「時局を見る目が欲しい」関心領域 お喋りな啄木鳥さんの映画レビュー(感想・評価)
時局を見る目が欲しい
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NHKの『映像の世紀』でエヴァ・ブラウンが撮ったフィルムの映像を見た。アルプス地方の風光明媚な山荘で過ごすヒットラーと愛人、取り巻きの人たちの贅沢な暮らしぶりが映し出される。また、少し前に『縞模様のパジャマの少年』も見た。本映画とこの2本の共通点はすぐ近くで絶望の中で過ごす人が大勢いる中で、それを見ないようにするか全く関心がないかして過ごす時の権力者たちを描いていること。
『縞模様のパジャマの少年』は主人公に残酷なしっぺ返しが来る衝撃的な結末だが、この映画は淡々と時が流れていく。でも、何不自由なく贅沢な暮らしを満喫しながら、常に聞こえている不自然な音や声の数々が観ているこちら側にじわじわと不快感を感じさせて止まない。説明的な描写がほとんどないということも暖簾に腕押し的なストレスを感じさせて、映画はふっと終わってしまう。
後に残るのは混乱、困惑、不快感、恐怖、そして自らに真実を見極める能力があるだろうかという大いなる疑問。正解は分からない。
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