劇場公開日 2024年5月24日

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「音だけでなく臭いも感じる」関心領域 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5音だけでなく臭いも感じる

2024年6月10日
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鑑賞方法:映画館

映像の背後に絶え間なく聞こえる音。画面に写っていることより、音で察せられる画面に写っていないことの方に気持ちが向いてしまう。これは確かに、拡張された映画体験と言えるものだろう。
ドキュメンタリー調とも違う、自然でありながら無機質で表層的な映像は、無数の隠しカメラで撮った断片を繋ぎ合わせたものとのこと。登場人物たちの感情を読み取ることが難しい。
壁の向こうから立ち上る煙や、闇の中の炎を見ていると、音と相まって臭いも迫ってくるように感じられて、気分は悪くなってくる。
直訳のタイトルが深い。制作時には意識していなかっただろうが、今は期せずして、パレスチナの現況を思い起こさずにはいられない。
最も映画的と言えるのが、ヘンゼルとグレーテルの読み聞かせでの反転映像の少女のシーンだが、観ているときは意味がわからなかった。後で公式サイトで確認して理解はできたが、効果を上げていたとは言いづらい。
エンドロールの不協和音のような音楽もあり、後味は悪い。映画館を出たあと、目に入る街の灯りが不穏なものに見えた。

山の手ロック