「2016年没」ヴァチカンのエクソシスト U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
2016年没
実在の人物の話らしい。
…という事は、事実に基づくお話なのか?
いや、彼自身が脚色したお話なのかもしれない。
職業:エクソシスト
俺の中では都市伝説と同じくらい現実味のない職業である。
ラッセル・クロウが主演と聞いて頭を傾げる。何故、彼が?見終わって「なるほど」と得心を得る。
切り口が面白い。
彼が演じる事で圧倒的なリアリズムが添加されるようだ。エクソシストとなれば過去作同様、ホラーに分別されて然りなのだけど、今作は違う。
空想ではなく現実の匂いが漂う…ひょっとして実話なのか??と思えてくる。
ヴァチカンの暗部みたいなサスペンス要素が入ってくるのもいい塩梅で…性的虐待だったり、歴史的な考察だったり。異端査問なんとかって歴史的事件があるのだけれど、その発端となったのが悪魔に乗っ取られた祓魔師ってのが震える。
それ以降起こる粛清は、全て悪魔に踊らされていた事で、その事実をヴァチカンは隠蔽してるのだ、と。
…ゾクリとする話だ。
終盤に向け映像的にホラーな表現はあったものの、それよりも怖かったのは「…コレって現実にあった事なの?」って疑念だった。
目を覆いたくなるのは勿論、おおよそ目の前で起こったとしても、やにわに信じられない事ばかりが起こる。今までは創作物として眺めていたのだけれど、今作は何故だかシコリが残る。
現在でもヴァチカンは悪魔と戦っているらしい。
公聴会ではエクソシストという考え方が時代のニーズに合ってないから廃止するみたいな意見が出てくる。
それを言い出したのは悪魔なんじゃないかと思えてしまう。作中、ヴァチカンの礼拝堂に悪魔の声が響く。世界で唯一の悪魔に対抗しうる組織は虫の息なのかもしれない。
ご本人は2016年に亡くなったらしい。
人間だから仕方ない。
最強の悪魔を退けた祓魔師はもういない。
後継者が生まれるようなラストではあったが…聖書にある黙示録は勃発しているのかもしれない。
とまぁ、それらがラッセル・クロウが参戦した事の恩恵だとは言い切れないが、作品としては面白かった。
ラストに至り、ヴァチカン内部の専門機関のような部署の描写があって、そのデザインが結構洗練されてたりしたから「安心して、フィクションも混じってるよ」と言われたようでもあった。