「グロテスク…」関心領域 らべさんの映画レビュー(感想・評価)
グロテスク…
ヘス夫人の言動がとにかくグロテスクで、幾度となく戦慄…
でも彼女にしてみれば国のトップの言うことに従い、幼い頃からの夢を叶えたいだけ。この構図がたまらなくホラー。ウクライナで、ガザで殺戮が続く現代、これを観ている私たちだって同じじゃないの?と問いかけられている気がしてとても怖かった。観客の想像力が試され、軽く監督から突き放される感じは「悪は存在しない」を観た時に感じたものに近いものがあった。また、肝心の作品の主題を全く見せない事でよりインパクトを与えるところは「オッペンハイマー」にも通じるなと思った。こう言う手法を使うのは今の時代の流れなのでしょうか??
正直に言うと、私には塀の向こう側に対する想像力が足りなくて、予想していたほどには動揺しなかった(作品を見る勇気がなくて公開直後は見に行けなかったというほど警戒していたのに)… そんな自分を監督に見透かされ、責められている気持ちになって逆に怖かった部分も…
ちなみに夫人の関心領域には塀の反対側どころか、夫も子供も入ってないんじゃないかと思うようなシーンもあり、いやはや、自分も家族や周囲の人間にもっと関心を持って歩み寄るべきなんじゃ、と勝手に反省したりもした。自分とは距離も時間軸も遠い世界の出来事を描いているのに、とても身近なことに思いを巡らせられるとは思わなかった…
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