「非常にモヤる。結末に疑問?最大の弱点はカタルシス不足。」落下の解剖学 mass79さんの映画レビュー(感想・評価)
非常にモヤる。結末に疑問?最大の弱点はカタルシス不足。
映画鑑賞を120%楽しみたいので事前情報収集はゼロ、レビューも一切確認せずに映画を見に行くのでハズレに出くわすこともよくあるワタクシ。
これは大ハズレでした。
フランス料理のフルコースを楽しみでお店に行ったら、全く口に合わず美味しくなかった、みたいな感じで期待を大きく裏切られました。
後で監督のインタビュー読んだらMeTooへの共感やらウンタラカンタラ語ってたけど、
あ、フランスのインテリの人ね、だから駄作なのかと僕は納得しましたね。
フランス人哲学者は小難しい理屈をこねるけど結局が大したことは言っていないことが多い。
これはソーカル事件で歴史が証明している事実です。
さながらフランス哲学の悪い面が映画になったかのような出来の悪さを感じました。
この映画の1番の欠点はオチがなくカタルシスに欠けることですね。
この手のサスペンス物ってどうしてもメタ的に誰が犯人だったら意外性が高く面白いかとか考えたり動機を推理したり犯人探しが楽しみじゃないですか?
しかしこの映画は早々に母親犯人説一本に絞り込みサスペンス的楽しみを否定します。
また見所である法廷劇ですが、
私に言わせればここが一番陳腐でした。
検察は母親が父親を殺害した嫌疑で烈しく追究しますが、肝心の殺害に使われた凶器が特定出来ていない時点で不首尾に終わるのは目に見えてました。フランスの司法がわかりませんが、物証無く犯人の自白待ち頼りでは、いくら状況証拠固めても犯人が鉄面皮で自白しない限り有罪にならないですよね。展開が読めてました。
私のなかで法廷劇は一切盛り上がりませんでしたね。
2番目の弱点は
個々の人物像に好感が持てない上に、ストーリに沿った適切な感情表現が見受けられず
キャラクターや゙ストーリーが非常に陳腐に見えてしまったことですね。
劇中で裁判の結果を無罪としましたけど、
これって裁判によって父親の自殺が認定されたってことでしょう。
それ即ち母親からのDVで父親側が自殺に追い込まれた事実の追認が行われたということです。
その割に息子も母親も反応が薄いんですよね。
浮気を開き直ったうえに他殺でも自殺でもどっちでもいいけど父親を殺した母親に対しての、悪感情が息子から表現されないのは本来おかしいんですよ。
また母親も余り悔恨の念を抱いているように見えないんですよね。ただ裁判長引いて疲れたわーみたいな感じしかない。
ちょっと不自然ですよね。
このアンリアルさがずっと引っ掛かって最後まで物語にのめりこめませんでしたね。
まあ、タイトルが少し謎めいているので惹かれたけどこれは裏切られたパターンでした。
結局謎なんか無かった。他殺であれ自殺であれ、どっちにしても殺したのは母親で確定、これが結論なんですよ。
たかだかその程度の結論に至るまでのウジウジしたやり取りが楽しめるかどうかですね、
私は無理でした。