「決して好きだとは言えない傑作」関心領域 エロくそチキン2さんの映画レビュー(感想・評価)
決して好きだとは言えない傑作
スカーレット・ヨハンソンのフルヌードが鮮烈な印象を残した、しかしそれ以外は何も覚えていない「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」以来、8年ぶりとなるジョナサン・グレイザー監督作。
これは端正とも言える傑作だった。前作と違い忘れることができない作品になるのでは。
ナチス・ドイツによるホロコーストおよび強制労働により多くの犠牲者を出したアウシュヴィッツ強制収容所。
今作は収容所と壁ひとつ隔てた屋敷に住む所長のヘス中佐とその家族の暮らしをとらえた。まさに束の間の幸せ。
我々映画好きの多くは収容所の中の出来事を嫌というほど見てきたわけで、その音や臭いを思うと反吐が出る。
クリスティアン・フリーデルが命令に忠実で収容所の処理能力向上に努めるヘスを淡々と演じた。たくさんの人間の効率的な処分が求められた。
名演が続くサンドラ・ヒュラーがヘスの妻を演じた。最高の家にすべく尽力した。夫が転勤になっても家を明け渡すことはなかった。
そこを訪れた妻の母は早々に引きあげた。
まともな人間が住める場所ではなかった。
不穏な「音」が恐ろしい環境を表現した。
音響賞でオスカーを手にしたのは必然だった。
そう、これは決して好きだとは言えない傑作‼︎
未見の方は元気な時に観ることをお勧めする。
ちなみのにポーランドの南部にあった収容所は1945年の初頭にロシアにより解放され、ヘスは47年に処刑されている。
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