「「よくわからない」がテーマ」アステロイド・シティ iroiromanさんの映画レビュー(感想・評価)
「よくわからない」がテーマ
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劇中劇の構造で描かれる物語。
演者が演じる物語を客観的に観る構造に。
「何を見せられてるんだ?」という強烈な違和感を植え付けられて始まるストーリー。
荒野の街に、科学大会のために集った人々。
それぞれ人生の悩みを抱えた親子たちが、皮肉満載のコミカルなやり取りを展開する。
そんな中突然の宇宙人の飛来。
訳もわからず政府に隔離され、非日常に直面しながらも、自分たちの悩みにも向き合わなければならない。
まず、劇中劇はカラフルなのに対して、劇中現実はモノクロという対比。
「目覚めるためには、眠る必要がある!」と合唱し、強烈に呼びかける様。
フィクションには現実を見い出す力があると訴えるようで、ウェス・アンダーソンのフィクションへの愛が伝わる。
劇中劇もそう捉えると違和感がない。
宇宙人の飛来というわけのわからない一大イベントの最中でも登場人物たちが気にしているのは、人生の悩み。
自分の役者としての演じ方を見失った主人公が、演出家に何も考えずにありのままでいろと嗜められる場面からも、
「人生わからないこと、突拍子のないことが突然降りかかるけど、前に進むしかないのだよ」と嗜められているようだった。
もろもろ意図を汲み取るととても味わい深い。
ただ初見でそれは汲み取れないので何回か見てみないと楽しめないかも。
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