「鑑賞者には知識が必要な作品」関心領域 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
鑑賞者には知識が必要な作品
隣で何が起こってるか知らない。ルドルフ・ヘスは司令官だから当然知っているし、妻も知っているはず。ちょっと怖かったのが、イタズラだとは言え弟を温室に閉じ込めた兄のシーン・・・これは彼らの遺伝子を引き継いでいるということなのか?
現在起こっている戦争。実際にどんな状況なのかもわからないまま、無関心を装っている多くの人たち。ただ、知っているのだけれど、実際に見たわけじゃないから多くを語れないのが本音ではなかろうか。
画面が真っ赤になったまま数秒経つシーンがあったり、突如夢のようにモノクロームになったりする映像の工夫があったり、かなり深く潜在意識に訴えてくるような仕掛があった。あれは何だったんだろう?などと鑑賞後に考えることによって心に残ることになるのだろう。不思議だ。
司令官の実名を使った登場人物だったり、アウシュビッツ収容所の中を一切映し出さずに恐怖を描いたことが凄いこと。我々も同じだ。知っていても知らんぷり。歴史修正主義も登場して情報過多となった世の中において真偽を見極めるのも疲れるものだ。
アメリカ人が描くナチス映画やユダヤ人の大虐殺を取り扱った作品は多くあれど、他の大虐殺については知らんぷりなのでしょう。同じ年に『オッペンハイマー』が賞レースを席巻したことも興味深い。
コメントする
カールⅢ世さんのコメント
2025年3月9日
ユダヤ人から取り上げた金品で南米に逃げたナチ高官たちの話を知ってると金歯の描写が余計おぞましく感じられますね。ドイツも貧乏だったんだなぁ。日本は自国民から取り上げて······懐を肥やしたひとびとがおりましたなぁ