う難しさ、大切さ、そして楽しさなんかも与えてくれる作品と感じた。
夫の死により本来は見えなかった部分、見ようとしなかった部分なんかも明らかになっていく過程、そしてこの作品の様に答えが明確にならない事案、確固たる証拠がない事案も自分の中にある固定観念がどこか答えを求めようとする稚拙さを擽られるよう作品であった。
個人的な2024年洋画新作鑑賞ランキング
1 ネクスト・ゴール・ウィンズ 4.8
2 Firebird ファイアバード 4.8
3 コット、はじまりの夏 4.7
4 アリバイ・ドット・コム2 ウェディング・ミッション4.5
5 ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ 4.5
6 アクアマン/失われた王国 4.5
7 ニューヨーク・オールド・アパートメント4.3
8 異人たち 3.7
9 ミツバチと私 3.6
10 コヴェナント/約束の救出 3.0
11 僕らの世界が交わるまで3.0
12 カラーパープル 2.9
13 弟は僕のヒーロー 2.8
14 ジャンプ、ダーリン 2.5
15 エクスペンダブルズ ニューブラッド 2.3
16 マダム・ウェブ 2.3
17 落下の解剖学 2.3
18 ダム・マネー ウォール街を狙え! 2.3
19 哀れなるものたち 2.3
20 ボーはおそれている 2.2
21 ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人 2.2
22 瞳をとじて 2.2
23 ゴースト・トロピック 2.2
24 葬送のカーネーション 2.2
25 Here ヒア 2.1
26 サウンド・オブ・サイレンス 2.0
27 サン・セバスチャンへ、ようこそ 1.8
28 VESPER/ヴェスパー 1.5
29 フィスト・オブ・ザ・コンドル 0.5
妻と息子そして犬
自殺ならなぜ遺書を残さなかったのか。
妻の犯行ならなぜ凶器を探さないのか。
大きな疑問符が残る。
法廷劇にしては設定が緩いし、どんでん返しを期待すれば裏切られる。
それでも最後まで目を離せないしラストもそれなりに納得させられる。
それは理性と人間味にあふれた妻ザンドラや悲しみを乗り越え成長する息子ダニエルのみごとな人物造形に依るが、傍で家族を見守る犬の存在も大きい。
クレジットに犬の名前があった気もするのだが、たしかに重要な登場人物のひとりだった。
脚本、役者、演出どれもよい。
言うまでもないがあの夫、いくら時間があっても小説なんか書けないね。
「寸止め」映画
延々と裁判を傍聴しているような感じ。
その割には明確な死因や判決の決定的な理由も語られず(推定無罪とか疑わしきは罰せずと言うのはわかるけど)でモヤモヤが残ってしまった。
裁判も終盤になり旦那さんが録音した音声が出て来た時や判決が出た後で、やっとこれから展開が動き出すぞと思わせてからの何も無しでストレスが溜まったままで終わってしまった。
友達の弁護士との関係もいろいろと思わせたままで何も無し。
検察官は荒川良々に似ていた。
犬は2度もアスピリンを飲まされてかわいそ過ぎ。(あれは演技だそうですw)
子供の目の色少し怖かった。
鑑賞者に委ねるタイプの脚本というのは理解できるし、数々の名誉ある賞を獲った(獲りそう)というのもわかるが、楽しく見る事ができたかと考えた場合に決してそうでもなかったので、自分の好みからは大きく逸れていた作品であったという事に尽きる。
中身が感情の絡み合いなれど、作品そのものは非常に冷静な現世の写し
嘘や隠し事も意図せぬ出来事で露わにされてしまう・・・ちょっとした秘密や恥部さえも許されないのか・・・でも自分がどんなに辱めを受けようとも、何事に対しても誠実であれば何とかなるのかなぁ・・・とても大変だけど─とまぁ色々と考えてしまった気がします。
サンドラ・フラーが素晴らしかったです。あらゆるエモーションがにじみ出ているといった印象で、かなり泣けました。
あの賢い犬もとても効果的だったと思いますが、ちょっとずるいような・・・でもあんなスマートならたくさん使いたくなる気持ちも分からないでもありません。でも、あのガキ何さらしとんじゃい!と思ったりもしたので、だから尚更ずるいと思った次第。
人生いろいろと大変だけど何とか完走していきたいものですね・・・などと今でも思考が巡っています、とくに接点がある話ではなかったのですが、他人事とは思えないわけで、なかなか巧みで秀逸な作品だったかと─。
ミステリーにしたほうが良かったのでは
ミステリーじゃなくヒューマンドラマ、家族の話でしたか。
法廷での丁々発止のバトルや、新たな事実の発見で犯人が二転三転、伏線とか伏線回収とかスリリングな展開のサスペンスを期待したのに、そういう映画じゃなかった。
ひねりもなく裁判も話も終わった。
結局のところ、彼の自死ということで良かったのでしょうか。
法廷のシーン、検察側の主張が主観と憶測ばかりでシロウトみたいで、こんなんで通用するのかと思った。
暴露された夫婦喧嘩の言い分は、明らかに夫のほうが分が悪い、駄々っ子みたいな言い分で、冷静にズケズケ本質をついた返しをする妻のほうが上手。
夫の、妻の才能への嫉妬とプライドがこんな態度になるんだろうけど、八つ当たりです。
別れちゃえばいいじゃん、なんだが、妻は夫を愛しているのがなんとも。
だったら妻も、もう少し夫を思い遣ってもよかったのでは、と思う。
人間をじっくりみせるためにこの尺が必要だったんですかね。
淡々としており、私には長すぎてところどころウトウトしました。
唯一の現場の証言者である息子が視覚障害者、という条件が生かされていない。
サスペンスにしたほうがよい材料だったと思う。
案はいいのにそれを活かして小説にできなかったという、亡くなった夫がダブりました。
解剖されたのは、家族関係
あの切り札証言で勝負あった。って感じだけど、自分の心証を覗いてみるとどうも釈然としない。
疑念を抱かせる微妙な表情をするザンドラ・ヒュラーの演技力と、英語とフランス語を巧みに切り替えるシナリオに惑わされてしまう。
真実を解き明かすことがメインテーマではなく、夫婦間や親子間の心の揺れ、ひいては家族のあり方を解剖することが主題に感じる。
とは言っても、裁判シーンは見応えがある。法服を着た1厘刈りの検察官、この人の舌鋒が鋭くて、被告人であるサンドラに殺意があることを参審員に印象付ける。
守る側の弁護士は、ウェーブがかかった髪にスーツを着こなしているハンサム弁護士。検察官の攻撃を冷静にかわしながら、サンドラをがっちりガード。どことなくアラン・ドロン感がある。シーソーゲームを繰り返しながら、いよいよ判決。
観た人はわかると思うけど、ダニエル役のミロくんがとんでもなく上手い。交通事故で、幼い頃に視力を失った少年の役なんだけど、耳にしたくない両親の負の部分を裁判で聞かされた時の困惑した表情のリアリティがすごいというか、守ってあげたくなる。
夫婦喧嘩の最中にサンドラが夫を責める回想シーンがあるだけど、どうしても夫側で見てしまう。サンドラの芯を食った言葉が夫のハートを直撃し、追い打ちをかける体重の乗った言葉に夫のプライドはズタボロ。ホントのことを言うのは、やめてあげて。トドメはささないで。いつぞやの自分と重なって、胃がキリキリする。
夫婦で鑑賞したら、気まずくなること間違い無しの作品でございます。
2人で見れば終わった後の話は盛り上がります
サンドラ・ヒュラー
今週の月曜日、吉祥寺で映画を見たあと、昼食で寄ったお店にイヤホンのバッテリーを忘れてきてしまった ヤッチマッタナ~
仕事終わりに吉祥寺で映画を観る予定をムリヤリ入れ、まずはバッテリーを回収せねば💨
店員さんの親切な対応に感動しつつ、時間を埋めるために富士そばで一杯のかけそばを←昭和〜⤵️
これがいけなかった😲
案の定、前半寝落ちである💤 オレノバカ!
後半、気合を入れ直し、ガン観ですよ❗オリャー!
この主演女優さんのサンドラ・ヒュラー、「ありがとうトニ・エルドマン」で観たときから個人的に好きな顔なんですよネ~
「希望の灯り」も観たとき、「あっ!トニ・エルドマンの人だ❗」と⤴️
この方アカデミー賞にもノミネートされており、かなりの実力派らしいです
話自体はよく理解できなかったけど、「また、会えたね❤️」と、今日も一人、井の頭線に乗り帰宅する天皇誕生日デシタヨ オワリ!
言い切れないもどかしさ
サンドラの描き方がとてもいいんですよ。模範的でも完璧でもない女性(母親)で。最初の学生がインタビューに訪れたシーンからして、ちょっと人をおちょくってる感じで話を逸らしたり、愛想もそんな振り向けない。息子のことは愛していていろいろ考えているけど、べったりという感じもなく、まずは作家としての活動に力を注いでいたり。裁判でのあのなんとも言えない戸惑ったような表情もいい。あと、裁判で明らかになった夫婦げんかのシーン、夫のいい分も妻の言い分もお互い嘘ではないだろうけど、それぞれ感じてることがこうも違うのかというくらい噛み合わなくて、男女のズレが鮮明に見えて面白かった。このケンカで言った言葉も怒りに任せて出てきたものもあるだろうし、前後の文脈も本人以外は分からないし(本人たちでさえもうそこに至るまですれ違ってるし)、このハッキリと断定できない曖昧な感じもこの映画の良さかなと。
法廷シーンは検察側の誘導尋問にイラついたけど、フランスはあそこまで自由なのか?と思うくらいペラペラ言いたい放題だった笑 見えてるもの、証言されることは全体の一部でしかないけど、その一部から事実を明らかにする必要もあり、そこのズレやもどかしさ、視点の違いが長い法廷シーンでじっくり味わえる。
視覚障害の息子と犬の演技も見どころ。最後はなるほどそうきたかという感じ。
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