「壁の向こうは地獄」関心領域 雨雲模様さんの映画レビュー(感想・評価)
壁の向こうは地獄
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今まで色々なナチ映画や、ドイツの歴史を一時期学んでいたことがあったから、ナチの非人道的な行為をあえて暴力的なシーンを排除し聞こえてくる音だけで痛ましい光景が広がっているというのは説明不要とも云える。
平和に暮らしているように見えるが、心は病んでいる。助けたい一心でリンゴや砂糖をこっそりと夜中に出てアウシュビッツに忍び込み受刑者に与えていたのだと察すると、見た辛さ故に無関心ではいられなかったのだろう。
映画に出てくるルドルフ・フェルディナント・ヘスはアウシュビッツ収容所の初代所長を務め、ナチ・ドイツの敗戦後、戦犯となったヘスはホロコーストの責任を問われ絞首刑に処されている。
ラストの今のアウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館となった光景をヘスが思い浮かべながら階段を下りていくシーンだが、個人的にはこう思った。
ヘスはこれから待ち受ける運命が分かっていた。
空襲にも遭い、これ以上の犠牲を増やさないためにもドイツは降参するしかなかったのだが、負け戦になることを分かっていたので、未来のアウシュビッツ収容所はきっと…という感じで脳裏をよぎったのかもしれない。
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